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ずっと待っていた17



オリキャラ注意


カカシさんに会ったらどうしよう。
気まずい・・・。
カカシと別れた後、イルカは散々に悩んだのだが、それは空振りに終わった。
なぜならカカシは次の日から任務で里を留守にしてしまったのだ。
表向きは休養中のカカシであったが、任務が回ってきたらしい。
当分は里に戻ってこないと噂に聞いた。
大変だなあ。
里に残って通常の業務をするイルカは仕事の合い間合い間に、カカシのことを心配していた。
もう別れたはずなのに気がつけばカカシのことを考えている自分がいる。
いつの間にか、カカシはイルカの心の大半を占めるようになっていたのだ。
カカシさん、どうしているかなあ。
会ったら気まずいと悩んでいたはずなのに矛盾したことをイルカは思っている。
空の色は、もう秋になっていた。
男心と秋の空。
だがイルカの心は変わることなくカカシのことだけを想っていた。



カカシに会わなくなって一週間が過ぎた。
会わなくてもイルカの生活に変化はない。
毎日、仕事をして修行をして忍者としてのスキルを高めていく。
とにかく頑張らないと。
頑張るしかイルカには道はないように思えた。
忍者として尊敬するカカシに近づきたい。
密かにそんなことを考えるようになっていた。



ある夜遅く。
イルカは一人、夜道を歩いていた。
仕事で遅くなったのだ。
忍者なので夜目は利く。
暗くても歩くのに差し障りはない。
てくてくと暗い道を歩くイルカの足取りに迷いはない。
もう少しで家に着くといった場所で声がした。
「・・・久しぶりだな」
イルカの足が止まった。
「・・・大きくなったな」
聞き覚えのある声だった。
その声は何年も聞いていなかったが耳が覚えていた。
暗闇から声がする。
「・・・覚えているか、俺のことを」
その後に笑い声がする。
くっくっくっと笑う声はひどく耳障りであった。
周りは暗く外灯はない。
人もいなかった。
イルカと暗闇にいる人間以外には。
ばくばくとイルカの心臓が勝手に音を立て始める。
その音は不穏と危険を知らせる音だった。



逃げなくちゃ!
咄嗟にイルカは思ったのだが足は動かない。
それどころか呼吸も侭らなかった。
急速に喉がからからに乾いていく。
ここから遠ざからないと。
動け、足!
足はイルカの言うことを利かずに、がくがくと震えている。
じゃり、と音がして暗闇の中の人間が一歩、動いた。
じゃりと、また音が聞こえる。
来るな!と念じてみたものの願いは叶わなかった。
とうとう、その人物はイルカの前に姿を現した。
その人物はカカシとイルカが仮の恋人になる切っ掛けを作った人物であった。
そして二度と会いたくなかった人間だった。



「この日を待っていた」
目の前の人物は口を歪めて笑っていた。
その笑顔は、ひどく邪悪に見えた。
「今は一人なんだってな」
一人とは、この場所でイルカ一人だということを指すのだろうか。
「カカシとは何も関係がなくなったらしいじゃないか」
恋人関係の方だった。
「カ、カシさんとのことはあなたとは関係ありません」
カカシの名前を聞いて少しだけ勇気が出た。
「そ、それに」
からからの喉が張り付くようだ。
「何で今頃・・・」
それが疑問であった。
目の前の人間は戦場で魔が差して同性のイルカに迫ってきたと思い込んでいた。
里に帰ってくればイルカには興味がないと思っていたのだ。
忘れていた過去が鮮明に思い出される。
忘れたと思っていたのにイルカの記憶の中にトラウマとなって、しっかり刻み込まれていた。
「そんなことはいいじゃないか」
ずっと気になっていた、と目の前の人間は手を伸ばしてきた、イルカの方へ。
足が動かなければ手で・・・。
印を結び術を発動すれば、この場から逃げることができる。
だけども、その願いも空しく足の震えが全身に伝わってしまった今、印を結ぶ手も震えていた。
震える手では印が結べない。
足も動かず手も動かず、もう駄目だと思った、その時であった。
伸ばされてきた手が止まっていた。
一ミリも動かない。
しっかりと誰かに掴まれて動きを止めている。



「やあねえ」
女性の声だった。
こちらも聞いたことがある声だった。
「相手を力で押さえつけようなんて」
場にそぐわない涼やかな声音だ。
「最低よ」
ぐわっと一陣の風が巻き起こり、目の前の人間は吹き飛ばされ暗闇に消えていった。
遠くの方で、どさっと高いところから物が落ちるような音が聞こえた。
気配が小さくなり動かなくなっている。
一連の動きに呆然としているとイルカに声が掛けられた。
「大丈夫?」
長い黒髪が暗闇で揺らめいている。
「怪我はなかった?」
「・・・・・・・・・はい」
イルカを助けてくれたのは初対面の時は銀髪で、どことなくカカシに似ていると思った女性だった。
どっとイルカの体から力が抜けた。
もう安心だと感じると同時に緊張が解けたのだ。
辛うじて立っているれるだけの力が残っている。
「ど、どうしてここに?」
まだ震える声で尋ねると女性は、にっこりと微笑んだ。
「カカシに頼まれたのよ」
思いも寄らない答えだった。





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