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子供と大人 15






難解な解術とやらが呆気なく終了すると五代目は両手を、ぱんぱんと誇りでも払うように叩き言った。
「よし!」
満足げだ。
「さあ、イルカ、仕事を手伝っておくれ。」
なあーんて言っているけど。
・・・よし!、じゃねーよ。



「よし!じゃないですよ、五代目。」
心なしか低い声が洩れた。
「何が、よし!なんですか?」
難解な術だって言っていたのに、いともたやすく解術できたじゃないか。
だったら、初めに俺が解いてくれって言った時に解いてくれればいいじゃないか!
少しの手間を、どうして惜しむんだよ。
そう不服を言おうとたら、先に五代目に不服を言っている人がいた。
イルカ先生だ。


そういえば、さっきのイルカ先生と五代目の会話!
思い出すと聞きたいこと山ほどある、あれは、どういう意味なのか。
俺が非常に気に掛かる言葉はイルカ先生の言っていた内緒とか約束ってやつだ、何なの?
とりあえず五代目は後回しにして、今こそイルカ先生に聞かないと!


そう思ったんだけど、イルカ先生と五代目はヒートアップしていた。


「五代目!俺のいるところでカカシさんの解術したら、子供のカカシ君が大人のカカシさんだって、俺が知っていたと言ってる様なもんじゃないですか!知らないってことにしておきたいって言ったじゃないですか。」
「別にいいだろ、知っていたってバレたって。その通りなんだし。」
「だって知っていたら、いろいろと不味いですよ。」
「不味いって何がだい?子供のカカシを預かったら、何の弾みか、夜、寝ている間だけ術が解けて大人の姿に戻ったのを見て、次の日の朝、ビックリ仰天して私のところへ駆け込んできたのはどこの誰だい?」
「それは大人のカカシさんにびっくりし過ぎて・・・。」
「余りにも熱心に聞くから、本当のこと話したら、腰が抜けて床に座り込んだのはどこの誰だい?」
「あ、あれは安心して力が抜けて・・・。」
「カカシの子供じゃないと安心したのは何故だい?」
「何故って、それは・・・。」
「カカシが子供の姿になっていると分かった途端、寂しい思いをさせたくないから一緒にいたいって言って、休みをもぎ取って言ったのは誰だい?」
「それは俺ですけど。」
「休みをあげる代わりに、休みが終わったら私の仕事を目一杯手伝うから序でに、その時カカシの術を解く、と約束したじゃないか。」
「五代目、ご自分の都合のいい部分だけ主張するのはずるいです・・・。」




出遅れた俺は二人の会話を聞いて、だんだんと頭の中の靄が晴れてきた。


イルカ先生は子供の俺を預かった晩に俺が寝ている間、術が解けて大人のカカシになる姿を見たんだ。
それでパジャマは、ずっと大人用の浴衣だったのか。
寝ている間に、体が大きくなったり小さくなったりしたら浴衣も着乱れるよね。
俺が本当は大人だと知ってからは朝、起きた時とか、ところどころ言葉遣いが違っていたもんな〜。
そうか〜、だから最初に泊まった日の翌朝、イルカ先生は出勤したと思ったら昼ごろに帰ってきたのか、なるほどね〜。
五代目に休みを貰って帰ってきたって訳だったんだな〜。
それから子供の俺と、これでもかってほど遊んでくれたのね。
そうかそうか〜。



でも、何で?



肝心のイルカ先生の気持ちが見えてこない。
どうしてだろう、と考えてみる。
もしかして俺が期待する答えがあるのかな、そうだといいな・・・。
って気弱になるな、俺。
ここだ、いつも俺がはっきりさせられないのは!
はっきりさせないと自分の気持ちを、ここで。
何回目かの決心をした俺は「イルカ先生!」と大声で叫んだのだが、イルカ先生と五代目の間に入る余地は既になかった。



五代目がイルカ先生を鋭く問い詰めている。
「じゃあ、イルカ。どうしてカカシのことを、いつものようにカカシ先生と呼ばずに『カカシさん』て呼んでいるんだい?」
はっと口元を押さえるイルカ先生。
目を見開いて顔が赤くになっている。
「本当はそう呼びたいのに、自分の気持ちに素直になれないのは誰だろうねえ。」
五代目がそう言った途端、イルカ先生は真っ青になって再び赤くなって。
そして俺の存在に初めて気がついたように、こちらを見て体を震わすと。
「五代目の馬鹿ー!」
そう叫んで扉を勢いよく開け放ち、だーっと走って部屋を出て行ってしまった。



まるで。

まるで青春映画の一幕のようだった。






子供と大人 14
子供と大人 16








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