Time is money 3
カカシに連れられていった店は、時々、一緒に来ている店だった。
馴染みのある店なのでイルカも寛げる。
テーブルの上に並ぶ料理も、お互いの好みを知った上で頼んでいるので好きな物ばかりだ。
イルカは好物を口に運びながらカカシを伺い見ると、カカシは穏やかな表情をしていた。
カカシも好物を食べて気持ちが落ち着いているのだろう。
「あのう。」
少し食べて雰囲気が和らいでからイルカは切り出した。
「カカシ先生は俺の他に、今晩ご一緒に食事をなさる方はいらしゃっらなかったのでしょうか?」
「ん?どういう意味ですか?」
カカシはミネラルウオーターを飲んでいたグラスをテーブルに置くとイルカを見つめた。
思いがけず真剣な眼差しだ。
「イルカ先生の他にって、どういうこと?」
「えーと。だから俺のことを待つなんてしないで、どなたかと食事に行かないのかなあ、と。」
イルカはカカシの気配に押されて、どうも上手く説明できなかった。
「だって、今日は俺、仕事があるって言っていたのにカカシ先生が待っていたから。」
俺じゃなくて、もっと別な人と食事に行ったり飲みに行く方がカカシ先生にはいいのではないか。
その方が里でのカカシ先生の生活が潤うような気がする。
大切な人を作って、その人との時間を大事にしてほしい、とイルカは言いたかった。
「ああ、いいんですよ。」
カカシはあっさりと言い切った。
「俺ね、任務前はイルカ先生と過ごすって決めているんです。だからイルカ先生とじゃなければ意味がない。」
「ええ?任務!」
「はい、今晩から単独で任務が入ってましてね。」
食事を終えたら、その足で発ちますとカカシは言う。
「そうですか。」
そのことを聞いたイルカの気持ちは、一気に沈んでしまう。
先程、言おうとしたことも今は掻き消えてしまった。
カカシの単独の任務をいったら、ランクが高いものに決まっている。
心配する気持ちが胸にあふれてきてしまった。
「お気をつけて。必ず帰ってきてください。」
テーブルの上にあったカカシの手を思わず、握るとカカシも握り返してくれた。
「ありがと、イルカ先生。」
カカシは、にこりとする。
「必ず帰ってきますから待っていてください。帰ってきたら、また、一緒に食事か飲みに行きましょう。」
約束、と小指を出してきた。
「約束?」
「約束してくれたら、絶対に里に帰ってきます。イルカ先生との約束が任務中、俺の心の支えになります。」
そこまで言われるとイルカも断ることが出来ずに小指を差し出した。
二人で指きり拳万する。
「じゃあ約束ですよ、イルカ先生。」
「はい。」
里で待つ人が俺でいいのか、という思いがイルカの中にあるのだが、言い出すことができなかった。
そして任務に行くカカシを見送ることになる。
里の大門のところまでイルカはカカシを送っていった。
「本当に気をつけて。」
イルカは不安そうに手を振る。
「はーい。行ってきまーす。」
笑顔で手を振り返すカカシは、到底、危険な高ランク任務に行くようには見えなかった。
どちらかというと楽しげで幸せいっぱいに見えたのだった。
Time is money 2
Time is money 4
text top
top