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星の下 空の下 5



「あそこって、どこでしょう?」
結局、解らなかったイルカはカカシに聞いた。
「それはねえ」
場所が何処かと言う前に、カカシに「少し歩いて帰りませんか?」と誘われた。
帰るには早い時間だし、今日は夕飯も済ませてあるから気楽だ。
まあ、偶にはいいかな、と思いイルカは了承した。
遠回りして川沿いを歩く。
「話の続きですけどね」
「はい」
誕生日のお祝いする場所のことだろう。
「さっき、イルカ先生、言ってましたよね?」
「さっき?」
「ほら、ラーメン食べていたときに」
「・・・もしかして」
イルカの予想は的中した。
「俺の家・・・ですか?」
まさか、と思いながら見ると隣を歩いていたカカシは否定もせずに、にこにこしている。
確かにイルカは、自分の家に招待した。
招待したけれど・・・。
招待したけれど、自分の家でカカシの誕生日祝いをする?
カカシは、それを望んでいるらしい。
でも、何で?
当然、抱く疑問だ。
それに。
だいたいにしてカカシの誕生日を、未だ知らずだ。
そもそも、イルカはカカシの誕生日を知りたいがためにカカシをお近づきに、親しくなりたいと思ったのだ。
不純な動機だったが、意外な展開で、カカシと親交を深めている。
「久しぶりに里に帰ってきて過ごす誕生日が一人なんて寂しいなあ」
ぐさっ。
呟くように言ったカカシの言葉がイルカの胸に突き刺さる。
「せっかく、イルカ先生と親しくなれたと思ったのに」
ぐさぐさっ。
「里では親しい人間が居ないから、実は寂しかったんですよね・・・」
ぐさぐさぐさっ。
カカシは切なそうな、それでいて哀しげな目でイルカを見た。
目が切実に寂しいと訴えている。
そんな目に激しく弱いイルカだ。
そして、止め。
「俺のこと嫌いですか?」
なんて言われたら、ノーと言えないイルカだ。



「いいですよ」
イルカは腹を括った。
カカシのことは嫌いじゃない。
むしろ、好感を抱いている。
「カカシ先生の誕生日のお祝い、俺の家でしましょう」
「本当ですか?」
ぱっとカカシの顔が輝いた。
瞳が、キラッキラしている。
「嬉しいなあ。イルカ先生は優しいですね」
大喜びのカカシは、がしっとイルカの両手を掴む。
ぶんぶんと上下に振った。
「イルカ先生と仲良くなれて、本当に良かったです。俺たち、本当の友達ですね。友達っていうより親友ですね!」
人懐こく笑うカカシは心の底から喜んでいるようで、嬉しいなあを繰り返す。
嬉しいなあ嬉しいなあ、イルカ先生優しいなあ。
ここまで喜ばれては、もう後戻りはできない。
絶対に断ることも中止にすることもできない。
精一杯、カカシの誕生日を祝ってあげようという気にイルカもなってくる。
・・・誕生日会って久しぶりだ。
大人になった今、そんなものはやらないのが普通だ。
誕生日を祝うというイベントからも遠ざかっていた。
・・・誰かの誕生日を祝うのも久しぶりだし。
自分の誕生日ではないけど、誕生日を祝うというイベント自体が楽しみになってきたイルカだ。
誕生日のお祝いに何をしようかと、妙にわくわくしてくる。
「イルカ先生の誕生日には俺がお祝いしますからね」
期待していてくださいね、とカカシは気が早い。
「イルカ先生の誕生日を祝うときには俺の生家にご招待しますよ」
生家とは生まれ育った家のことだ。
「ぜひ、来てくださいね」
「ありがとうございます」
自分の誕生日を祝ってもらえると解って喜ぶカカシ。
そして、まだまだ先のイルカの誕生日のことも祝ってくれるというカカシ。
カカシ先生って。
ほんのりとイルカの胸は、あったかくなる。
とっても素直で純粋な人なのかもしれない。
いい人で素直で純粋で、というのがイルカの見解。
もちろん、それはイルカが見たカカシの一面でしかなく。
これから付き合いを長くして、カカシを深く知っていくであろうイルカはカカシの他の面を知り、とんでもない間違いだったと自戒する羽目に陥る未来が待っていることを今は知らない。



とにかくカカシの誕生日をイルカの家で祝うというのは決定だった。
だとしたら・・・。
ちょっと待てよ、とイルカは考えた。
誕生日を祝ってくれる人とプレゼントについてカカシは何と言っていただろう。
覚えてはいたが口に出す出すのが怖い。
恋人だとか、うみのイルカだとか。
・・・それはどうしたいいんだろ。
悩み始めたイルカの横でカカシは「あ、そうだ!」なんて何を思いついたのか言い出した。
「この際だから言っちゃいますけどね」
「何をですか?」
「俺の誕生日のお祝いのことです」
まだ、何かあるのか?とは、辛うじてイルカは口には出さなかった。
「何でしょう?」
これ以上、何か要求があるのか・・・。
「はい、せっかくですから」
何がせっかくなのか・・・。
「誕生日にシチュエーションって大事ですよね」
「シチュ・・・エーション?」
思いも寄らぬカカシの言葉だ。
「シ、シチュエーションて」
嫌な予感しかしない。
誕生日のシチュエーションなんて、ケーキに年の数だけの蝋燭に火を灯し、ふーっと消したら終わりじゃないのか。
そして、プレゼントを渡して「おめでとう!」と祝う。
イルカが誕生日のお祝いのイメージといったら、こんな感じだ。
だけども、カカシは違ったらしい。
「俺、夢があったんですよね」
片方だけ出ている目が、きらきらと輝いている。
「今なら、夢が叶うかと思って」
大人のカカシの誕生日のシチュエーション。
「それは、なきゃいけないんですか?」
こればっかりは聞かないほうがいいとイルカの頭の隅で警報がなっていた。
このまま、何も聞かずに逃げた方がいいと。
赤ランプが点灯している。
「なくてはならないものです!」
何故か、きりりとした顔になったカカシがきっぱりと言い切る。
無駄に凛々しい。
しかし、その凛々しいカカシが放った言葉はイルカの人生において、最高に衝撃的で破壊的だった。
聞かなきゃよかったとイルカは後悔し。
こんなんでカカシの誕生日を祝うことができるのか、と不安になってきた。
大丈夫かな・・・。
言ったからにはやるしかないが。
俺にはハードルが高すぎる!
前途多難なイルカであった。




星の下 空の下4
星の下 空の下6


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【こっそりカカシ先生の誕生日企画最終回】


前回もありがとうございました!嬉しかったです!

今回で企画は終わりです。
長らくお付き合いいただきありがとうございました!

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