AIで普通の動画を3D動画に変換する


二度あることは三度ある<二度目>



「まあ、それはそれとしてじゃな」
さすが火影さま、切り替えが早い。
「お主を里に呼び戻した理由を話そうと思う」
火影さまが火影に戻っている。
さきほど喚いていた人間と同一人物とは、とうてい思えないほどに。
なんて言うんだっけ、こういうの?
年の功?
まだまだオレも若造だな〜と心中、溜め息を吐いた。
それからオレは火影さまの話を真面目に拝聴した。
ややこしくて難しそうな火影さまの話。
話し終わった火影さまがオレに訊いてきた。
「どうじゃ、やれるか?」
「そりゃあ・・・」
オレはがしがしと頭を掻いた。
「やれと言われればやりますよ」
火影さまを見て、にやりとする。
「そのためにオレを呼び戻したんでしょ」
「まあ、のう」
満足そうに頷いた火影さまは、よっこらしょと立ち上がった。
「それでは、これから行くとしよう、その子の家に」
「いいですけど」
行こうとしているのは下忍候補のいる子の家で、その子は一人で生活しているとのことで。
子どもが一人生活しているってのはオレも気に掛かる。
その子の素性を聞いたら尚更だ。
放っておけない、放ってなんかおけない。
多分、その子は下忍になってオレが、その子の上忍師になるらしいからね。
うちはの子どももオレが担当するんだって。
オレが里に呼び戻されたのは、そういう訳だ。
火影さまと部屋を出ようとしてオレは肝心なことを尋ねた。
「イルカとは、いつ会えるんですか?」
これは忘れちゃいけない。
最重要事項だ。
「治療が終わって治ってからじゃ」
火影さまは渋い顔をして答えた。



それから何日か経って。
オレは、いまだイルカには会えていなかった。
会えたのはオレが指導する下忍になった子どもたちだけだった。
その子どもたちと顔合わせもすみ、ぎくしゃくしながらも上忍師と下忍として馴染んできたのに。
イルカに会えないなんて辛い。
怪我が治ったのか気になるし。
なにより記憶はどうなったんだ。
オレは任務が終わって担当している七班を解散してから火影さまのところへと出向いた。
七班ってのは下忍の子どもたちとオレが形成している班ね。
他にも二つの班がある。
それは、ともかくとして。
「火影さま」
火影さま専用の部屋に行くと火影さまは忙しそうにしていた。
書類の山の風景になって、その中に火影さまは解け込んでいる。
「おお、カカシ。何か用か?」
「何か用じゃありません」
書類の山を突っ切って火影さまの元へ行く。
「大有りです」
「何事じゃ、いったい」
火影さまは、すっかり忘れているのか不思議顔。
「もうお忘れですか?イルカのことです」
「イルカ?」
「そうです、イルカはどうなったんですか」
詰め寄ると火影さまは煙管を吸い込み、煙を吐き出した。
ふわーっと紫の煙が上っていく。
「イルカのことでお主は来たのか?」
「あったりまえじゃないですか」
オレが今、一番知りたいことだ。
「イルカの怪我は?記憶は?今、どこに?元気なんですか?どうなんです?」
矢継ぎ早に質問すると火影さまは「まあ、落ち着け」とのんびり言った。
「そんなに心配するでない」
「教えてくれないから心配しているんです」
「分かった分かった」
大仰に頷いた火影さまは言った。
「それでは教えよう」
もったいぶっている。
「イルカは頭の怪我の治療も終わり元気にしている」
「そうですか・・・」
ほーっと肩の力が抜けた。
よかった〜って感じだ。
本当、よかった。
一安心して疑問が浮ぶ。
「で、イルカは今どこにいるんです?どうしてオレに会いに来ないんですか」
オレはイルカに会いたいんだが、ものすごく。
「あー、それはじゃな」
ふーむと考え込む火影さま。
何かを思案している。
「怪我が治ったイルカは自分の家に帰り日常生活を支障なく過ごしている」
「はい」
「イルカはアカデミーの先生なので仕事も精力的にこなしている」
「で?」
「偶には受付所も手伝って働き者じゃ」
いらーっとした。
火影さまは核心に触れようとしていない。
「イルカに会いたいんですが」
ずばり、オレは言った。
「オレはイルカに会いたいです」
はっきりと言った。



