AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


二度あることは三度ある<一度目の3>



すぐに里に式を出して男の身元を確認した。
本当に、うみのイルカ人物がいるか確かめたのだ。
返事は直様来た。
しかも里の長である三代目、火影直々から。
「どういうことだ?」
身元を確認しただけで火影から返事が来るなんて大げさすぎる。
カカシの膝枕で眠る、この男はよほど里にとって重要な人物なのだろうか。
ちなみに最初はオレの肩に頭を預けて寝ていたのだが何度も体が傾き倒れそうになるのでオレが膝を貸したのだ。
男はオレの膝を枕にして、ぐっすりと眠っている。
男が男に膝枕をするなんて、どうかしていると思う。
オレの愛読書の中なら可愛い女の子が男に膝枕をしているところだ。
出来たらオレがそんなシチューエーションで膝枕をしてもらいたいのだが現実はオレが!男に!膝枕なんぞをしていて現実は上手くいかない・・・。
まあ、妄想は置いといて。
三代目の返事の目を通す。
返事はうみのイルカは存在すること、そして居場所を教えてくれれば今すぐにでも迎えに行くというものであった。
「迎えって、まさか火影さまが?」
ないと思うが返事からは、そんな勢いがだだ漏れている。
「うーん」
悩んだオレは里に式を飛ばした。
うみのイルカはオレが責任もって里に連れて行くことを。
居場所なんて知らせて万が一、火影さまが来たら・・・。
すっごく面倒だったからだ。



なんか頭があったかい。
目覚めるとオレが男の膝枕で寝ていた。
がばっと起き上がると、とっくに朝になっていて日が昇っていた。
「あ、おはようございます」
男、もとい、うみのイルカがオレの朝の挨拶をしてくる。
明るい場所で見ると顔の印象がまた違う。 男らしい顔つきだけど愛嬌があった。
顔を走る傷も、こう言ったら変だが似合っていた。
オレは、いつの間にか眠っていたらしく、どうやったかは解らないがうみのイルカがオレに膝枕をしてくれていたのだ。
熟睡したらしく目覚めはよかった。
でもさー。
男の膝枕で熟睡するなんて、ちょっとショックだ。
「おはよう」
挨拶をしてからオレは簡単に説明した。
うみのイルカのポケットから認識票が見つかったことと、それによって身元が判明したこと。
「あんたの名前は、うみのイルカっていうらしいよ」
伝えると男じゃなくて、うみのイルカの反応は特になかった。
「うみのイルカ、ですか・・・」
全く、ぴんとこないみたいで、まるで他人事のよう。
「そうなんですか」
「自分の名前なのに覚えてないの?」
問いかけると困った顔をする。
「良い名前じゃないの、イルカって」
「そうでしょうか?」
「そうだ〜よ」
「ありがとうございます」
うみのイルカは、はにかんだ。
「実感はないのですが、はたけさんにそう言っていただけると」
照れたように笑う。
「嬉しいです」
そのうみのイルカの笑顔を見てオレの心臓が勝手に、どきんと大きく音を立てた。
なんだ、これは。



とにかく。
オレは焚き火の跡を消した。
立ち上がって、ぱんぱんと服についた土ぼこりを払う。
「里に帰りましょ」
うみのイルカを促した。
「里に帰れば何らかの方法で記憶が戻るでしょ」
「あ、はい」
うみのイルカも立ち上がり身支度を整えていたけど浮かない顔だった。
「なに、嬉しくないの?」
里に帰れば一安心だと思うのに。
「いえ、嬉しくないわけではないんですけど」
ぽつっとうみのイルカは言う。
「本当に記憶が戻るんでしょうか」
小さな声だった。
「だーいじょうぶ」
オレは太鼓判を押した。
「木の葉の医療は最先端だし医者は優秀だから心配ないよ」
「はい・・・」
それでも沈んでいる、うみのイルカ。
「行こうか」
「はい」
従順にオレの後について歩き出した。
速度は早くもなければ遅くもない。
この分だと夕方には里に着くだろう。
朝飯は食べてないけど、昼を早めにすればいいか。
・・・あ、うみのイルカは昨日、晩飯食べてない。
もしかして腹が減って元気がないとか。



振り向いて、うみのイルカを見ると、とぼとぼって形容詞が相応しい歩き方をしていた。
ほんと元気がない。
「ねえ」
オレは呼びかけた。
「腹、減ってない?」
ぶんぶんとうみのイルカは首を横に振った。
「でもさー」
うみのイルカがオレの隣まで歩いてくるのを待って顔を覗き込む。
「元気ないじゃない。頭の怪我が痛いの?」
「大丈夫です」
すみません、とうみのイルカは申し訳なさそうな顔。
「いったい、どうしたっての」
里に帰るのが、そんなに嫌なのか。
やんわり尋ねると、うみのイルカは眉を八の字にする。
「嫌じゃないんです、でも」
「でも?」
「あの」
言い難そうにしてから、やはり歯切れ悪く言った。
「里って、どんなところでしょう?」
「あ・・・」
オレは、ここに来て、漸く思い至った。
うみのイルカは何も覚えていない。
記憶が、一時的に喪失している。
里に帰れば安心って思っているのは、里がどんなところが知っているオレだけだったのだ。
すっごく悪い事をしたという罪悪感が襲ってきた。
「ごめん」
オレは気遣いが足りなかったことを思い知った。
今の、うみのイルカは何も解らない子どもと同じなのだ。
成人男性に子どもというのは、どうかと思うがこの表現がしっくりくる。
オレはうみのイルカの手を握ってやった。
子どもにするみたいに。
誰かの手を握るなんて久方ぶりだ。
握った手をうみのイルカは、ぎゅっと握り返してきた。
縋りつくみたいにオレを見た。
黒い目が何度も瞬いて言葉に出さない不安を伝えてきた。
「平気だ〜よ」
オレは微笑んだ、安心させるために。
「オレがついているって言ったでしょ」
そして名前を呼ぶ。
「ね、イルカ」
名前を呼ばれた、うみのイルカは本当に嬉しそうに、それは嬉しそうに。
笑ったのだった。


二度あることは三度ある<一度目の2>
二度あることは三度ある<一度目の4>




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