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協定者たち 7



カカシは切り込むように言った。
「そう、俺とイルカ先生の付き合いを認めたけど、それは態のいいガード役を俺にさせたいからだろう?」
沈黙しているゲンマ。
「昨日の夜の侵入者は明らかに敵意を持っていた。ゲンマたちの敵対している者だろう?自分の目が届かない時は俺にイルカ先生を守らせたい、守らせるまでもいかなくても俺を敵の牽制に使いたい、そんなところじゃないのか。違うか?」
ゲンマは何も言わない。
しかし、沈黙こそが肯定の意味を成していた。
「何か言ったらどうなんだ、ゲンマ。」
「降参。」
とゲンマは両手を掲げる。
「ドンピシャ、その通りですよ。俺はイルカとカカシさんが付き合うように仕組んだけど、それは別に愛とか恋とかさせるためじゃない。木の葉でも随一の技の使い手で、実力もあるカカシさんにイルカに付いていてもらいだけだった。」
ゲンマの赤い目はいつの間にか元に戻っていた。
「確かに敵対する者がいる。その動きを牽制するためには強い者が必要だった。」
溜め息を付きつつ、ゲンマは言う。
「悪いとは思いましたがね、背に腹は変えられない状態だったんで。それに。」
キラとゲンマが目を光らせる。
「今はもう、この事実を知ってもカカシさんはイルカから離れないでしょう?」
今度はカカシが黙る番だった。
「俺達の思惑がどうあれ、カカシさんがイルカを想う気持ちは変わらない。」
「そりゃ、まあねえ。」
歯切れが悪くなるカカシ。
「だいたい、イルカに恋愛は無理ですよ。今の今まで誰とも付き合ったことが無いんですから。」
「え?」
「訳ありでイルカは誰ともそういう関係にはなれないんです。」
「それって俺がイルカ先生の初恋の人になれるってこと?」
カカシは目を輝かせた。
「良い方に解釈する人ですね。」
ゲンマは頭をカリカリと掻いて顔を顰める。
「訳ありって言ったでしょうが。それにイルカは俺の大事な親友の大事な子供なんですよ。易々とカカシさんには渡せませんて。」
「でも、俺とイルカ先生、付き合っているしねえ。」
嬉しさを抑えきれない顔でカカシが言うと、ゲンマがすかさず水をさす。
「さっき、カカシさんも言ったじゃないですか。ガード役だって。」
「そんなの俺には関係ないもんね。」
強気のカカシにゲンマも強気で対抗する。
「そう簡単に事は運ばせませんよ。俺はイルカの名付け親ですし、俺にとってイルカは自分の子供に等しいものがある。」
「じゃ、これからゲンマのこと、お父さんって呼ぼうか?」
「気色悪い、鳥肌立ったじゃないですか。」
ぞぞっとゲンマは身を竦ませる。
そんな二人の会話を遮るように咳をする者いた。
「ごほごほ、漫才はそこまでにして下さい。」
ハヤテであった。
「イルカの担当医から退院許可が下りました。イルカをロビーに待たせてあります。」
「おう、今行くよ。任務の後処理すまなかったな、ハヤテ。」
「いいえ。」
ハヤテは慇懃に答えて「さあ、行きましょう。」とカカシとゲンマを促した。




ロビーに行くとイルカが所在なさ気にポツンと椅子に座っていた。
「待たせたな、イルカ。」
「ゲンマさん、ハヤテ。」
イルカが安心したように声を上げたのがカカシは気に入らない。
「イルカ先生、俺もいますからね。」
自分のことを強調しておかねばならない。
「カカシ先生。」
イルカが名を呼び、こちらを見たことで満足した。
「ところで、今夜はどうする?俺んちに泊まるか?」
ゲンマが提案する横でハヤテがぼそりと言う。
「それは駄目です。夜半過ぎから任務が入りました。」
「ええ〜。また?最近、超過勤務じゃねえの?」
「宿命とでも思ってください。」
「ちっ。」とゲンマは舌打ちして苦い顔になった。
「それから、イルカは明日から通常任務再開なのでアカデミーに行くように、とのことです。」
「すみません。」
イルカは項垂れた。
「俺があれしきの毒でやられたせいで、二人に負担が。」
「多分、毒と体の相性が悪かったんだろ。」
素っ気無くゲンマは言い、「気にするな。」と付け加える。
「ゲンマさん、俺。」
「ん?」
「『家』に帰りたいです。」
懇願するようにイルカはゲンマを見上げてきた。
黒い瞳が煌く。
「ああぁ、家、ねえ。」
「家、ですか。」
珍しくゲンマもハヤテも困っている。
「うーん。ちょっと今は、なあ。」
ちらっとカカシを見てゲンマは明るく言った。
「まあ、そんな気弱になるな。今夜はカカシさんにイルカの家に泊まってもらえ。」
「え?」
「ええっ!」
驚くカカシとイルカ。
ハヤテもちょっと驚いている。
「大丈夫、カカシさんもいきなり変なことはしないだろうし。」
釘を刺すことを忘れない。
「変なこと?」
「イヤ、こっちの話だ。いいですよね、カカシさん?」
「もちろん。」
願ったり叶ったりだ。
今夜は楽しくなりそうだと、カカシは密かに心を躍らせたのだった。



協定者たち 6
協定者たち 8

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