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二度あることは三度ある<一度目の4>



手を繋ぎながら歩くのは結構、楽しかった。
手を繋ぐなんて行為は幼い頃、先生とした時くらいか。
あ、先生ってのはオレのスリーマンセル時代の先生。
今は、もう会うことはできない。
イルカと手を繋ぎ、道すがら、色々話した。
イルカの不安が解消するようにだ。
「里ってのは木の葉の里で、そこには仲間の忍者がたくさんいる。だから里の外にいるより安心なんだよ」
「木の葉の里は医療が進んでいる、前にも言ったけど優秀な医者、薬があるから頼っていい」
「里には長がいて、その人は火影と呼ばれている。今は三代目火影さま」
オレの話にイルカは、いちいち頷く。
熱心にオレの話に耳を傾けて、きっと普段でもこうして熱心でそして真面目なんだろうなあ。
オレとは大違いで。
一通り、里について聞き終わるとイルカはオレのことを知りたがった。



「はたけさんて趣味は何ですか?」
「趣味?」
なんだかお見合いの席での質問みたいだ。
本当なら個人情報は他人には言わないけれどイルカなら、まあいいかという気になる。
「趣味は読書」
「どんな本を読むんですか?」
突っ込んで訊いてくる。
「どんなって・・・」
実を言うと俺の愛読書は十八禁の大人向けの本で。
でも、それをイルカに言うのは憚られた。
「あー、恋愛小説、かな」
誤魔化しておいた。
「恋愛小説が好きだなんて、はたけさんて」
イルカが面白そうにオレを見る。
「ロマンチストなんですね」
そうくるとは・・・。
「もしかして好きな女性がいらっしゃって結婚予定があるとか?」
恋愛小説から現実の恋愛に話が移行する。
「そんなのない〜よ」
オレは否定した。
「好きな女性もいなければ結婚予定も欠片もない」
「本当ですか?」
「本当だよ」
何故かムキになってしまう。
イルカに変に誤解されてしまうのは嫌だと強く思った。
「そうなんですか」
イルカは残念とも意外ともとれる表情をする。
「はたけさん、こんなに優しいのに」
腑に落ちない感じだ。
「優しくて気遣いが上手で、もしかして結婚してお子さんがいるからかなあと思ってしまっていました」
「あはは〜、オレってそんなにおじさん?」
正直、ショックだ。
オレの外見、そんな風なのか。
これでも一応、二十代だってのに。



「いえ、違います」
イルカは首を横に振った。
「おじさんっていうか」
くすりと笑う。
あ、かわいい。
「年齢不詳です」
「あ、そ」
年齢不詳・・・。
そう言われて凹んだがイルカの笑った顔がかわいかったから、よしとする。
「あ、でも!」
オレの凹んだ様子を見てイルカが慌てて付け足した。
「はたけさん、格好いいです、とっても」
「ほんと?」
「本当です」
格好いいとは誰かに何度か、主に女に言われたような気がしたがイルカに言われると妙にくすぐったいような気持ちになる。
ああ、これって。
オレは気がついた。
イルカに言われて嬉しくて喜んでいるだなあ、オレ。
素直に、そう思えた。
「じゃあ、イルカはどうなの?」
「え、オレですか」
「思い出せないのは置いといて、自分は結婚していると思う?」
質問し返すとイルカは「うーん」と唸って首を振った。
「してないと思います」
「どうして」
「多分、オレ」
オレを見つめるイルカの目に、きらりと光る信念が見えたような気がした。
「今、とっても気になっていることがあるような気がするんです、なんとなくですけど」
「ふーん」
それが何なのか、とっても気になるオレ。
イルカの気になることについては後々判明する。
それについてオレ自身が深く関わることになるとは夢にも思わなかったけどね。
しかし、オレはイルカが自分は結婚してないだろうと口にしてくれたことに少なからず安堵感を覚えた。



たくさん話をしてイルカと親しくなったような気がする。
途中、一回、昼飯で休憩し予定していた時刻より早く里に着いた。
「ほら、イルカ」
里の大門が見えてオレは指差す。
「あれが里の入り口だよ。あれをくぐれば木の葉の里だ」
「あ、はい」
握っていた手からイルカの緊張が伝わってきた。
手に汗をかいている。
どきどきしているのか、無意識にオレの手を強く握る。
現在のイルカにとって木の葉の里は見知らぬ場所だ。
「大丈夫だ〜よ」
オレはイルカの背を、ぽんぽんと叩いた。
「平気だから。何も心配はいらない」
「はい」
神妙に答えるイルカ。
「はたけさんがそう言うのなら」
はたけさんがそう言うのなら・・・。
イルカはオレを信頼しきっている。
全然、オレを疑ってもいない。
根が純真なのかな・・・。
他人事ながら心配になってしまう。
この先、イルカが悪い人に騙されたりしないか貧乏くじを引いたりしないか、余計な面倒事に巻き込まれやしないかとかとか。
守ってあげたくなってしまう。
あ、ヤバイ。
これって親みたい?
それとも兄、とか。
オレとイルカは年も近そうで同じ男性なのに、こんな気持ちを抱くなんて。
独身のオレにも父性ってあったんだなあ。
自分で自分の思ったことがおかしくて笑っているとイルカが怪訝そうな顔をしてオレを見た。
「はたけさん、どうかしたんですか」
「あー、なんでもないよ」
握っていた手を離してイルカの肩を抱いた。
より体が密着したが、この方がイルカは安心するみたいだ。
オレに、ぴったりくっ付いてくる。
うーん、よしよし。
いい子いい子と頭を撫でたくなってきてしまう。
イルカがかわいくて、しょうがない。
「はたけさん?」
はたけさんもいいけれど。
「ねえ、イルカ。名前で呼んでみてよ、オレのこと」
「えっと、カカシさん」
「うん、もう一回」
「カカシさん」
この呼び方がいい。
しっくりくる。
それから三代目火影さまの所へイルカを連れて行ったんだけど。
イルカはオレの後ろに隠れてしまって離れようとはしなかった。



二度あることは三度ある<一度目の3>
二度あることは三度ある<一度目の5>




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