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星の下 空の下 4



「ふふふ」
カカシの端整な顔が目の前にあった。
いつの間に移動したのだろう。
ぼーっとカカシの顔を眺めていると、形のいい唇が動く。
「聞きたい?イルカ先生」
「ちょっと」
ちょっとは気に掛かる。
「ちょっとか〜」
カカシは、ちょっと残念そうな顔になった。
「ちょっとじゃ教えられないなあ」
「はあ、そうですか」
イルカは飲み終わった缶を置いた。
そろそろ、お暇したい。
明日に響くし。
体の方も帰って寝たいと訴えている。
「あの、俺、そろそろ・・・」
「帰るの?」
先ほどよりカカシが、もっと残念そうな顔になる。
「もっと居てほしいなあ。駄目?」
「明日も仕事がありますので」
イルカはカカシを振り切るようにして玄関に向かった。
「今日はご馳走様でした」
頭を下げると、くらっと足元にくる。
結構、飲んだようだ。
「平気?泊まっていったら?」
「いえいえいえ」
顔の前でイルカは手を横に振った。
初めてお邪魔した家に、その日に泊まるなんてイルカの中では有り得ない。
急なお泊りなんて、相手に迷惑が掛かるから。
「もう、帰ります」
「そう?」
「はい。・・・あ」
イルカはカカシの後ろに広がる光景に目を留めた。
「空き缶片付けなきゃ・・・」
帰ることしか頭になくて、忘れていた。
「いいよ、俺が片付けるから気にしないでください」
「すみません」
カカシ先生、いい人だと改めて認識した。
「それからね」
微笑んだカカシがイルカの耳元に口を寄せた。
「さっき、話したこと内緒にしてくださいね」
「内緒?」
「そう、俺の誕生日のこと。二人だけの秘密ってことで。他の人に知られたら恥ずかしいでしょ」
「はい」
こくっとイルカは頷いた。
「誰にも言いません」
「それとね、俺が望むプレゼントはね」
うみのイルカ。
そう聞こえた。
聞こえたのだが・・・。
目を瞬いてカカシを見ると手を振られた。
「またね、イルカ先生」
おやすみなさい、と。
「はい、失礼します。お邪魔しました」
カカシに見送られて、外に出る。
プレゼントはうみのイルカ。
耳に残っている、この言葉はカカシの本当に言ったのだろうか?
想像もしていなかった、答えだ。
うみのイルカって何だろう・・・。
まさか、自分とは思いもよらないイルカだ。
「・・・聞き間違いかな。飲みすぎた?」
ともあれ、イルカはふらつく足で家に帰り、服を脱ぎ捨てるとベッドに倒れこんだ。
「シャワーは明日の朝しよ・・・」
そのまま、朝までぐっすりと眠ってしまった。



イルカを見送ったカカシは部屋の片づけをしていた。
飲んだ空き缶を一つに纏める。
歌なんて口ずさみながら。
「イルカ先生って」
顔がにやけている。
「いいねえ、ああいう人」
イルカといると楽しい、それに相性がいいのだろう。
一緒の空間に二人きりでいても全然、嫌じゃない。
むしろ、その方がいい。
「一緒にいて安らげるっての?そんなオーラを出しているよね」
片付け終わったカカシは、あんなに飲んだのに全く酔っていないようである。
「貴重な人だね、イルカ先生は」
ごろりとベッドに横になる。
「あんな人が傍にしてくれたら」
最初は、そんな気なかったのに。
話すうちに、どんどん惹かれていって。
不思議なもので、イルカが帰る頃には妙な確信が出来ていた。
ああ、この人だ、と。
「この年になるとさ〜」
目を閉じたカカシは呟く。
「男とか女とか関係なく、一緒にいて安らげる人の存在って大きいよね」
忍びたるが由縁なのか。
「身も心も安らいで、守りたくなる人」
そして、愛しくなる。
この感情の正体にカカシは気づいていた。
「まあ、解ったからには、唯一つ。行動あるのみ」
カカシの誕生日は、もうすぐだ。
今日、イルカに言ったことは嘘ではない。
そうなったらいいな、というカカシの願望だ。
最後のプレゼントのくだりは、イルカはよく解ってないようであったが。
明日からが楽しみだ。
ごそごそとカカシはベッドに潜り込む。
「おやすみ、イルカ先生」
そうして朝まで、ぐっすりと眠ったのだった。



