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その手の温もり7



カカシはイルカの手を握りながら、イルカが目覚める半時前を思い出す。
里に到着し病院へ直行すると知らせを受けたアスマが手配していたお陰で、スムーズに診察を受けて入院の運びとなった。
任務の報告書もアスマが提出してくれるらしい。
「アスマ、助かったよ。ありがとう。」
礼を述べたカカシを態とらしく驚きの目で見てからアスマは失礼なことを言い放った。
「カカシが人のために何かしてやるなんてなあ。」
「誤解されること言うなよ。俺はいつだって世のため人のため里のために最善の力を尽くしているよ。」
カカシの戯言に「はいはい。」と適当にあしらってアスマは診察を受けているイルカがいる診察室を見遣った。



「で、大丈夫なのか、イルカは。」
「うん、多分。」
自信なさそうにカカシは頷いた。
「俺が見た怪我の状態とパックンの報告だと命に別状はないと思う。」
「そうか。」
安心したようにアスマは肩の力を抜く。
「そりゃあ、よかったな。」
「まあね、でも。」とカカシは渋い顔をした。



「どうやら目と耳がやられて、両方とも機能しないらしい。」
「というと。」
「所謂、目が見えない耳が聞こえない状態ってやつ。」
「・・・そうか。」
アスマは少し暗い顔になる。
「治るんだろ?」
その問い掛けにカカシは黙った。



「カカシ!」
静かな病院の廊下を音も立てずに足早で近づいてくる気配にカカシは名を呼ばれる。
「五代目・・・。」
「綱手姫。」
そこには五代目火影の綱手がいた。
「イルカが怪我をしたって本当か?」
「はい、今診察中です。」
カカシが診察室を指差すと綱手は迷うことなく診察室の中に入っていく。
暫くして顔を出して二人を呼んだ。



「ちょっと来い。」
ちょいちょいと手招きをする。
カカシとアスマは顔を見合わせてから診察室の中に入った。
そこには目に包帯を巻いたイルカが横たわって眠っているのが見える。
「イルカは視覚、聴覚神経を麻痺する毒により目が見えず耳が聞こえない状態になっている。」
「治るんですか?」
カカシは心配そうに訊く。
「毒が抜ければ自然と治るよ、ただ時間が掛かるがね。」
「どのくらいで?」
「早くて三、四日、長くて一週間くらいだろう。腹の傷のこともあるし、見えない聞こえないでは日常生活が何かと不自由だろうから治るまで入院措置をとることにしよう。」
「そうですか。」
訊いていたカカシは、ほっと安堵の息を吐いた。
よかった、と改めて寝ているイルカを見て、イルカ先生治るよ、と心の中で語りかける。



「じゃあ、俺は帰らせていただきます。」
アスマはイルカの様態を訊き安心したのか診察室を後にしようとする。
その際に綱手に釘を刺された。
「あ、ちょっとお待ち。現在、イルカは見えない聞こえない状態での入院だから、このことは極力、誰にも言わないようにしておくれ。誰かが見舞いに訪れると、精神的にも本人に負担がかかって回復が遅れてしまうからね。」
「分かりました。」とアスマは了承し今度こそ帰っていく。



カカシはイルカの様態が心配で、まだ残っていた。
できたら、このまま付き添ってイルカのために何かしたいくらいである。
そんなカカシに綱手は、わざとらしく咳払いをして話しかけた。
「あー、カカシ。最初にイルカを見つけたのは、お前らしいな。」
「え?ああ、はい。」
「で、だな。えーと、そのイルカなんだが・・・。」
「あ、そーだ!」
カカシは目を輝かせて、手を打った。
「俺、イルカ先生の付き添いしちゃあ駄目ですかね?」
「は・・・。」
「どうせ、任務後は休みだし。できたら俺、イルカ先生の傍にいたいんですよ。目が見えなくて耳が聞こえないなんて、大変じゃないですか。」
「それはいいが・・・。あのなあ、カカシ。イルカの任務で、だな・・・。」
綱手は何かを言い難そうにしているのだがカカシは、そんな綱手の様子に気がつくはずもなく自分の考えに夢中になっている。



そのことで頭がいっぱいでイルカに渡された火影への書状の件も忘れていた。
しかし綱手も、そのことについて何故か強く言ってこない。
結局、カカシは火影の許可を取る形で、治るまでイルカに付き添いをしながら介助するということになったのだった。





その手の温もり6
その手の温もり8




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