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二度あることは三度ある<三度目>



その後の話になる。
オレの努力の甲斐もあってイルカとは順調に仲を深めていった。
今ではイルカ先生と呼ぶのも板についている。
偶にイルカと呼びたくなるけれど。
そこは我慢。
オレを思い出してほしくて、うずうずとする時もあるけど我慢。
我慢我慢。
結構、我慢しているオレだった。
いつから、こんなに我慢強くなったんだろう?
ひとえに恋のなせる業か・・・。



「イルカ先生。今日はお暇ですか?」
オレはイルカ先生に毎日、アタックしている。
というか誘っていた。
あの日・・・。
もう随分前のことになるけれど背中に傷を負ったイルカを家まで送っていった日のことだ。
あの後、イルカの傷が快復したところで改めて二人で食事に行った。
「すみません、約束が伸び伸びになってしまって」
イルカは申し訳なさそうにオレに詫びた。
「いいええ。それより傷が治って良かったですね」
「はい、ありがとうございます」
本当、傷が治って良かった。
オレも安心した。
一度、さり気なく自然を装って見たイルカの背中には傷跡が、ばっちり残っていたのが忘れられない。
傷跡は目に焼きついてしまっていた。
それは、ともかくとして。
イルカと食事をして色々なことを話した。
一応、子どもたちのことをメインしながらもオレは主にイルカ自身のことについて訊いていた。
イルカ自身のことに大いに興味があるから。
親しくなって好きになればなるほど、もっと知りたくなった。
情報収集は忍の基本だしね。



で、イルカがラーメンが好きだとか今は恋人がいないとか、今は好きな人がいないとか今は仕事一筋だとか。
そんなことが分かった。
気になっている人もいない。
強いて言えばオレが指導している下忍の子どもの一人がイルカの心を占めているといっていいか・・・。
一番、気に掛けている人物が、その子だった。
でもまあ、あれだ。
相手は子どもで恋愛対象ではない。
そのことがオレを安堵させた。
オレがイルカの隣をキープしていれば、いずれはイルカもオレの気持ちに気づいてくれるかもしれない。
好きだというオレの気持ちを。
しかし・・・。
イルカと親しくなるにつれ、それは不可能だと思い知った。
イルカはいい意味で恋愛の疎くてオレのアピールもアプローチも悉くスルーされた。
手強いって、こういうことを言うのか・・・。
戦場以外にも苦戦する相手っているんだなあ。
人間関係の難しさを痛感するオレだった。



そんで決定的なことが起きた。
オレの指導する下忍の子どもたちの中忍試験でのこと。
オレとイルカの意見は食い違い・・・。
皆の前で盛大に口喧嘩、というか言い争いをしてしまった。
イルカの気の強い一面を見れたオレとしては内心、ほくほくとしてしまったのだが。
だけどイルカとの間が非常に気まずくなってしまった。
あんなに頑張ってイルカとの間を詰めて親しくなったのに。
一瞬で瓦解してしまったのだ。
あーあ。
親しくなったといっても悲しいことに上忍と中忍じゃ立場が違うし。
イルカの方が分が悪いし、立場的にも悪い。
単なる意見の違いくらいと思っていたオレと上忍に盾突いて規律を乱してしまったと真面目に考えていたイルカとは天と地ほど違うんだな、これが。
オレを見てもイルカは何も言わずに一礼して振り返りもせずに行ってしまう。
何も言ってくれない。
辛かった。
だからオレが誘ってもイルカは頷いてくれなかった。
「イルカ先生」
人目がなくイルカと二人になった時にオレは誘った。
「今日、食事でもどうですか?」
怒られた子どものように俯いてしまうイルカ。
オレは思い切って言った。
「仲直りの印に」
特に喧嘩したって訳じゃないんだけど。
こうでも言わないとイルカには通じなさそうだったし。
イルカが頑固で意地っ張りなのは、この頃になるとよく解っていた。
この時は場所はアカデミーと受付所の中間くらいの廊下の端っこだった。
廊下の壁を背にしてイルカは立っていてオレが、その前にいる形。
俯いたイルカの髪は本人と同じく項垂れている。
「ねえ、イルカ」
なんだか無性に、いらっとしたオレはイルカを『イルカ』と呼んでしまった。
最初に会った時と同じように。



するとイルカが驚いたように顔を上げた。
多分、オレが普段呼んでいる『イルカ先生』ではなくて『イルカ』と呼んだので驚いたのだろう。
はっとしたようにオレを見つめてくる。
イルカ、と呼んだのは当たりだったようだ。
「イルカ」
もう一度、呼ぶとイルカは大きく目を見開いてオレを見る。
顔を近づけてイルカの黒い目を覗き見るとオレが映っていた。
それに、だ。
近づいたイルカからは、いい匂いがしてくる。
香水なんて忍がつけることはないからイルカの匂いになるのかな〜。
微かだったがイルカからの匂いにオレは、くらくらとしてしまった。
なんだろう、これ。
好きだから、こんな気持ちになるのかな。
イルカの顔を近づけたオレは更に距離を狭める。
体と体が触れ合う。
顔も鼻先はくっつかんばかりで。
唇も、今にも触れそうになっていた。




二度あることは三度ある<二度目の3>
二度あることは三度ある<三度目の2>




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