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Forever Thirty6



無事に退院したイルカは次の日から、普通に出勤して仕事に行くことにしたらしい。
一応は病み上がりなんだから、もう一日くらい休めばいいのに、とカカシは思う。
その日、自分が休みだったものだから、イルカも一緒にいて欲しかったというのが本音だが。



朝ご飯を食べ終えたイルカは元気に出勤した。
「じゃあ、行って来ます。」
「はい、行ってらっしゃい。今日は残業しないで帰ってきてね。」
体は、まだ本調子じゃないんだから、とカカシが心配そうに忠告するとイルカは素直に頷いた。
「そうします、今日はカカシさんもお休みで家にいるので、その・・・。」
ちょっと頬を染めて嬉しそうに言う。
「早く帰ってきますね、カカシさんが待っていてくれるから。」
それだけ言うと玄関の扉を勢いよく、ばんと開けると走って行ってしまった。
「行ってらっしゃ〜い。」
カカシはイルカを見送りながら、ひらひらと手を振りながら顔を緩める。
「本当、可愛い人だなあ。」
何回も思って何回も言ったことを飽きずに、また言ってしまうカカシであった。




「カカシさーん、ただいまー。」
夕方、帰って来たイルカは上機嫌であった。
「お帰り、イルカ先生。」
カカシは夕飯を作っていた手を止めて、玄関まで出迎えるとイルカは手に何やら包みを持っていた。
「どーしたの、それ?」
何を買ってきたのかと尋ねるとイルカは、にこにことして答える。
「じゃーん!ワイン、買ってきました!」
「ワイン?」
「はい、カカシさんの誕生日のお祝いに飲もうと思って、ほら。」と見せてくれたワインは全部で三本あった。
見るからに高そうなワインである。



「紅先生に美味しいの教えてもらって買ってきたんですよ。」
イルカは嬉しそうに報告してくるがカカシは、少しだけ、むっとして眉を潜めた。
「紅に?」
誕生日を祝ってくれるつもりなのは嬉しいが、イルカじゃない人間が関わるのは面白ろくない。
ましてや、誕生日に飲むワインを他の誰かが選んだものだったら、すごく嫌だ。
「ああ、これですね、選んだのは俺ですよ。」
カカシの顔色を読み取ったのか、イルカが指摘した。
「確かにお勧めを聞きましたが、このワインを選んだのは俺ですからね。」
安心してくださいなんて言われてしまう。
「そうですか、なら、まあ、いいですけど。」
イルカに考えを見透かされてカカシは苦笑して言葉を濁した。
子供っぽかったかなと、針の先で突いたほどくらいの範囲で反省する。



「冷やして飲みましょうね。誕生日には、ばばーんと三本、飲んじゃいましょう。」
張り切っているイルカは嬉しそうにワインを見ている。
そんなイルカを見ているとカカシまでも嬉しくなってきた。
「そうですね。」と相槌まで出てくる。
「でも、イルカ先生。」
ふと気掛かりなことを聞いた。
「普段、ビールと日本酒しか飲んでないのに、飲み慣れてないワインなんて飲んで大丈夫?」
「大丈夫ですよ。同じお酒じゃないですか!」
カカシの心配も何の其の、イルカは自信満々に答えた。



「それにですねえ。」
イルカは笑みを浮かべて続ける。
「ケーキも注文してきましたよ。」
「ケーキ?」
「はい!」
自慢げにイルカは言う。
「サクラに美味しいケーキ屋さんを教えてもらって、そこにお店の生チョコのケーキってやつの一番大きいホールのを頼んできました。」
生チョコ、という言葉にカカシは眉根を寄せる。
自分は甘いものが苦手なのだが、そんなチョコの一番大きいケーキとやらを食べきれるだろうかと、不安になる。
イルカが好意で注文してくれたケーキなので食べきりたいが無理かもしれない。
そしたら、どうしようとカカシは、今から要らぬ心配までし始めた。


「あ、で、そのケーキに飾る板チョコに、ちゃあんと『誕生日おめでとう!』って書いてもらうように頼んできましたから。」
「・・・そうですか。」
ちょっと恥ずかしいかもしれない、誕生日って。
こんなに全力でお祝いされたら嬉しいけど、年も年なので、と心の片隅でカカシは、ちらっと思う。
地味なお祝いがいいかもしれない、と来年からは、そうしようと決めた。


「しかしですねえ。」
イルカが残念そうに言った。
「カカシさんの名前を言ったら『お子様のですか?』と店員さんに聞かれて、つい俺『そうです。』って言っちゃったんです。」
ごめんさない、とイルカが謝った。
「俺、カカシさんの誕生日ケーキだ〜って舞い上がってたみたいで頼んで店を出てから気がついたものですから・・・。だからケーキには『カカシくん!お誕生日おめでとう!』ってなっちゃうんですけどいいですか?」
それくらい、とカカシは頷いた。
「いいですよ、そんなこと気にしなくて。カカシさんでもカカシくんでも嬉しいです。」
「そうですか、よかった。」
カカシの答えを聞いてイルカは、ほっと胸を撫で下ろす。
「すみません、来年は注文する前に『カカシさん!誕生日おめでとう!』って、予め紙に書いて持っていくようにしますから。」
それなら、間違いませんよね、とイルカは無邪気に言った後、更に無邪気にこう言った。



「でも、俺、蝋燭の数は、きちんと間違えず言いましたから。」
「・・・え。」
「だから、年の数だけの蝋燭をケーキに立てましょうね。」
「・・・それって。」
イルカは気づいてないのか、いないのか。
店員にケーキは、お子様のですかと聞かれて、そうだと答えたのに、蝋燭の数が三十超えていたら店員は、どう思っただろう?
イルカの外見は若く二十代そこそこにしか見えず、とても大きな子供がいるような年齢には見えない。
子供の年の数だけの蝋燭とイルカの年齢に店員は、さぞかし矛盾を感じたに違いない。
考えると頭が痛くなったカカシだが、そこはスルーすることにした。


ケーキの受け取りにはイルカに行ってもらおうと密かに思った。




カカシの誕生日まで、あと数日という日。
運悪く、カカシに任務が舞い込んできてしまった。
任務には数日掛かりそうで、肝心のカカシの誕生日まで帰ってこられるか分からない。
「しょうがないですよ。」
カカシはイルカを慰めた。
カカシよりイルカの方が、がっかりしてしまっている。



「任務ですからね。俺の誕生日は来年もあるし。」
そう言って落ち込むイルカを慰める。
カカシは、この前、イルカが任務の際に行方不明で、あわや、と言うところで助かったので、今年の誕生日については、それでいいと思っていた。
余り欲張りすぎてもいけない、と。
勿論、誕生日を祝ってくれるというイルカの気持ちは、とても嬉しい。
それも無駄にはしたくはない。
イルカも、任務だからと納得したようだ。
「ケーキは誕生日過ぎてからでもいいから、カカシさんが帰ってきたら、蝋燭に年の数だけ火を点けて吹いて消さなきゃ駄目ですからね。」
それだけは約束させられた。
「了解です。」
「それから怪我もしないで、気をつけて帰ってきてくださいね。」
「はーい。」
大人しく返事をする。

そして指切り拳万と差し出されたイルカの小指に、悪戯にキスを落としイルカの顔を真っ赤にさせ、それを楽しげに見てからカカシは任務に向かったのだった。




Forever Thirty5
Forever Thirty7






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