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続 子供と大人 2






イルカ先生の名を呼びながら廊下の角を曲がってきた五代目は、俺の目の前にいる子供をみつけると見たことのないような顔で、にこにことした。
いわゆる頬が緩んで、しょうがないよう状態だ。
五代目は「こんなところにいたのか、イルカ。」と言って子供を軽々と抱き上げる。
「勝手に、どこかに行くから心配したぞ。」
五代目がそう言うとイルカと呼ばれた、その子供は「ごめんね。」と謝った。
この子供は、イルカ先生と何か関係があるらしい。
それから次の言葉を口にした。


「お姉ちゃん。」


「えええーっ!」
それを聞いて俺は思わず叫んでしまう。
「お、おお、お姉ちゃん!」
俺は、おじさんだったのに。
なぜ故、五代目がお姉ちゃん?
納得いかん。
だが俺が叫んだのが、納得いかん、という感じで五代目は俺を睨んできた。
「ああ?なんか言ったか、カカシ。」
さっきまでの、にこにこ顔はどこへやら。
ぎらん、とした目で凄みがある。
「いーええ、別に。」
俺は、すっとぼけた。
「ふーん。」と五代目は胡散臭そうにしているけど、そういえば今は、それどころじゃなかった。
五代目が抱き上げている、子供が誰なのか知りたい。
それが先だ。




場所を移して俺たちは火影室にいた。
逸る気持ちを抑えて、俺は任務の報告をする。
五代目は子供を膝に乗せたまま、ふむふむと聞いてから「ご苦労だったな。」と言った。
この時点で任務は完全に終了だ。

じゃあ、ということで俺は早速聞いてみた。
「五代目、その子供は誰なんですか?」
核心を突く。
すると五代目は、あっさりと白状した。
「イルカだ。」
「イルカ先生ってことですか?」
「そうだ。」
「でも、なんでまた・・・」
子供になってしまったのだろうか?
任務に出て敵の術にかかってしまったのか。
懸念する俺に五代目は「あ〜、実はな。」とすごく言い難そうにする。
「イルカに巻物の整理を頼んだら、封印が解け掛かっていた古い巻物があってな。偶然、それがまあ、解けてしまった訳で。」
封印が解けた巻物には、子供になってしまう術が封じられていたらしい。
「それで、その術がイルカ先生に掛かってしまったんですね。」
子供になってしまった理由は分かったけど。
「五代目、イルカ先生を使いすぎです。」
細やかに抗議しておいた。



それにだ。
「何で、ご自分のことを『お姉ちゃん』なんて呼ばせているんですか?」
騙しているようなもんじゃないか。
「いいだろ。」
五代目は、つーんと横を向く。
「だって女だもん。」
可愛く言っても、年は変わらないのにな〜。



すると五代目の膝の上にいた小さなイルカ先生が口を開く。
イルカ先生は火影室にあった菓子をもらって頬張っていたのだ。
もぐもぐしていたけど、それを飲み込んでから言った。
「あのね、お姉ちゃん、チョコくれたんだ。それで『ハタチ』だからお姉ちゃんて呼んでねって。」
やっぱり仕組まれたものだったんだ。
イルカ先生は子供なので無邪気だ。
無邪気だから五代目が言ったことを信じて、五代目をお姉ちゃんと呼んでいたのか。



「いいじゃないか。」
五代目は俺の咎めるような視線に気がついて眉を顰めた。
「カカシだってイルカに、お兄ちゃんて呼んでもらえばいいだろうが。」
イルカ先生に『お兄ちゃん』と呼ばれる。
それは、それでいいかもしれない。
浪漫だなあ、と、ふんわりした気持ちになったけど。
しかし俺は、さっき既に、おじさんと呼ばれていた。



そのことを不承不承、告白すると五代目は大笑いしてくれた。
「あーはははは、はは。」
「笑いすぎですよ、五代目。」
少しムッとすると五代目は涙を拭きながら「ごめんごめん。」と言ったけど、顔は笑っている。
小さなイルカ先生は、俺たちの会話から何かを感じ取ったのか俺を見てから五代目を見た。
「もしかして、おじさん、て呼んじゃいけなかったのかな。」
不安そうだ。
「いいんだよ、イルカ。気にするな。」
五代目が軽く手を振る。



「あの、ごめんなさい。」
律儀にイルカ先生は、もう一回、俺に謝ってきた。
「おじさんって呼んじゃって。」
「いいんだよ。」
今度こそ、俺は大人の余裕を見せた。
呼び方くらい何でもいい。
でもイルカ先生は子供なので、ある意味、容赦なかった。
「俺の父さんと同じくらいの年かなって思ったんだ。」
あー、お父さんね。
「だから、多分、四十歳くらいかなって。」



四十歳・・・。
それを聞いて倒れかける俺。



再び、俺の中の何かが、色々と打ち砕かれた瞬間だった。






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