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続 子供と大人 4






大失敗な夕飯が、どうにかこうにか終わって、小さなイルカ先生にお風呂に入ってもらったり、と忙しかった。
お風呂上りにイルカ先生に冷凍庫に入っていたアイスを食べるように勧めたら大喜びされた。
「本当にいいの?一個しかないけど。」
両手にカップのアイスを持って目を輝かせている。
「うん、いいよ〜。」
「やったあ。」と小さなイルカ先生はテレビを見ながらアイスを食べ始めた。
その間、俺は風呂に入ることにする。
これで夕飯の失敗は挽回できたかな?
湯船に浸かりながら考えた。
明日は、ちゃんとリクエストを聞いてからご飯を作ろう、と。
そうすれば失敗は少なくなるだろうし、最善の策だなと思ったのだ。




お風呂から上がって、少し早めだけど眠ることにした。
俺も任務帰りで疲れていたし、子供になっているイルカ先生も眠いだろうから。
そう思って布団を敷いていると小さなイルカ先生が俺の傍に寄ってきた。
「ねえねえ、あの〜。」
何かを言いたげにしているのだけど、躊躇っているらしい。
「どうしたの?」
俺は屈んで視線を合わせるとイルカ先生に聞いてみた。
できるだけ優しくね。
「うん、あのね。えーと。」
「ん?」
「何て呼べばいいのかな〜と思って。」
「呼ぶ?」
眉根を寄せるとイルカ先生が、つんつんと俺を指差してきた。
「俺?」




うんうん、と小さなイルカ先生は頷く。
「名前、何て言うんですか?」
名前で呼んだ方がいいんじゃないかと思って、と少し下を向いてしまう。
もしかして昼間に俺を、おじさん、て呼んだことを気にしているのかな?
それは、いらない気を遣わしてしまったなあ。
「俺はね、畑カカシです。」
名前を名乗ると、小さなイルカ先生は、ぱあっと顔を明るくした。
「じゃあ、畑さん?」
「え?う、うん、そうだね。」
本当はカカシさんがいいんだけど子供のイルカ先生に言い出せず、結局、俺は畑さんと呼ばれることになった。




「ねえ、畑さん。」
イルカ先生が嬉しそうに話しかけてくる。
「今日は一緒に寝てもいいかなあ?」
口調も砕けてきて、なんか俺に懐いてきた感じだ。
嬉しいなあ、小さなイルカ先生が懐いてきてくれると和む。
「うん、いいよ。」
それに甘えてきてくれた。
一緒に寝たい、だなんて、なんて嬉しいことを言ってくれるんだろう。
顔が、にこにことするのが止められない。
そうかそうか、俺と一緒の布団で寝たいだなんて、やっぱり子供なんだな。
「よかった。」
俺の答えにイルカ先生は、ほっと安心した顔をする。
「一緒の部屋で、誰かと寝ないと、ちょっとだけ怖いんだ。」
「ああ、一緒の部屋でね〜。」
そうかそうか、一緒の部屋でね・・・。
まあ、そうだよね。
子供って言っても、もう大きいもんね。
布団だなんて、一言も言ってないしね。




イルカ先生の「おやすみなさい。」を聞いて部屋の電気を消した。
布団を並べて二人で寝ている。
暗闇の中、イルカ先生が話しかけてきた。
「畑さん。」
俺を呼ぶ幼い声がする。
「どうして俺の家のこと、何でも知ってるの?」
「・・・え?」
「父さんも母さんも任務でいないのに。でも畑さん、俺の家の中のこととか詳しいし。」
普段、イルカ先生の家にいる俺だから子供のイルカ先生を、この家に連れてくること特に疑問を感じなかった。
子供になったイルカ先生にしたら俺が自分の家に何でいるのかな、って思うよな。
父親の友人と紹介されたところで、それは変わらないだろうし。
何か上手い理由を言わないと。




「ええと、それはね。」
そういえば、五代目は三代目について質問されたって言っていたっけ。
で、三代目は出張中で自分は代理だと言い訳したらしい。
小さなイルカ先生には子供の頃の記憶しかないから、上手く誤魔化せって言われたけど大丈夫かな?
「俺は・・・。」
何て言えばいいかな。
「居候。」
そんな言葉が出てしまった。
「いそうろう?」
「うん、あのね。俺、今、家を探していて、見つかるまで住まわせてもらってるんだ。」
苦しい理由だったけど、イルカ先生は子供だったので納得してくれた。
「家がないの?可哀想。」
切なそうな声で言われると胸が苦しくなる。




子供に嘘をついていいのかな?
可哀想を言われて胸中、複雑になる俺。
ごめんね、と心の中で謝った。
五代目から、イルカ先生は二、三日で大人に戻るはずだから我慢して何とか誤魔化せって言われたけど。
結構、辛いな〜。
隣で、すやすやと眠ってしまったイルカ先生。
寝顔は穏やかだ。
手を伸ばして、そっと額を撫でると優しい温もりを感じた。
子供の温もり。
俺に何ができるか分からないけど、できるだけ子供のイルカ先生に笑っていてほしい。




それが今の俺の願いだった。






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