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彼の言い分 3




一連の流れから鑑みるに、こいつって警戒心が強いんだな。
それに、最初に会ったときから意地張っていて所謂、意地っ張りだ。
筋金入りの意地っ張りに間違いない。




今は多少、俺に慣れたのか、俺の足元に座り込んでいる。
色々と分かった俺は怯えさせないように、ゆっくりと静かに、隣に腰を下ろした。
ほんの一瞬、びくりとしたけど避ける気配はない。
チャンスだ。
俺は急いで話しかける。
「ねえ、あのさ。」
「ん?」
「名前、教えてよ。」
「名前?」
「うん。」
「海野。」
短く簡潔に答えてくれた。

・・・それでいいんだけどさ、下の名前も知りたいんだけどな〜。
でも、今、立て続けに聞いたら拒否されそうな感じがする。
あ、そうそう。
「俺はね、畑カカシっていうの。」
自分のフルネームを名乗ってみた。
俺が名乗れば名乗ってくれるかもという、計算の上で。
「そう。」
なのに海野はあっさりと答えて、下の名前は教えてくれなかった。




ならば話題を変えてみて、気持ちが和んだら教えてくれるかも、という次の作戦に出る。
「どうして、野営地を抜け出したの?」
「抜け出したんじゃないよ。」
海野は膝を抱えたまま俺を見ないで、ぽつりぽつりと話す。
「他の人がいると寝れないんだ。眠ろうとしても逆に目が冴えて。」
だから、と続けた。
「人けがない場所に行けば、少しでも休めるかなって思って。」
そうだったのか。
なんというか意外に意外、繊細なんだな。
「迷惑かけて、ごめん。」
愁傷に謝ってきた。
「いや、気にしないでいいよ。」
俺の方が焦ってしまう。
だって、つけて来たのは、俺の好奇心が大部分をしめていたからだし。




俺たちは寄り添ったまま黙り込んだ。
隣の体温を近く感じて俺は、どきどきしてだけど。
海野は相変わらず膝を抱え込んで座っていた。
しばらく黙っていたと思ったら、その小さい頭がぐらぐらと揺れだす。
「眠いの?」
「うん、少し。」
さっき飲ませた薬に催眠剤が少し含まれているから、薬の影響かも知れない。
「俺に寄っ掛かってていいよ。」
嫌がられるかなと思いつつ駄目元で言ってみると素直に、こてんと俺の肩に頭が乗って微かな寝息が聞こえてきた。
よっぽど疲れていたらしい。
なのに、意地張って強がってしょうがないなあ。
眠りが深まったのを確認してから、よっこらしょっと抱き上げる。
起きるかと思ったけど、ぴくりともしなかった。
逆に寒いのか、手足を縮めて体を摺り寄せてくる。
ああ、なんか子供みたいだ。
微笑ましくて可愛かった。




野営地に戻ると、昼間、海野のことを尋ねた年上の上忍が火の番をしていた。
俺を見て、ぎょっとする。
「カカシ。何だ、その腕の中のは?」
「ああ、これ?」
俺は軽く答えた。
「眠ちゃったから運んできたの?」
「へえー。」
上忍は腕の中の眠った顔を覗きこんできた。
「珍しいなあ。イルカが寝るなんて。」



ふっ・・・。
こんなところで名前が判明するなんてなあ。
なんとしても本人から聞きだそうと思っていたのに。
俺の努力って一体全体、何だったんだ?
俺の恨みがましい目には気づかず、年上の上忍は小さな声で続けた。
「イルカは威勢はいいし割と強いし大雑把なのに、何故か繊細でなあ。」
他人がいると寝れなくて、仮に寝ても眠りは浅いくて困ったやつなんだよ、って言っている。
「そんな人間をこんな所に呼ぶなよ。どうしたって、他の人間と一緒に過ごすだろ?」
「でも、イルカが自分から申し出たんだよ。そういう自分の性格と云うか性質を直したいってさ、迷惑かけるかもしれないけどって。だから本来、この任務には来なくていいのにも関わらず、自分の他の任務が終了してから来たんだよ。」
「そう。」



前向きなんだな。
でも、やっぱり他の人といるのに馴染めなくて一人になりたくなってしまったのか。
で、そんな自分に嫌気がさして、そこをぐるぐる回っている・・・。
腕の中で寝ているイルカの寝顔を見る限りじゃ、そんな風には見えないのになあ。
そんなイルカを中忍の寝ているテントに帰すのは忍びなくて俺は言った。
「今夜は俺のテントに寝かせておくよ。」
そう告げると、年上の上忍は軽く手を振る。
「ああ、構わないよ。寝させてやれ。」



そういうことで、イルカは俺のテントで一緒に寝ることになった。





彼の言い分 2
彼の言い分 4




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