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彼の言い分 4




明るい光で目が覚める。
もう朝になっていた。
「あれ?」
隣に寝ていたはずのイルカの姿が見えない。
一緒の寝袋で俺の腕の中で寝ていたはずなのに。
俺より早く起きて、テントから出て行ってしまったらしい。
「ちぇっ。おはようくらい言ってくれてもいいのな。」
ちょっと愚痴が出てしまう。
そんな時、テントの入り口が、ぱらりと開いた。
「あ、起きたの?おはよう、上忍。」
イルカだった。
名前が判明したので、もうあいつとかこいつじゃなくて、まして名字の海野ではなく心の中ではイルカと呼ぶことにした。
「えっと、おはよう。」
たった今、おはようくらいと言っていた相手が突然、現れて俺はドギマギしてしまう。
イルカは爽やかに笑った。
「昨日はありがとう。熟睡できたよ。」
「いえ、どういたしまして。」
イルカは素直に礼を言ってくる。
「外に朝飯できてるから、着替えたらおいでよ。」
さらりと言ってテントから出て行ってしまった。


「なんだろ、あれ?」
昨日まで憎まれ口を叩いていた人物とは思えない。
イルカの態度の急な変化に戸惑いながら、俺は着替えを急いでしてテントを後にする。
テントを出ると、イルカが朝飯片手にやってきて一緒に食べた。
雑談しながら朝飯食べて、笑顔も時折見せてくれる。
なんだか、いい感じだった。





年上の上忍が思案しながら話していた。
場所は俺のテントの中。
作戦会議中だ。
といっても、たいした作戦じゃないんだけどね。
「充分に敵の情報は集めたから、あとは中忍達を先に里に帰還させて俺とお前で巻物を奪えばいいと思うんだ。」
「だね、中忍は言わば現場に慣れさそうとして連れて来ただけだから。」
つまり、中忍はまだ新米なので実戦では使えないし、逆に足手纏いになる。
徐々に慣れれば使えると思うけど。



今回の任務、俺達は敵の情報収集して巻物を奪って退散すること。
敵って、忍び崩れの夜盗とか山賊とか、そんなもんの集まりなんだけど。
敵の始末は別の部隊がやることになっていて、準備もできたと知らせもきた。
新米の中忍達は、もう必要ないだろう。
「じゃあ、そうするか。」
「うん。」
作戦みたいなものを立て終わると年上の上忍が、にやっと笑いかけてきた。
「カカシ、お前、イルカを手懐けたな。」
「手懐けた?」
「イルカ、お前に素直になったじゃないか。」
朝の光景を見て言っているのだと思うのだけど。
うーん、手懐けたとか、そういうつもりはなかったんだけどな。
でも、気を許してくれたのかもしれない。
「いいことだよ。カカシにとってもイルカにとっても。」
上忍は俺の頭をぽんぽんと叩いた。
「お互い、子供同士で気が合うだろ?」
「うるさい。」
頭の上にある手を振り払う。
「子供扱いするな。」
はいはい、と上忍は軽く俺をいなした。
「さて、ささっと済ませて里に戻るか。」




その後、中忍を里に先に帰還させてから気が付いた。
イルカがいない。
確か最後に敵の様子を見に行かせて、それから姿を見ていなかった。
帰ってきてないのか、それとも俺が知らない間に帰ったのか?
少々不安になったので、もう一人の上忍に聞いた。
「イルカ?そういや、見てないな。」
「そう。」
もう、どこに行ったんだかね。
困ったやつだ。


あとは巻物も奪って帰るだけなのに。
「どうする?」
年上の上忍は眉を潜める。
「俺が見つけて必ず連れ帰るよ。」
だから、巻物を奪って先に里に戻っていいよ、と言うと上忍は頷いた。
「じゃあ、そうするか。奪うだけなら簡単だと思うし、後方の部隊も来ることだしな。」
後は頼むぞ、と言い残して姿を消した。




さてと、と俺は手っ取り早く使役している忍犬達を呼び出した。
「イルカを探して。見つけたら知らせてね。」
イルカの特徴を説明しようとしたら、先に忍犬達が口を開く。
「イルカとは、ちっこいヤツか。」
「うん。」
「で、黒髪で黒目で顔に傷があるヤツか。」
「うん。」
「ちょっと人見知りで意地張っていて、大雑把だが妙に繊細で・・・。」
忍犬たちがぺらぺらと喋るけど。
「ちょっと、待ったああ。」
俺はストップをかけた。
「何で、そんなに詳しいのさ。」
「だって、知ってるもんなあ。」
なあ、と忍犬たちは顔を合わせる。
「里で知り合ったんだよな。」
「うむ、イルカは動物好きだからのう。」
「俺たち仲良しなんだぜ。」
いらっと来た俺は、びしっと命令した。
「とにかく、イルカを探せ!早く!」
忍犬たちは一瞬で姿を消す。


俺はちょっと肩を落とした。
イルカと忍犬たちが知り合いだったなんてな〜。
なんて落とし穴だ。
落ち込みつつも俺もイルカを探すことにした。





彼の言い分 3
彼の言い分 5




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