次の日の朝。
シャワーを浴びて、出勤準備を整えたイルカは気合を入れた。
「よし!今日も一日、頑張るぞ!」
昨日の酒が少し残っているが仕事に影響するほどではない。
幸い、今日の仕事の内容なら定時に上がれる。
残業はなしと決めてしまう。
「そんでもって、今日の夕飯はラーメン食べよ」
好きなラーメン食べて、家に帰ってきたら風呂に入って。
「そんで、早めに寝よう」
昨日は遅かったから。
時計は見なかったが零時を過ぎていたのは間違いない。
「昨日の今日でカカシ先生も誘ってはこないだろうし」
だいたいにして会うのかも解らない。
昨夜のことをイルカは思い出す。
「カカシ先生って面白い人だったなあ」
いい人だし。
「一緒にいて楽しいかも」
色々な話も聞けるし。
だけど。
一つ、気になることがある。
帰る間際に言われたことが事実なのか、どうなのか。
プレゼントは、うみのイルカ。 確かめるのが怖い。
聞き間違いじゃなかったら、どうしていいのか分からない。
「結局、誕生日も訊けなかったしなあ。それに酔っていたし」
酒の所為にしてイルカは事実確認することから逃げることにした。


夕方。
仕事を終えたイルカは朝の計画通り、帰る道すがらラーメンを食べにきていた。
店内に客はなく、イルカ一人。
のんびり食べれる。
食べて帰れば、楽ちんだ。
ラーメンを注文して待っていると誰かが訪れた。
イルカの隣に座る。
ラーメンを注文する声が聞こえてイルカが横を向くと、そこには昨日、会ったばかりに人がいた。
カカシだ。
にっこり笑ったカカシは額宛に覆面と、いつもの格好で。
「こんにちは、イルカ先生」
「あ、こんにちは、カカシ先生」
「昨日はありがとうございました」
「こちらこそっ、ご馳走様でした」
「昨日は、とても楽しかったですよ」
「・・・俺もです」
「ぜひ、また家に来てくださいね」
「あ、はい。今度は俺の家にもいらっしゃってください」
「それは嬉しいですね」
何となく、会話の流れでイルカの家に招待もしてしまった。
相手の家にだけお邪魔するのは不公平だし。
ほんとにカカシ先生が来たら・・・。
うちに、あんなにビールないんだけど。
ちら、とカカシを見るとイルカを見ていた。
視線が絡み合う。
見詰め合っているようなカカシとイルカ。
カカシの瞳が優しく感じて、イルカはどきりと胸を鳴らす。
・・・なんか、これって。
ごく、とイルカは唾を飲む。
・・・なんか、こ、恋人みたいな。
ラーメン屋に不釣合いな甘い空気がカカシから流れてくるような。
耐えられなったイルカは、急いで口を開いた。
「あ、あの。カカシ先生は昨日のお酒は残ってないんですか?俺は今朝、少し二日酔い気味で」
「ああ、大丈夫です。俺、飲んでも酔わない体質なんで」
「そうですか」
羨ましい。
そんな話をしていると注文したラーメンがやって来た。
とてもいい匂いがして早速、箸を取る。
「美味そう!」
カカシとイルカは二人してラーメンを啜った。



食べ終わり、腹がくちくなったイルカは大満足であった。
「あー、食った食った」
「美味しかったですね」
カカシも満足そうだ。
店を出てから、何となくカカシと並んで歩く。
「そういえば」
カカシが言った。
「イルカ先生、昨日、俺が話したこと誰にも言っていませんよね」
「もちろん!」
今、約束を思い出した。
泡って取り繕う、忘れていなかった振りをして。
それに気がついていないのか、カカシは人のいい笑みを見せて、ほわわんと笑う。
「良かった〜」
カカシは片手で胸を押さえている。
「誰かに知られたらと思うと。イルカ先生なら、いいんですけどね」
どういう意味だろう?
「昨日言ったこと、覚えていますよね?」
「はい」
イルカが頷くとカカシは笑ったが、先ほどの人のいい笑みではない。
何か悪巧みしているような、獲物を狙っているハンターのような笑みで。
それは、ほんの一瞬だった。
・・・何だろ、今の笑い方。
ちょい悪な笑み。
それさえもカカシは似合ってしまうのだから、始末に悪い。
・・・格好いい人は何をしても格好いいのか。
イルカの中で、そう結論が出た。
「全部、本心から言ったんですからね、イルカ先生」
念を押された。
「はい」
「誕生日を過ごしたい人、それからプレゼント」
プレゼント・・・。
「でね、思ったんですけど」
今度は何を言うつもりなのだろう。
「誕生日を祝ってくれる場所って重要だと思いませんか?」
突然、そんなことを言う。
「俺ねえ、誕生日を祝ってくれるなら、あそこがいいなあ」
あそこ、とはどこだろう?
イルカには全く見当がつかなかった。




星の下 空の下3
星の下 空の下5


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【こっそりカカシ先生の誕生日企画4】

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期限は9/12昼頃に訂正しました、ご迷惑をお掛けしてすみません。

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