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ずっと待っていた5



相手の姿が消えてから、漸くカカシはイルカの拘束を解いてくれた。
「いたたた・・・」
捻り上げられた手首を擦るイルカは本当に痛そうであった。
「ごめーんね。大丈夫?」
カカシが言うとイルカは眉を顰めてカカシを見る。
「大丈夫ですけど・・・」
「それは良かった」
「良くないですって!」
イルカは声を張り上げた。
「なんで、あんなこと言っちゃったんですか!ぜんぜっん、全くの事実無根じゃないですか!」
「まあまあ、落ち着いて」
「はたけ上忍と俺が、いつ恋人になったんですか?何時何分何曜日?」
「ちょっとイルカ・・・」
「言ったこと全部、真っ赤な大嘘じゃないですか!」
「声が高いよ」
カカシが、しーっと人差し指を口元に当てる。
「大きい声出すと他の人に聞こえちゃうでしょ」
あいつが戻ってくるかもしれないよ、との言葉にイルカの肩が、びくりと揺れた。
きょろきょろと周りを見回して警戒している。
「俺がいれば平気だから、とりあえず安心してよ」
「・・・はい」
大人しくイルカはカカシに従った。



だが。 「でも」とやはりイルカは納得できない顔をしていた。
「はたけ上忍と恋人って・・・」
うーん、と考え込んでいる。
「うー」とか「あー」とか何回も繰り返して唸り声を上げていた。
「ねえねえ、イルカ」
カカシは気軽に言った。
「恋人ってのは仮のだからさ、深く考えないでよ」
「仮?」
「そうそう。あーでも言わないとイルカが大変でしょ」
「それは、まあ・・・」とイルカは言葉を濁す。
「俺は別に男が好きとかじゃないし恋愛自体に興味は薄いし」
にこ、と笑ってみせる。
「もしもイルカに好きな人が出来て上手くいったら、この仮の恋人関係は解消すればいいじゃない」
「なるほど」
「それまでは俺と恋人関係になっていれば安心だよ」
疑問符を浮かべるイルカにカカシは自信たっぷりに言う。
「こう見えて俺は結構、強いから。俺の恋人には誰も手を出さないよ」
カカシにそうまで言われてはイルカは断る術はない。
そうして成り行きに流されてカカシとイルカは恋人になった。
『仮』のであるが。



「あ!」
唐突に何かを思い出したようにイルカはカカシに頭を下げた。
結った髪が、ぴょんと揺れる。
「ありがとうございました、助けていただいて!」
なんだか早い展開に押されて頭が回っていなかったが、カカシに助けられたのを思い出したのだ。
「すみません、本当にありがとうございました」
深く頭を下げて何回も礼を述べる。
「はたけ上忍が来てくれなかったら、俺・・・」
「いいからいいから。顔を上げて」
頭を下げるイルカの肩をカカシは叩いた。
「間に合って良かったよ」
「・・・はい」
意気消沈した顔をイルカは上げる。
「ところで。なんで、こんな時間にこんな場所にいたの?」
「それは、それの・・・」
「呼び出されたの?」
こくっとイルカは頷いた。
「あれは、前に言っていた迫られた相手?」
またイルカは頷いた。
「なのに、どうして。危ないって分かっていたでしょ」
「・・・・・・断れなくて」
断れないとは逆らえないということだ。
相手は上忍だから。
「逃げようと思ったけど足が動かなくて」
目を伏せてイルカは苦しそうに言う。
「体が言うことを利かなくて」
悲しそうだった。
「心では嫌だ、逃げたいと思っていたのに。怖くて・・・」
辛い顔で、そう告げられた。
「情けないですよね」



「そっか・・・」
イルカの心境を思うとカカシも心苦しくなる。
「ごめんね、つまらないこと訊いて」
「いえ」
辛い顔でもイルカは笑顔を見せた。
「はたけ上忍は謝らないでください」
逆に、そう慰められる。
「はたけ上忍は、こんな俺を気遣ってくれて優しくて」
イルカはカカシの目を一直線に逸らさずに凝視する。
「いい人ですね、はたけ上忍は」
イルカの瞳に嘘は見えない。
心から言われたと解るとカカシは照れてしまった。
「そうでもないよ〜、俺は割りと計算高いしね〜」
弁解しておいた。
「一応、言っておくけど。さっき男は好きじゃないと言ったけど、好きな人の性別は厭わないんだよね」
「え」
「まあ、そのうち解るよ」とカカシは、はぐらかして。
別のことをイルカに尋ねた。
「ところでイルカ」
「はい」
「あいつの迫られて嫌だったのは分かったけど」
ぐっとイルカの顔を近づけた。
「俺とのキスは嫌じゃなかったの?」
途端、イルカの顔が真っ赤になった。
「男に迫られて、吐くほど嫌で物が食べれなくなるほど嫌で、挙句の果てに倒れたのに」
もっと顔を近づける。
「その男の俺にキスされて嫌じゃなかった?」
甘く低くイルカに囁いた。
カカシの吐息はイルカの唇に触れる寸前だった。




ずっと待っていた4
ずっと待っていた6





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