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続 子供と大人 9






気が進まないまま、小さなイルカ先生を連れて家を出ると、偶然にもナルトとサクラに出会った。
「あ、カカシ先生。」
「こんにちは〜。」
挨拶しながら二人の視線は、俺の足元にいるイルカ先生に釘付けだ。
じーっと見ている。
すると二人の口から同時に言葉が出た。

「可愛い〜!」
その反応に戸惑う俺。
ナルトとサクラは、しゃがみ込んで小さなイルカ先生と目線を合わせると、ちっとも躊躇わずイルカ先生の頭を撫でた。
「すーっげー可愛いってば!」
「本当、可愛い子ね〜。」
小さなイルカ先生は、当然ながらナルトとサクラを知らない。
ここで、大人のイルカ先生のことを二人が言ったりしたらどうしよう。
ナルトが小さなイルカ先生の両脇に自分の両手を入れて、高く持ち上げた。
高く持ち上げられたイルカ先生は、高いのが楽しいのか笑っている。
その隙に、俺は素早くサクラに指文字を送った。


−理由は後で話すから、その子の前でイルカ先生のことは言うな、絶対に。


サクラから、すぐに指文字で返答がくる。


−了解。


イルカ先生の顔を眺めていたナルトが、ん?と首を傾げた。
「なあ、サクラちゃん。この子さあ、似ていない、イ・・・。」
多分、イルカ先生と言おうとしたのだろう。
言い終わる前にサクラの肘鉄がナルトの脇腹に命中する。
「イ・・・痛い!サクラちゃん、ひどい〜。」
ナルトが痛さで顔を顰めている間に、俺はイルカ先生を奪い返した。
俺だって、まだ両脇に手を入れてイルカ先生を持ち上げたりしてないのに。
やってみたいことを、あっさりとやってしまうナルトが少し羨ましい。

イルカ先生としっかりと手を繋ぎ、俺はナルトとサクラに手を振ると急いで歩き出した。
これ以上、知っている人に会わないように。




火影の執務室に着くと、イルカ先生は俺の手を離して五代目に駆け寄った。
「お姉ちゃん、こんにちは。」
礼儀正しく挨拶をしている。
五代目は目を細めてイルカ先生の頭を撫でた。
「ああ、イルカ。よく来たねえ。」
ほうら、お菓子だよ、と再びチョコレートをあげていた。
そして、今日は執務室にいた秘書役のシズネに声をかける。
「シズネ、隣の部屋で少しイルカの相手をしておくれ。私はカカシに話があるから。」
「はい、分かりました。」
シズネは頷き、隣の部屋の扉を開けた。
「さ、イルカ君。」
多分、事情を五代目から聞かされているのだろう。
「え?お姉ちゃんは?」
お姉ちゃんと呼ばれた五代目は、目じりを下げた。
しかし、イルカ先生の後ろにいるシズネは、どこか笑いを堪えているような顔になっている。
「悪いね〜、イルカ。お姉ちゃん、ちょっと、このおじさんとお仕事のお話があるんだよ。」
「そうなの。」
ちょっとだけ、しょげたイルカ先生に五代目は言った。

「そうだ!シズネのトントンを紹介してもらうがいいよ。」
「トントン?」
五代目は、にっこりする。
「忍者の豚だよ。」
「すごーい!」
途端にイルカ先生の目は輝きだした。
「俺、忍者の豚さんに会いたい!」
「じゃ、隣の部屋で紹介するね。」
シズネが上手くイルカ先生を隣の部屋に誘導する。



そんなシズネに小さなイルカ先生が興奮気味に質問していた。
「ねえねえ、その豚さん、片足ケンケンできる?」
「え?どうかな〜?」
「じゃあ、海老反りできる?」
「・・・え?ど、どうかなあ?」
シズネが困った顔で答えていた。
トントン、大変なことになりそうだな、頑張れよ。
イルカ先生とシズネが隣の部屋に行き、扉が完全に閉まってから五代目は言った。





「単刀直入に言うよ。」
いきなり本題だ。
「イルカは元の姿に戻らないかもしれない。」
イルカ先生が元の姿に戻らない・・・。




その言葉に一瞬だけ、俺の総てが真っ白になった。
視界も思考も何もかもだ。
イルカ先生が元の姿に戻らないなんて。
信じたくなかった。






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