AIで普通の動画を3D動画に変換する


二度あることは三度ある<一度目の5>



「イルカよ」
三代目火影さまはイルカを知っているようでオレの後ろに隠れたイルカに呼びかけた。
「怪我をしたそうじゃが大丈夫か?医療班への手配は済んでいるので、すぐに行くがよい」と手際もいい。
だけどイルカはオレの後ろに隠れ、オレの手を握って離さない。
背後から、そうっと火影さまを窺うように見ている。
怖い人なのか優しい人なのか、怒っているのかいないのか、そんなのを探っている感じだ。
「イルカ、こっちへおいで」
痺れを切らしたらしい火影さまがイルカを手招きしたけどイルカは行かなかった。
「行きたくないです」
オレにだけ聞こえるように呟いた。
「こわい」
・・・まあ、そう思うのも解る。
火影さまは今のイルカにとっては見知らぬ人。
でもねえ。
オレはイルカの頭の傷が心配だった。
応急措置はしたけど悪化してないか。
それに、なにより記憶。
戻るのか戻らないのか。
戻らなかったらイルカの人生、どうなるんだろう。
イルカの記憶の中には大事な人との思い出だってあるだろうに。
それらを全て忘れてしまうなんて可哀想だ。



「イルカ」
できるだけ意識して優しくイルカの名前を呼んだ。
「この人は、木の葉の里の一番偉い人で火影さま。里のみんなの幸せを常に考えている人なんだよ」
火影さまのことを簡単に説明。
「一見、ただのお爺さんに見えるけどすごい人なんだよ」
オレの説明に火影さまは、ちょっとだけ、むっとしたのが伝わってきた。
イルカが火影さまよりオレに懐いているのが悔しいらしい。
「だから、この人のことは信用していいんだよ」
やっとイルカは頷いた。
「分かりました」
「そう」
オレの手は握ったままで後ろから出てくる。
「あの・・・」
火影さまを見て、オレを見る。
「だいじょ〜ぶだよ」
オレはイルカの背中を押した。
「頭の怪我はオレも心配だから診てもらってきて。後で、また会いましょう」
「はい」と言ったもののイルカは不安そうだった。
「カカシさん」
「うん?」
「また、会えますよね」
「うん」
当分、里にはいる予定。
「本当に会えますよね」
イルカは念を押してきた。
「大丈夫だって。また会えるよ」
こくり、とイルカは首を縦に振る。
オレの手を離して火影さまのところへ行こうとした。
だけど。
手が離れた瞬間、オレはひどく焦燥感に駆られた。
こんなの初めてで。
手を離そうとしたイルカを逆に手首を掴んで引き戻してしまった、オレの腕の中に。
抱きしめて離したくないと思った。
微かな予感があった。
例えて言えば今生の別れのような予感が。



「カカシさん・・・」
「イルカ」
イルカを覚えていようと力を込めて抱きしめた。
腕の中の匂いも体温も体つきも声も全て覚えていたい。
覚えていようと感情ではなく本能で強く抱擁した。
イルカに、こんな感情を抱くなんて思ってもみなかった。
だって昨日、初めてあったばっかりで。
イルカのことなんて、はっきり言えば殆ど何も知らないに等しい。
なのに。
「カカシさん」
イルカの声が柔らかくオレの耳に響いた。
「昨日からご面倒をお掛けしてすみません、ここまで連れてきてくださって本当に感謝しています」
違う、そんなことが聞きたいんじゃない。
オレが聞きたいのは・・・。
「カカシさんが大丈夫って言っているんですからオレは、それを信じます」
イルカの体がオレから離れていく。
「ちゃんと治療してきますから」
にこ、と笑われた。
かわいい顔で。
「また、あとで」
そうしてイルカは火影さまが呼んだ医療班の人に連れられて行ってしまった。
オレの前から姿を消してしまったのだ。



「カカシよ」
名を呼ばれて火影さまの存在を思い出した。
「今のは何じゃ」
苦々しい声の見本みたいな、正に苦々しい声だった。
「何って、何に見えました?」
オレが切り返すと火影さまの顔も苦々しくなる。
うんと苦いお茶でも飲んだみたいに。
「イルカに何かしたのか?」
オレを疑っている?
「何かって?オレが見つけたときには既に怪我をしていましたが」
「そうではない」
火影さまは嫌々、言った。
「イルカに色めいたことをしてないか、訊いておる」
「色めいた・・・」
色・・・。
それは暗に恋愛ごとや、それに連なる行動を指す。
つまり、それってオレがイルカに・・・。
「あーっ!」
「なんじゃ」
オレは火影さまに構わず、ぽんと手の平を打った。
分かったのだ、さっきのオレがイルカにした行動の意味を。
「そうか、そうだったんだ〜」
「だから何がじゃ」
いらいらっとした様子の火影さまが訊いてくる。
「えー、それがですねえ」
オレは頭を、がしがしと掻いた。
言うのが、ちょっと照れくさい。
「実はオレ〜」
「早く言わんか」
「オレ、好きになったみたいです」
「誰を」
「イルカをです。あ、恋ですからね」
火影さまは驚いたように目を見開いた。
数秒、時が止まったかのように動かない。
「火影さま?」
驚く火影さまは珍しい。
天然記念物ものだな、こりゃあ。
漸く、動き出した火影さまは、ごほごほと咳き込んだ。
「たわ言を抜かすな」
真っ先に言われた。
「いえ、本当です」
「冗談はいらぬ」
「冗談じゃないですって」
「里に帰ってくるなり世迷いごとを並べるでない」
火影さまは何故か怒っている。
どうしてだ。
「イルカが好きだとは許さん」
「恋愛は自由でしょう」
木の葉の里は割りと恋愛に関して大らかなはずだ。
異性同士も同性同士も規制はないはず。
しかし火影さまは頑固だった。
頑固爺だった。
「イルカは駄目じゃ」の一点張りで、らちが明かない。
なんでオレとイルカのことを反対するのか理由は不明だ。
しかし、そんなことでめげるオレではない。
障害が多ければ多いほど燃えてくる。
恋って、そういうもんだよね。




二度あることは三度ある<一度目の4>
二度あることは三度ある<二度目>




text top
top