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眼鏡色の君 7



何日か、そんな日が続きいた、ある日。
仮初の仕事から朝方、帰ってきたイルカは元気がなかった。
ひどく落ち込んでいるように見える。
溜め息を吐きそうになっては堪えているような・・・。
カカシは任務もなく、よく寝てよく食べて、、ひたすらイルカを見ている生活なので元気である。
イルカには任務があるけれども、とりあえず傍にいて毎日顔も合わして寝食共にしているので憂いもない。
「イルカ先生、具合でも悪いの?」
まずは体調のことをカカシは訊いてみた。
「いえ。」
短く答えてイルカは首を振る。
眼鏡をかけたままだったので、いまいち表情が分かり辛い。
カカシの方を見ようともしないので尚更だ。
「お腹、空いてる?」
「あんまり・・・。」
答えてイルカは憂鬱そうな顔をする。



「そう、でもさあ。」
カカシはイルカの顔を覗き込む。
「イルカ先生、元気ないよね。」
ズバリ、訊くとイルカは肩を落とした。
「それは。」と力なく言う。
「俺の力不足というか、精神鍛錬の足りなさが露呈したからです。自分が不甲斐ない・・・。」
何やら自分を責めているようで穏やかではない。
「不甲斐ないって何が?」
イルカの働いている店に行ってカカシは気配を消して邪魔しないようにしてイルカを見ているが、特に落ち度とか感じられない。
街に馴染んで人に溶け込んで、潜入捜査だとしたら上手くいっているいると思う。



何が原因なんだろう?
任務で何がトラブルでも、と思ったが口は出さない約束だ。
イルカの悩みの原因や負担を取り除いてあげたいが、口出しすると怒られる。
どうしよう、とカカシが腕組みをして考え込んでいるとイルカが、チラリとカカシを見た。
「・・・カカシさんが。」
「俺?」
急に自分のことを言われたので、びっくりしてカカシは自分で自分を指差した。
「俺が何か?」
変なことやおかしな行動はしていないはずである。
なのにイルカはカカシの何かを指摘しようとしていた。
「カカシさんが格好いいから。」



「格好いい!」
「そうですよ。」
イルカは口惜しそうにしている。
「眼鏡をかけたカカシさん、すごく格好いいんです。」
「そうですかあ〜。」
イルカに褒められてカカシは、ちょっとデレッとしてしまう。
目尻が垂れて顔が緩んでいる。
「イルカ先生が、そんな風に思っていてくれるなんて嬉しいなあ。」
ねえねえ、とカカシは調子に乗ってイルカに言う。
「俺もイルカ先生の眼鏡をかけたところ、すごく格好よくて好きです。眼鏡をかけた顔も可愛くて大好き。」
カカシは家では外していた眼鏡を、おもむろにかけた。
そうしてイルカの方を向き直る。



「眼鏡をかけたままキスしてみませんか?」
「え・・・。」
「こんなシチュエーション、滅多にないですし。ちょっと、やってみませんか。」
「あの最初の話とずれてる・・・。」
「まあまあ、いいじゃないの。ね?」
笑顔で強請られるとイルカに為す術はない。
カカシの勢いに押されて、つい頷いてしまった。
「やった!」
嬉しそうな声を出してカカシはイルカにキスしようとしたのだが・・・。



カチッ。
唇が触れ合う前に眼鏡がかち合ってしまった。
眼鏡がキスの邪魔をしているのだ。
再度、チャレンジしてみても上手くいかない。
「ううむ、眼鏡が俺たちの間を邪魔をしますね・・・。」
「眼鏡をして無理に、こんなことしなくても。」
「でも、してみたいです。眼鏡のロマンですよ!」
そう言うとイルカが、ふっと笑った。
正面から眼鏡をかけたカカシを見て「やっぱり格好いい。」と呟く。
そして。


「こんなに格好いいから女性が放っておかないんですよね。」
諦めたような口調で言った。
「え、女性って。」
全く身に覚えのないことを言われてカカシは眉を顰める。
「俺はイルカ先生、一筋で他の人に心を移したりしませんよ。」
「それは十二分に解っているんですけれど。」
とうとう、イルカは溜め息を吐いた。
「カカシさん、眼鏡をしていても素顔を晒しているでしょう。だから女性が放っておかないんですよね。」
「え、何それ。」
「だってカカシさん、お店で女性に相席を許しているじゃないですか。最初は一人だったのに、日に日に、その数は増えてカカシさんの周りの席にはカカシさん目当てと思われる女性で席が埋め尽くされていますよ。」
「そうなの?」
全然、知らなかった事実だ。
何しろカカシはイルカしか見ていないから。
イルカ以外どうでもいいから、誰が相席しようと相手に関心がないのでどうでもよかった。



「女性に騒がれるカカシさんを見ていると・・・。カカシさんが、そういう人だと解っていても・・・。」
複雑な気持ちになります、とイルカは胸の内を告白した。
平静は気持ちでいられないらしい。
だから先ほど、自分が不甲斐ないやら精神鍛錬が足りないやら言っていたのだ。
でも、それって。
かなりカカシは胸踊る。
それって嫉妬だよねえ。
イルカ先生が嫉妬してくれている。
その事実に、にんまりとした。
女性云々は事実無根で本当に何もないけれど。
気持ちが通じ合ってからイルカが自分の方から気持ちを示してくれることが少なかったのでカカシは嬉しくなってしまったのだった。




眼鏡色の君 6
眼鏡色の君 8






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