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ずっと待っていた7



「あー、えっと」
カカシの腕の中でイルカは脱出を試みた。
「もう夜も更けてきたので、そろそろ寝ないと」
それは本当のことだった。
イルカが呼び出されたのも深夜といえる時間帯だったので下手したら朝になってしまう。
寝ると口に出してしまうとイルカは本格的に眠くなってきた。
任務の疲れも溜まっている。
急激に眠気が襲ってきてしまう。
欠伸をかみ殺しながらイルカはカカシに訴えた。
「ふあ、ねむ・・・。はたけ上忍、眠くないですか?」
「カカシさん、でしょ」
「あ、はい。カカシさん」
眠気に押されたイルカは素直に答えてしまう。
普通の状態なら絶対に呼ばないであろう、呼称だ。
「そうだねえ、眠っとかないと後が辛いか」
目を、しょぼしょぼさせるイルカを見てカカシは呟く。
とりあえず、カカシさんと呼ばせることは達成したので満足だった。
「じゃ、帰りますか」
イルカの手を取り引っ張ると、これまた素直について来る。 目を擦りながらカカシに手を引かれ歩くイルカの姿は、どこか幼く見えたのだった。



それから任務でイルカが男に、というか誰かに迫られることは。ぱったりとなくなった。
誰にも何も言われない。
ごくごく普通に任務をすることが出来た。
カカシとは時折、言葉を交わす程度だ。
上忍と中忍なので任務の役割が違う。
当たり前だった。
カカシが他の誰かと話す姿を遠くから見ているのがイルカの常だ。
まあ、だって。
イルカは自分に言い聞かせる。
カカシさん・・・。
はたけ上忍とは仮の恋人だし。
あの人が俺に関係してこなければ特に何もないんだよな、俺とはたけ上忍は。
あの人とはイルカに迫ってきた上忍である。
元々、はたけ上忍と俺は違うしなあ。
などとイルカは考えていたのだが。
カカシとイルカが恋人であるという事実はイルカの知らぬところで実しやかに噂として広がっていった。
もちろん仮の恋人ではなく、本当の恋人としてだ。
イルカは何も知らず、カカシは全てを知っていたのだが噂が事実として広がることに対して特に否定もせず打ち消すこともせず、むしろ肯定の意を唱えていたのであった。



任務終了の日。
休憩時間にイルカはカカシに呼ばれた。
二人きりになれる場所で。
任務が終わってカカシとイルカは別々になる。
イルカは里に帰り、カカシは再び別の任務へと旅立つ。
カカシの任務は長期間に亘り木の葉の里に帰るのがいつになるのか未定なので当分、イルカはカカシに会うことはない。
おそらく何年もカカシに会えないに違いない。
「寂しいよねえ」
イルカの手を取ってカカシは言う。
「恋人同士が離れ離れになるなんて切ないよね」
そう言われてイルカは返答を迷う。
恋人だと言われても、仮のだし。
「任務で長い間、会えないなんて恋人がいる人間には世知辛い世の中だよねえ」
愚痴っている。
カカシの真意が見えなくてイルカは黙っていた。
「そう思わない?イルカ」と話を振られたのだが。
「ええ、まあ。そう・・・・・・かもしれませんね」
歯切れ悪く答えるのが、やっとだった。
それをどう受け取ったのかカカシはイルカを見て、にこりと笑った。
取られていた手を強く握られる。
「イルカは?俺と離れることになるけど寂しい?」
「え、俺?俺は・・・」
寂しいと言われれば寂しい。
でもイルカの目の前で、にこやかな顔をしている人のことをイルカはよく知らない。
良い人で、きっと強い人だと思うけど。
じっとカカシの顔を見つめる。
片目だけ出して変な覆面しちゃって髪は目立つ色で、でも優しくて。
恋人っていうよりも、どっちかっていうと・・・。
イルカは思う。
恩人、かな〜、と。



「せっかくお知り合いになれたのに会えなくなるのは・・・」
正直に心の内を明かす。
「寂しいかなって」
言ったことは嘘ではない。
本当のことだ。
カカシはイルカの言葉を聞くと、ただ笑った。
「そう」
そして握っていた手を引くとイルカを抱き寄せた。
カカシに思わぬ力で抱きしめられてイルカは一瞬、息を止まった。
それほど強い力だった。
「俺は、すごく寂しいよ」
心に響くようなカカシの声は本心を言っているのだろう。
「イルカに会えなくなるかと思うと寂しくしょうがない」
嘘だろう、とイルカは自分の状況が把握できずにいる。
はたけ上忍って男で、男に抱きしめられている俺って、いったい・・・。
混乱している。
あんなに男は嫌悪してはずなのに。
自分が自分で分からない。
恋人たって『仮』のだろ?
「任務を終えて、なるべく早くイルカに会いにいくからね」
そう耳元で甘く囁かれて体が硬直する。
甘い声と言葉にイルカは動けない。
そんなイルカにカカシは声と言葉同様の甘いキスをしたのだった。




ずっと待っていた6
ずっと待っていた8





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