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子供と大人 13






その夜、俺はイルカ先生と同じ布団で寝た。
二人で寝ると狭いけど俺は子供の体だし、体をくっ付け合うと暖かい。
おまけにイルカ先生は手を握ってくれた。
大きな手で小さな手を包み込んでくれる。
電気を消すと部屋の中は真っ暗になった。




少しの間、しんと静まり返る部屋の中。
その中でイルカ先生が小声で話しかけてきた。
「あのさ、カカシ君。」
緊張しているようだ。
「俺といて楽しかったかな?」
遠慮がちに聞いてくる。
「明日から、俺の仕事に戻らなくちゃいけないし。」
そうだった、イルカ先生の休みは今日で終りだった。

そうか、楽しい時間は、もう終りなのか。
気持ちが暗くなったけど、声には出さずに俺は明るく言った。
「とても楽しかったです。イルカ先生と一緒で。」
これは本心だ。
もっと一緒にいたい、とは思うけど。
それは俺が大人に戻ってからの頑張り次第だから頑張ろう。
「そっか。」
暗闇の中でイルカ先生が、ほっとして笑うのが分かった。
「よかった。」
手をぎゅっと握りしめてくる。
そして言われた。
「ありがとう、カカシ君。」
俺も手を握り返した、ありがとうの気持ちをこめて。




「カカシ君、あのね。」
「なんですか?」
「実は、明日のことなんだけど。」
イルカ先生が何かを言いづらそうにしている。
「明日?」
明日ならイルカ先生がいない間は俺は一人で大丈夫だけど。
そう言うと「違うんだ。」と悲しそうな声がした。
「明日はね、その。五代目からカカシ君を連れて来るように言付かっているんだ。」
五代目?
不意に出された五代目の名に俺は、どきっとした。
何で、ここで五代目が?
「黙っていてごめんね。なんか言い出せなくて。」
「いえ。」
俺は言葉少なに答えると思い当たることを考えた。
五代目は何をするつもりなんだろう?
そもそも、俺がイルカ先生の家にいるのは五代目が付いた嘘が始まりだった。
悪いと思いつつも五代目の嘘に便乗して、俺はイルカ先生の傍にいる。
結局、本当のことは言わず仕舞いになってしまっていた。
それにイルカ先生の気持ちはどうだったんだろうか?




俺が、俺の子供だって言われて、どう思ったのかな。
急激に不安になってきた。
俺だったら、もしもイルカ先生に子供がなんてことがあったら、落ち込んで落ち込んで落ち込んで浮上できない。
一緒に過ごす間、イルカ先生は少しも自分の気持ちを見せてはくれなかった。
思い起こせば、俺が泊まりにきた最初の晩に、眠りに落ちる時に聞こえた言葉だけが唯一のものだと思う。
諦めがつくって言っていたっけ。
あれは、どういう意味なんだろう?
そんなことを考え始めれば終わらなくて、俺は三日間、何していたんだと心の中でジタバタしてしまう。
あ〜、俺の馬鹿馬鹿馬鹿。




そんな俺に気づいてイルカ先生が声を掛けてきた。
「眠れないの?」
「え?えーと。」
くるんと体が回って何かに強く抱き締められた。
イルカ先生だ。
イルカ先生が俺のことを、自分の胸の中に抱き締めている。
「心配ないから大丈夫。不安なら今日は、こうして眠ろうか。」
抱き締められると焦っていた気持ちが不思議に落ち着いてくる。
そして不思議に眠くなってきた。
瞼が重くなって、もう目を開けていられない。




イルカ先生、と呟くと遠くの方から声が聞こえてきた。
「大好き、カカシさん。」
え?
聞き返そうとしたけど眠りに落ちる直前で、体も思考も停止寸前で。
今のは何?
カカシ君と聞き間違えたのかな。
でも大好きって、大好きって言っていた。




大好きって誰のことですか、イルカ先生。






子供と大人 12
子供と大人 14








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