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Time is money 10





火影の部屋に運んだ書類の手伝いを、結局イルカは、させられる羽目に陥った。
イルカの他にも巻き添えをくった中忍が何人もいた。
皆、じとーっとした目で五代目を見ながら黙々と書類の処理を手伝っている。
その目は無言で五代目を責めていた。
五代目は「誰だって忘れることくらいあるだろう。」とか「そんな怒るなって。」と言い訳をしている。
だが、中忍たちが怒るのは当然で、手伝うのも当然だった。
何故なら、その書類は溜まりに溜まった残業手当を請求する書類で、しかも何故か全部中忍たちのもの。
事も有ろうに、その書類の締め切りは明日までだった。
つまり、明日までの中忍の残業手当の請求の書類を経理課に回さないと、お金が貰えないのである。
手伝っている中忍たちは五代目の物忘れを恨めしく思いながらも、自分のためだと割り切って仕事をしていた。




イルカは、カカシのことを一時的にでも忘れていたかったので忙しいのは、かえってありがたかった。
することがなければ、きっとカカシのことだけ考えていただろう。
カカシ先生は、あの人が好きなんだ、その考えが頭に何度も浮かぶが、その度に打ち消した。
今は仕事だ、仕事、カカシ先生のことを考えている暇はない。
仕事をすることでカカシのことを忘れられてイルカは少しだけ、自分を慰めることができたのだ。




深夜、午前二時を過ぎて、漸く総ての書類の処理が終わった。
五代目を始め中忍たちは、ほっと肩の力を抜く。
イルカも、やれやれと息をついた。
処理した書類を纏めて明日の朝に経理課に持っていけば、万事オーケーである。
中忍の何人かは、終わるのを見計らって明日も仕事があるからと順々に帰宅していく。




五代目火影の部屋は途端に人口密度が低くなり、残っているのはイルカを含めて四人になってしまった。
イルカと五代目と、五代目の補佐をしている同じく中忍のイズモとコテツ。
「じゃ、俺達も失礼します。」
イルカたちが部屋を出ようとした時、五代目が呼び止めた。
「まあ、お待ちよ。」
「何でしょうか?」
コテツが眉を顰める聞く。
何かを警戒するように言った。
「もう全部終わりましたが?」
「だからだよ。」
五代目は、こっちに来いとイルカたち三人を手招きする。
「お前達、確か明日は休みとか午後出勤とかだろう?」
「よく、ご存知で。」
イズモも慎重に発言した。
「だから帰りたいのですが。」
「いいじゃないか。」
五代目が、どこかに隠していた酒瓶を取り出して、テーブルの上にどんと置いた。
「秘蔵の酒だよ、書類が全部終わったお祝いに少しだけ飲もうじゃないか。」




「飲むって、ここは火影さまの執務室ですよ。」
「平気平気。」
「午前二時過ぎてから飲むっていうのは、ちょっと。」
「それも、オツじゃないかい。」
「でも、五代目は明日も朝から仕事では・・・。」
「いいからいいから。」
「シズネさんに見つかったら怒られますって。」
「大丈夫大丈夫。」
中忍三人に窘められても怯む五代目ではない。
如何せん、年の功で太刀打ちもできなかった。
どうして、こういう時に五代目を止めてくれるシズネはいないのか。
流されるままに、イルカたち三人は秘蔵の酒とやらを飲まされて、気がついたときには朝になっていた。




「綱手さま!」
シズネの声が部屋に響いていた。 「ここで、お酒を飲んではいけないとあれほど私、言ったじゃないですか!」
朝からシズネが五代目を怒っていた。
お酒を執務室で飲んだのが、やっぱりバレたらしい。
怒られている五代目は小さくなって謝っている。



イルカは、がんがんする頭を押さえながらソファーの上から起き上がった。
起き上がると頭がひどく痛くて、おまけに吐き気もする。
起きたイルカを見てシズネは声をかけてきた。
「イルカさん、大丈夫ですか?」
「はい、まあ。」
周りを見るとコテツとイズモは、まだ死ファーの上で寝ていた。
寝ていたというより、頭が痛くて起き上がれないのだろう。
頭が痛い〜、と呻いていた。
「昨日、綱手さまが飲ませたお酒は度数も強くて、飲み慣れないと悪酔いするお酒なんですよ。」
「そ、そうなんですか。」
「ええ。だから、今日が休みなら早々に家に帰って寝たほうがいいかと。」
シズネが申し訳なさそうにしながら言う。
「じゃ、俺、もう帰りますね。」
イルカは、どうにか、ふらふらする体を起こして立ち上がった。
立つと眩暈がして、目に星が飛んでいるよな感覚に襲われる。
「一人で帰れますか?」
心配そうなシズネに、顔を引き攣らせながらもイルカは微笑んで火影の部屋を後にした。




ふらふらする体を叱咤しながらイルカは家への道を歩いていた。
歩きながらも気持ち悪くて、どうしようもない。
早く家に帰って、ベッドで寝たい。
横になって休みたい。
それだけを考えていた。
あとは冷たい飲み物で喉を潤したい。




家への道程が、やけに遠く長く感じられた。
そして、やっとのことで家に着いた時、イルカは安堵する。
安堵したはずだったのだが、家の玄関の前に立つ人物を見て顔色を変えた。
イルカの青い顔が白くなる。
「カカシ先生。」
カカシがイルカの家の玄関の前に、眉を吊り上げて腕組みをして立っていたのだ。
まるで怒っているかのように仁王立ちをしていた。




そして帰ってきたイルカを見つけて、一瞬で目の前に来る。
「イルカ先生!朝帰りなんて!どこに行っていたんですか?」
カカシはすごく怒っているのに、何故か、イルカは安心した。
顔に薄っすら笑いも浮かぶ。
ああ、カカシ先生がここにいる。
そのことを認識したイルカは、ふっと意識が途切れるのを感じた。
体がふらついて、もう限界だった。
カカシに会って、緊張が緩んでしまったなのかもしれない。
気が緩んだイルカは、カカシの前で倒れてしまう。




倒れるイルカをカカシは素早く受け止めた。
カカシの腕の中で、イルカは心から安らいだ。
そこはイルカが一番、安心する人の腕の中だったのである。





Time is money 9
Time is money 11





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