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ずっと待っていた12



「カカシさん!」
その時、イルカはとても嬉しそうな顔をしていたのだろう。
女性はそんなイルカを優しく見ていた。
「そうなの、カカシにね、あなたが心配だから様子を見るように言われたのよ」
「そうだったんですか」
イルカは任務で里を離れているカカシが自分のことを気にかけていてくれることに胸が、じんとなる。
「カカシと任務が同じでね、私は先に里に帰れることになったから」
道理で女性はカカシのことを知っていたわけだ。
「カカシも、もうすぐ帰ってくるから」と嬉しい知らせも教えてもらった。
「そうなんですか」
カカシにもうすぐ会えるんだと思うとイルカの顔に笑みが浮かぶ。
「カカシさん、お元気でしたか?」
イルカが、そう尋ねたことによって女性からカカシの近況を聞くことができた。
しばらく話をしてから女性と別れたのだが、女性は別れ際に言った。
「私は当分の間、里にいるから困ったことがあったらいつでも言ってきてね」
親しげな言葉を掛けてくれた。



女性は上忍でカカシの同僚でもあるらしい。
里でイルカを見かけると、いつも声を掛けてきてくれた。
「こんにちは」
女性の笑顔は、とても素敵に見えた。
「元気?」
話しかけられるとイルカは妙に胸が高鳴った。
髪が銀色でカカシと同じというのもある。
カカシを連想させる女性に警戒心を抱くことはない。
「あ、はい。元気です」
そんな言葉を交わした後、必ずカカシの話題になった。
女性から自分の知らないカカシのことを聞くのは楽しかった。
自分が見たことのないカカシの話は興味深い。
女性からカカシの話を聞くイルカは知らず知らず、目を輝かせていたのだった。



それからも何回か女性に会ったのだが、会う度にイルカは女性が忘れられなくなってきた。
柔らかな物腰や優しげな口調。
カカシに似通っていることも原因の一つだった。
年齢は知らないけれど明らかにイルカよりも年上で、頼れるお姉さんみたいに思えてしまう。
年上のカカシに対して、同じような気持ちだ。
イルカは女性に対して複雑な感情が芽生えてしまったのを感じていた。
これって恋じゃないのかな?
自問自答してみる。
恋のような気もするけれど恋ではないような気もする。
どっちなのだろうか?
もしかして初恋!と心を、ときめかせてみるが恋に恋しているような感覚が拭えない。
・・・・・・俺のこの気持ちってなんなんだろう。
割り切れない。
考えに考えた末、イルカは女性に言ってみた。
精一杯の気持ちを込めて。
「好きです!」
女性は、一瞬、意外そうな表情をしたが余裕の笑みでイルカを一蹴した。
「ありがとう」
それだけだった。
しょげるイルカを前にして女性は諭すように言う。
「あなたのそれは恋じゃないのよ」
それから「明日になれば分かるから」とイルカの前から姿を消した。
「明日って?」
首を傾げるイルカ。
「恋じゃないって?」
その答えは実にあっさりと出た。



次の日。
イルカは女性を探してみたが一向に見つからなかった。
「どこにいるんだろう?」
里の中、思いつく場所は探してみたがいない。
「うーん」
イルカは里内で、自分の仕事をする合間に女性を探していた。
「どこにいるのかなあ」
夕方、最近は受付の仕事をしているイルカに、すっと報告書を出してくる人がいた。
「お願いします」
声に気がつき、はっと顔を上げると女性が立っていた。
「あ!え?」 イルカが戸惑うように声を上げる。
女性の長い髪は銀色ではなく、真っ黒になっていた。
元から銀色だったのか、染めて黒くなったのか定かではない。
ふふ、と女性は意味深に笑う。
「気がつかなかったでしょ?私は、ずっと里中にいたのに」
「・・・はい」
正直に言ったイルカに女性は気を悪くした風でもない。
「あなたは私がカカシと同じ髪の色だったから私のことが気になっていただけなのよ」
はっとするようなことを言われた。
「それにね」
女性が面白そうな顔をする。
「私はあなたとはカカシのことだけしか話していないわ」
そうだった・・・。
衝撃な事実であった。
女性については上忍でカカシの同僚ということ意外、イルカは知らない。
目の前の女性自身についてはイルカは何故か興味が沸かなかった。
続いて女性は、すっと顔をイルカに近づけ、更に衝撃的なことを告げた。
「それにね」
イルカに秘め事のように囁く。
「私、男に興味ないの」
ごめんなさいね、と爽やかな笑顔で女性はイルカの前から去って行ってしまった。



その後。
どうやって仕事をこなしたのか、イルカは余り覚えていない。
衝撃的な事実が多すぎて頭の中が整理できていない。
受け止めなければ思いながら、ぐるぐると何回も同じことを考えていた。
カカシさんと同じ髪の色だから気になっていた!
カカシさんのことだけしか話していない!
それに。
女性が最後に言った言葉。
男に興味がないって、それって・・・。
仕事が終わってイルカは帰途に着く。
家までの道を、とぼとぼと歩きながら考えを纏めようとしていたが。
如何せん、イルカのほぼないに等しい恋愛経験、または培ってきた人生経験からはどうにも答えが出なかった。
混乱を極めている。
ふと足を止めた。
止めた場所はカカシの家の前であった。
無意識に内にイルカはカカシの家に来ていたのである。
ここに来てもカカシさんはいないのに・・・。
空しく主のいない家の玄関扉を見つめていると、がちゃりと玄関のノブが回る音がした。
いきなり玄関の扉が開く。
扉が開いて出て来た人にイルカは目を瞠った。
家の主が、そこにいた。
本物のカカシだ。
「あ!」
カカシはイルカを見て小さく声を上げた、喜びの。
「イルカ」
その声は相変わらず優しかった。




ずっと待っていた11
ずっと待っていた13





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