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その手の温もり13



病院を出ると空には星が煌いていた。
「綺麗だなあ。」
イルカ先生と一緒に見たいなあ、と思いながらカカシは、あることに気がつく。
「あ・・・。」と自分の手を見る。
「手袋したまんまだった・・・。」
ついでにチャクラも、そのまんまだった。
いつもは少しチャクラの性質を変えていたのに。
「やばい、ばれたかも。」
軽く後悔しながら、カカシはポケットに手を突っ込んだ。
歩き始めてから呟く。
「まあ、ばれてもいいか、なあ。」
自分のことをイルカに解ってもらいたい。
その気持ちが強くなりつつあった。



「でも。」とカカシは眉を潜める。
「嘘をついちゃったこと、どうしよう。」
それを考えると暗い気持ちになってしまう。
「つまんない嘘なんて、つかなきゃよかった。」
ってか、とカカシは勢い余って責任転嫁をしていた。
「パックンがイルカ先生が上忍が苦手、とか余計な情報くれなければ・・・。」
あんな嘘、つかなかったのと言ている。 しかし、パックンは嘘をつくなとカカシに忠告したはずであった。
「あーあ。」と、もう一度、カカシは星空を眺める。
「なんでイルカ先生って、上忍が苦手なんだろう?」
純粋に疑問が沸き出たのであった。



カカシが帰り、病室で一人になったイルカは、直ぐに医者の診察を願い出ていた。
医者がくるとイルカは簡潔に説明する。
「昼間から少しずつ、耳が聞こえるようになっているんです。今は、はっきり聞こえます。」
「声や音が正確に聞こえるということですね。今の私の声も聞こえますか?」」
「はい。」
慎重に医者はイルカを診察した。
耳の中や目の包帯を取って、時間を掛けてイルカを診る。
「目はどうですか?」
「目は、まだ・・・。」
イルカが言葉を濁すと医者は、イルカの目に包帯を丁寧に巻き直して言った。



「耳は正常に戻っています。耳の神経の毒の方が先に効果が切れたんでしょう。目は、もう少し掛かりそうですね。」
「いつ、治りますか。」
イルカの問い掛けに医者は穏やかに言う。
「焦ることはありません。直に治りますから。」
それだけ言うと医者は退室していった。



「直にじゃ困るんだって・・・。」
一人になったイルカは、両頬に自分の両手を当てた。
頬は熱くなっている。
「早く治って。治らないと・・・。」
治らないと、いつまでもカカシは自分の世話をしてくれる、そして言うのだ、昼間のようなことを。
イルカの耳が聞こえず、自分の言ったことが聞こえないと思って。
昼間のカカシの言葉を思い出して、イルカは知らず赤くなっていた。
あんなに優しくて静かで情熱的で、それでいて一途な気持ちを言われたら・・・。
ずっと、自分のことを想っていてくれたなんて嬉しすぎるというものだ。



「あの時の、あの人がカカシさんだったんだ、やっぱり。」
うわーと何もかも、いっぺんに思い出してイルカは一人で、じたばたとする。
あの時カカシに助けられたことも助けたことも忘れたことはない。
「再会したとき、そうじゃないかと思ったけど確証がなかったし、だって訊くに訊けないし。」
まさか、あの時、口移しで薬を飲ませてくれた、俺の初めての・・・の相手ですよね、なんて訊けるはずもない。
イルカの考える、・・・の部分がキスであることは間違いなのだが、それを口に出せるほどイルカは経験を積んでもいなかった。
「明日から、どんな顔でカカシさんに会えば・・・。ってカカシさんは俺が耳が聞こえるようになったのを知らないわけで。」
事態は、こんがらがってきた。
「それに。」とイルカは考え込む。



「なんでか知らないけど、カカシさんは通りがかりの中忍として俺のこと助けてくれて・・・。」
どうして身分を偽ったりしたんだろう。
イルカは首を傾げた。
「普通に名乗って問題ないよなあ。どうして直ぐに、ばれるような嘘をついたのかな。」
別にカカシさんのこと嫌いじゃないし、寧ろ、好きだし・・・。
カカシのことを考えると、胸の動悸が止まらない。
「えーと。」
一先ずイルカは気持ちを落ち着けることにした。



カカシは明日、また来ると言っていた。
言ったからには必ず、来るに違いない。
誠心誠意、何くれとなくイルカの世話を焼いてくれているのだ。
俺、どんな顔して会えばいいんだろう。
いつ耳が聞こえるようになったとカカシに教えれば、と結局、散々悩んだイルカは、その夜、余り眠ることができなかった。
次の日、寝不足の顔でカカシを会う羽目になったのだった。





その手の温もり12
その手の温もり14




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