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その手の温もり6



イルカに名前を聞かれてカカシは、つい素直に自分の本名を手の平に書いてしまった。
名字のはたけの『はた』、とまで書いて、はたと気がつく。
本当のことを言ったらまずい・・・。
本当のことがばれても気まずい・・・。
自分はイルカを助ける時に中忍と言ってしまった。
嘘がばれたらイルカ先生に嫌われてしまうかも。
・・・どうしよう。
カカシの指は止まってしまった。



イルカはカカシに手を取られたまま大人しく待っている。
だが余りにカカシが身動きしないことから不思議に思ったのか訊いてきた。
「は、た・・・。はた、と仰る名前なんですか。」
ちょっと笑ってイルカは言う。
「俺の知り合いの方に、よく似た名前ですね。でも、その方は上忍なので。はた・・・さんは俺を助けてくれる時に中忍だと仰っていましたから、その方とは違いますよね。」
う、とカカシは言葉に詰まる。
それこそ忘れていてほしい情報だったのに、きちんと覚えているイルカが少し恨めしい。
今、この場で、自分は上忍はたけカカシだと正直に言ってしまいたかったが、そうもいかなかった。
嘘をついてしまったために微妙にチャクラを変えているし、トレードマークの手袋も外している。
ついてしまった嘘は取り返しがつかない。
パックンが言っていたのはこのことか、とカカシは知らず溜め息が漏れる。



耳が聞こえないイルカはカカシの溜め息に敏感に気がついたようだった。
気配で察知したらしい。
「すみません。」
申し訳なさそうに言って手を引っ込めようとした。
カカシは慌てて、引き止めるために手を握る。
イルカは小さい頼りなげな声で言った。
「俺、あれこれ話してしまって。・・・・・・誰かに話していると、気分が落ち着くというか解れてくるので。考えてみれば、ご迷惑でしたよね。」
「そ、そんなことありません。俺のほうこそ・・・。」
そんなつもりじゃ、と弁解しかけてカカシは口を閉じる。
イルカには聞こえないのだ。
代わりにイルカの手の平に丁寧に、ごめんなさい、と書き記した。
「何がですか?」とイルカが不思議そうに訊いてくる。



カカシは心を込めて書いて伝える。
不安になるのは当たり前です、できたら俺はあなたを看病したい、と熱心にイルカの手の平に何回も書く。
「俺の看病って、ここは病院ですよね。なら、俺一人で大丈夫ですよ。」
イルカは気を遣って言ったのだろう。
カカシは、看病でなければ介助します、火影さまも了解済み、と書くとイルカが暫し、沈黙した。
「でも。」と躊躇いながらカカシに訊いてくる。
「・・・いいんですか?俺も誰かに傍にいてもらったら心強いですけど。」
「じゃあ決まりですね。」
カカシは、イルカが見えないことをいいことに顔一面、緩ませて、にこにこ顔になる。
そしてイルカの手に平に、大丈夫、何も心配しないで、と書き、ぎゅっと手を握ったのだった。





その手の温もり5
その手の温もり7




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