協定者たち17
※ハヤテの死に関係する表現があります
カカシの言い分を聞いてゲンマは肩を竦めて、盛大に溜め息をついた。
「あのですね、カカシさん。」
「なによ。」
「俺はイルカの親も同然の立場なわけですよ。」
「だから?」
「でもって、その子供同然のイルカが目の前で押し倒されていたら、どうすると思いますか?」
カカシは即答した。
「押し倒した方を応援する。応援して仲を発展させる手伝いをする。」
「違います。」
ゲンマも即答した。
「んなもん、しないに決まっているでしょうが。」
そう言ってカカシをイルカから離そうとしたのだが、カカシはイルカに貼りついて、しぶとく離れる様子を見せなかった。
「もう、いいでしょうが!十日間くらい抱きついた気分でしょう。」
「なに、それ!正味、五分も抱きついてないよ。」
「感覚の問題です。」
カカシとゲンマの不毛な言い争いが始まろうとした時、カカシに押し倒されているイルカから声が上がった。
「カカシさん。」
「はいはい、なんでしょう。」
イルカの呼びかけにカカシは途端に、上機嫌になる。
「退いてください。お願いします。」
「え〜。」
不満そうな声をカカシは出した。
「やだな〜。次はいつ、こんなに、ときめく状態になれるか分からないんですよ。」
「と、ときめくって・・・。」
親同然のゲンマの前で、こんな姿を見られてイルカは慌てている。
カカシは、それが気に食わない。
逆に、見せ付けるようにイルカを、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。
「カカシさん!」
イルカは焦って言った。
多分、焦りすぎていた。
「ど、退いてくれたら、里に帰って何でも言うこと聞きますから!」
「あちゃー。」と言ってゲンマは天を仰ぎ見た。
カカシは「本当!」とイルカの言葉を聞くや否や目を輝かせてイルカから電光石火で離れて、手を貸してイルカを立ち上がらせて、よれた服を直してやったりしていた。
にやりとして、ゲンマの方を見る。
「聞いたよね?ゲンマ。」
「・・・・・・・・・いえ、なーんにも。」
「聞いたでしょ?証人だからね。」
「・・・・・・・・いやです。」
ゲンマの意向は華麗にカカシによってスルーされた。
「ささ、そうと決まったら里に一目散に帰りましょう。」
カカシだけが、うきうきと嬉しそうに張り切っている。
対してイルカは顔色を悪くしていた。
「カカシさん、今の取り消・・・。」
「取り消しとか言わないよね?イルカ先生。」
にっこり笑ったカカシは写輪眼を出している。
「帰りましょう、里に。」
イルカの手を引っ張ったカカシは、ゲンマを置いて走り出した。
「先に行くよ。」
御座なりにゲンマに声を掛けて森の走り始める。
あっという間に二人きりになった。
何度も後ろを振り返り心配そうにするイルカにカカシは言う。
「ゲンマなら大丈夫ですよ。」
「ええ、そうですけど。」
ちらり、とイルカはカカシは視線を走らせてから目を伏せた。
「あのねえ。」
カカシは苦笑する。
「そりゃあ、約束は守ってもらいますけどね。」
繋いだイルカの手に、きゅっと力が入った。
「すぐに、どうこうするつもりはありませんから。」
「・・・・・・どうこうって?」
「それは、その時になれば分かります。」
心配げなイルカに笑ってみせる。
「里に帰ったら遅い時間だけど、ご飯でも食べに行きましょうか。」
「あ、そうですね。」
話題が変わったことに、ほっとしたイルカが笑顔を見せた。
「お腹、空きましたもんね。」
ゲンマには悪いことをしてしまったが、カカシはイルカとの距離が少し縮まったような気がした。
親しくなれたと思ったのだ、イルカと。
里に帰ってから、数日後、カカシの元にある情報が飛び込んできた。
月光ハヤテが死んだというものだった。
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