「それは・・・」
火影さまは言いよどむ。
「そうじゃのう」
ちらとオレを見た。
「もう少ししてからじゃ駄目か?」
「駄目です」
すぐに会いたい。
「家を教えてくれれば会いに行きます」
「それは本人の了承を得てからでないと」
歯切れが悪い言葉が続く。
「じゃあ、どうしたら・・・」
「そうじゃ!」
火影さまは名案を思いついたらしい。
「では明日、会えるように手配しよう」
「明日?」
「そうじゃ」
老獪な笑みを浮かべた火影さまはオレに告げた。
「明日、七班の指導をしている合間に、そちらに会いに行かせよう」
「イルカが来てくれるんですか、オレのところに」
それは嬉しい。
だったら今日は帰って早く寝ないと。
いっつも朝、起きれなくて寝坊しているから。
里に帰ってきてから寝坊が続いて七班の子どもたちとの待ち合わせの時刻に常に遅れている。
遅刻の常習者になりつつあった。
「だったら、これで失礼します」
明日のことを考えて、うきうきで帰ろうとしたら火影さまに、ぼそっと言われた。
「イルカに会っても怒るでないぞ」
「は?」
「何があっても怒ってはならん」
「はあ、解りました」
よく解らないけど、そう返事をしておいた。
オレがイルカに怒るわけないでしょ、と思いながら。



次の日。
火影さまは約束を、ちゃああんと守ってくれた。
オレもちゃんと起きて遅刻しないで待ち合わせの場所に行ったもんだから子供たちが驚いていた。
「カカシ先生、どうしたんだってば!病気?」
失礼なことを言われる。
「初めてじゃないですか、時間通りに来たのって」
・・・まあ、そうだけど。
「今日は霰か雹か霙だな」
雨ではないらしい。
それから子どもたちがオレを見てから、一歩、退いた。
「なんで来てから、ずーっと笑っているんだってばよ・・・」
「顔が怖いです、笑っているのに」
「不気味だ・・・」
だって今日はイルカと会えるから。
自然と顔が微笑んでしまう。
止められない。
そして、その時はやってきた。
イルカが来たのだ。
イルカの姿を見つけた子どもたちは我先にと駆け寄った。
何でもアカデミー時代はイルカが担任の先生だったんだって。
イルカ先生って呼ばれている。
似合うねえ、イルカ先生って呼び名。
オレもイルカ先生って呼ぼうかな〜。



呼び名に、ほやや〜んとしてイルカの姿を見て、また、ほやや〜んとなった。
イルカは髪を頭の天辺で結っていたのだ。
下し髪もよかったけど、髪を結ったイルカは一段とよかった。
生き生きとしている。
これが本来のイルカなんだ〜。
いいねえ〜と、にやけてしまう。
元気そうだし、心の底から安堵する。
子どもたちは口々にイルカに話をしていてイルカは一々頷いて返事をしていた。
先生らしい一面だ。
イルカは子どもたちの頭を優しげに撫でてオレの方へ来た。
オレの前で、ぴたりと止まって斜め四十五度、綺麗なお辞儀をした。
顔を上げて「こんにちは」と丁寧に挨拶をしてくる。
イルカが目の前にいてオレは、どきどきと胸を高鳴らせた。
「こんにちは」
オレも挨拶を返すとイルカは嬉しそうに、でも照れたように、はにかんだ。
・・・これ、これこれこれ!
これがオレの好きなイルカの可愛い顔だよ。
かわいいなあ。
続く言葉にオレは期待していた。
「久しぶりです」とか「また会えて嬉しいです」とか言われるのか。
「早く会いたかったです」と言われたら「オレもです」と言うつもりだ。
だっけっどっ。
イルカの言ったことはオレの想像していたのとは全く違った。
「初めまして」
・・・・・・・・・え。
初めてじゃないよね、前に会っているよね?
「初めてお会いします、はたけ上忍」
・・・・・・・・・・・・え!
カカシさんじゃないの?
「うみのイルカと申します」
それは、もう知っているって。
「よろしくお願いします」
イルカは、そう言ってから深々と頭を下げた。
オレの頭の中は真っ白だった。



二度あることは三度ある<一度目の5>
二度あることは三度ある<二度目の2>




text top
top