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ずっと待っていた14



だけどカカシの反応は違っていた。
呆然とした表情から抜け出して、悔しそうに歯噛みしている。
本当に悔しそうに。
「油断した・・・」
くぐもった小さな声がした。
続いて「俺としたことが・・・」と。
ぎりぎりと歯を噛み締めて眉を顰めるカカシは辛そうだった。
「あの・・・」
そんなカカシに何と言葉を掛けていいものか。
カカシがこんな風になったのは理由は不明だが原因はイルカだろう。
俺が悪いよな。
胸が抉られるように痛くなる。
俺・・・。
下を向いてしまう。
カカシの顔を見ていられなかった。
その時だ。
イルカの体が、ぐっと引き寄せられた、カカシの胸に。



「あー、もうっ!」
カカシは何やら叫びながらイルカを腕の中に閉じ込める。
閉じ込められた腕の中で、はあっと息を吐いたイルカは目を閉じた。
とっても安心する。
すごく気持ちが良くて落ち着く。
だんだん体の力が抜けていくのが分かる。
リラックスしている証拠だ。
ぼんやりとした意識の中で思った。
なんで、あの女の人が好きだと思ったんだろうなあ。
確かに素敵な人だったけれど。
息を吸い込むと、ふわりとカカシの匂いを感じた。
懐かしい気がする。
カカシさんがここにいる。
「イルカ?」
どうしたの、とカカシの声が聞こえた。
焦っているような。
「どうしたの?笑っているみたいけど」
自然に笑みが浮んでいたらしい。
目を開けたイルカはカカシの顔を見据えた。
大好きな人だ、いつもイルカのことを優しく見ていてくれる。
素直な気持ちでイルカは言った。
「なんで、あの人に告白したんだろうと思って」
「え?」
「カカシさんがいるのに」
ちょっと笑う。
イルカの言葉が聞こえたカカシが大きく目を見開いた。
「それって」
ごくり、と唾を飲み込むカカシ。
「それって、どういう意味かな?」
慎重に尋ねてきた。
口調に期待するようは響きがある。



「どういうって・・・」
特別に深い意味はない。
ただ口から出てしまったのだ。
だが、しかし。
カカシは何かを期待している、ものすごく、とっても。
「イルカはあいつに告白したことを疑問に思っているでしょ」
「え?ええ、はい、多分」
「俺に悪いと思ったの?」
こくり、と頷く。
それは本当だ。
「俺のことを気にしてくれたんだね」
「はい」
「俺がいるのにと思って、それで・・・」
それで、の後はカカシは何を言うのだろうか。
「それで、つまりは・・・」
「カカシさん?」
「あいつより俺がいいってことだよね?」
「あー・・・」
指摘された。
そう言われれば、そうかもしれない。
「ね?そうだよね」
カカシの言い方は確認というより確信に変わっていく。
「・・・そうだと思います」
そうだと思うのだけど、いまいち、イルカには自信がない。
自分のことなのだけど。
でもカカシとは仮の恋人だから。



「じゃあさ」
カカシが打って変わって、希望を見出したような顔をする。
「じゃあ、それって」
何かを確信したカカシが確信部分を言おうとした時に、どこからから小さな音が鳴った。
「あ!」
イルカは、すぐに分かった。
「すみません」
照れ隠しに笑う。
「夕飯、まだだったんで俺、腹、減っちゃって」
夕飯が食べたいとイルカの腹が主張したのだ。
カカシと再会して色々話して、気持ちが落ち着いた所為もある。
思い出したように腹が減ってきた。
「飯がまだなんで、そろそろお暇します」
イルカは自宅に帰って夕飯を食べるつもりになっていた。
「ちょっと待ってよ」
慌てたカカシがイルカを引き止める。
「ここで帰るなんて駄目だって。数年ぶりに再会したのに」
しかしカカシは帰ってきたばかりだし、明日、また会えばいいのではないか、とイルカは思った。
カカシも、きっと疲れているし、その方がいい。
「いい訳ないでしょ」
玄関にいたイルカに追いついてきたカカシは言った。
「恋人との再会の夜なのに」
恋人の前に、仮の、が付くのが分かっていたが。
カカシの言葉を聞いたイルカは、ちょっと嬉しくなったのだった。




ずっと待っていた13
ずっと待っていた15





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