AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


子供と大人 12






イルカ先生、昨日のプールで疲れたから風邪を引いたのかな。
水の中って結構体力消耗するし、それでかな・・・。
出かけたりしないで、大人しく家にいれば良かったのかも。
とは言え、落ち込んでいる暇はない。
子供の俺にだって出来ることはあるはずだ。



隣の部屋のイルカ先生は何回か寝返りを打っていたようだけど、しばらくすると寝入ったみたいだ。
気配が動かなくなったから。
俺は、そうっと襖を開けて隣の部屋を覗き込む。
見ると、イルカ先生は予想通り眠っていた。
枕元には水と風邪薬があったから、多分、昨夜寝る前に飲んだのだろう。
朝も飲んだみたいだから、すると今は薬が効いて眠っているのか?




俺は音を立てないようにイルカ先生に近づいた。
寝ているイルカ先生の額に、静かに静かに手を乗せてみる。
よかった、熱はないみたい。
顔色が悪いけど熱がないなら、早めに治るかな。
これ以上、悪化しなければいい。
固く目を閉じているイルカ先生の顔を眺めて、早く治りますように、と神様にお願いしてみた。
滅多に神頼みなんてしないのに。
でも、今は。
好きな人が早く治りますように、と心から願った。




それから俺はイルカ先生の部屋から出て着替えをして、うがいと手洗いをした。
うっかり、俺が風邪なんて引いたらイルカ先生が気に病むこと間違いない。
移らないように気をつけないと。
襖を薄く開けた間から、俺は隣の部屋からイルカ先生の寝ている部屋を眺めた。
寝ているイルカ先生の顔がよく見える。
近くにいたいけど駄目って言われているから、しょうがない。
ただ何か必要なことがあったら直ぐにしてあげられるように、ここにいた。
何でもいいからイルカ先生の役に立ちたいんだ。



俺は朝ごはんも食べずに、ずーっとイルカ先生を見ていた。
傍から見たら、襖の細い隙間から隣の部屋を見ている変な奴なんだけど、まあ、誰も見てないし、いいか。
でもさあ、イルカ先生の寝顔を見ながら考えることが、たくさん有りすぎて、ちっとも退屈ではなかったよ。



一番の問題は大人に戻ったら、どうやって告白するか、だ。
もちろん、好きです、とは言うけど、緊張せずに言えるかな。
言ってからは、どうしよう・・・。
この前は告白してから先のことは考えようと思ったけど。
やっぱり先のことまで考えてしまう。



でも俺にとっての先のことって、どっちかっていったら恋人同士になってからのことなんだよね。
そういうことは、これでもかってほど考えてはいるんだけど。
恋人になれたら、あれしてこれして、色んなとこに行って。
手を繋いだり、お揃いの物とか買ってみたりして、夜は二人だけで談笑しながらゆっくり過ごして、とかいうのは次から次へと溢れてくる。
でも、その前に。
最大の難関、ともいえる、告白があるんだよね・・・。
これを乗り越えなければ、いけないんだ。

そして考えたくもないけど、玉砕してしまう可能性も捨てきれない。

悪い方向へは極力考えないように、というか、考えることを避けていたんだけど。
もし、もし・・・もしも、そうなったらどうしよう・・・。
何もしてないのに考えただけで、ずーんと気持ちが沈んでしまった。




その時、隣の部屋からイルカ先生の声が聞こえた。
気がつくと時間がだいぶ経っていて、もう夕方近い。
「うー・・・ん。」
はっと、考えを断ち切ってイルカ先生を見ると、ぱちと目を開けたところだった。
ぱち、と目を開けたイルカ先生は襖の間から覗き込んでいた俺を見つけた。
「カカシ君?」
布団の上に起き上がって、ふふふと笑い声を漏らす。
気分が良さそうで顔色もいい。
「そんなところから見ていたら、ちょっと怖いよ。」
「あ。」
指摘されて恥ずかしくなる。
イルカ先生は、少し笑って手招きをした。
「傍に行っていいの?」
「うん。」
俺は襖を開けると、急いでイルカ先生に近寄った。
「大丈夫?」
「ああ、喉の痛みも体の怠さもなくなったよ。眠ったのがよかったみたいだ。」
調子が良くなった、と言ったイルカ先生は俺の頭に手を置いた。
「心配してくれてありがとう。」
そっと頭を撫で来る。




イルカ先生の手は優しかった。
「良かった、本当に。」
安心した俺は心の底から、そう言って。
小さな体でイルカ先生を抱き締めた。






子供と大人 11
子供と大人 13








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