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昔の話



珍しく、イルカがバイトがなく家にいてキッチンのテーブルで勉強していた時、向かいにはカカシが座っていた。
カカシは難しい顔をして本を読んでいる。



勉強が一段落したのかイルカが顔を上げてカカシを見た。
カカシはイルカの視線を感じると素早く本から顔を上げて、イルカに微笑む。
「勉強終わったの?」
「いえ、もう少し・・・。」
「コーヒーでも飲む?」
「あ、はい。」
イルカの返事を聞くとカカシは、てきぱきと湯を沸かしてコーヒーを淹れる。
「はい、どうぞ。」
カカシからカップを渡されイルカは受け取りながら礼を言い、両手でカップを包み込むように持つと、ふうふうしながらコーヒーに口をつけた。
「美味しいです。」
「そ、よかった。」
カカシも自分のコーヒーを飲む。



そんなカカシを見ながらイルカは、ふと思いついたことを訊いてみた。
「カカシさん。」
「はい。」
「合コンって行ったことありますか?」
訊いたことが余程、意外だったのかカカシは口に含んだコーヒーを吹き出した。
そして咳き込んでいる。
「大丈夫ですか。」
イルカはカカシが吹き出したコーヒーをタオルで手早く拭きとる。
「だ、大丈夫だけど。」
ようやく落ち着いたのかカカシは大きく息を吐き出した。
「どうしたの、急にそんなこと訊くなんて。」
「ええ、まあ、友達が合コンとやらに行って楽しかったって、やたら言うもんですから。」
「そうなの。」
カカシは胸を撫で下ろす。
もしやイルカが合コンに誘われでもしたのか、と思ったのだ。



「俺も二、三回しか行ったことないけど、別に楽しい・・・とは思いませんでしたねえ。」
「へえ。」
イルカは興味深げだ。
「基本、知らない人の集まりだから、俺、そういうの好きじゃないし。」
あ、でも、とカカシは、あることを強調した。
「イルカさんを知ってからは、そういうの一度も行っていませんし、俺、イルカさん一筋ですからね!」
一途な気持ちを熱烈にアピールする。



なのに、イルカは別のところに関心を寄せた。
「俺を知ってから、ってカカシさん、俺のこと、いつから知っていたんですか?」
カカシと会ったのは、スーパーで試食販売していた時に会ったのが初めてだとイルカは思っていたのだが、時々カカシは、その前からイルカを知っていたと思われる話をしていたのだ。
「ああ、実はねえ。」
カカシは何かを思い出すように顔を緩ませた。
「イルカさんがバイトしていた、あのスーパーで高校生の頃にイルカさん、一度だけバイトしていたことあったでしょう?」
「え・・・。」
言われてイルカは自分でも忘れていたことを思い出した。



「そういえば、高校生の頃、一度だけ友達のピンチヒッターでバイトしたことありました。」
イルカは高校生の頃、下宿していたため下宿先からスーパーは遠く、大学生になってからはアパートに移り住み、アパートからスーパーまでの距離が近くなったのでバイトを始めたのだ。
「そうそう、それそれ。」
カカシは、にこにことしている。
「その時もやっぱり、試食の販売していたでしょう。偶々、立ち寄ったスーパーでピンクのエプロンつけた可愛いイルカさんが、新発売のジュースの試飲を俺に勧めてくれて、会社の仕事で疲れていた俺は、どんなに癒されたことか。」
「はあ。」
「美味しいですよ、いかがですか?と笑顔のイルカさんにジュースを勧められた俺は迷わずジュースをあるだけ買っったんですよ。」
「あー・・・。」
おぼろげながらイルカは思い出してきた。
そんなお客さんがいたような気がする。



「すごく可愛いイルカさんに俺は、その時、運命を感じて一目惚れをしてしまったんです!」
カカシの中で思い出は美化されているようであった。
「それから何回も、そのスーパーに通ってイルカさんの姿を探したんですけど見つからず。」
高校生の時はピンチヒッターの一回しかスーパーでバイトはしていない。
「何度も諦めかけたけど、諦めないでイルカさんを探し続けて良かったです。だって、こうして会えましたもん。」
運命ですね!とカカシは嬉しそうにしている。
「あの時、イルカさんと、やっと会えて、夢じゃないかと何回もイルカさんの姿を眺めて確かめてしまいました。」
カカシがイルカを舐めるように見ていたのは、確かめるために見ていたらしい。



「・・・そうだったんですか。」
今、初めて明かされた真実にイルカは上手く言葉が出ない。
「うん、そうなんだよ〜ね。」
カカシは高校生の頃のイルカさん、初々しくて可愛かったよねえ、としきりに言っている。
「あ、今も可愛いですけどね、もちろん。」
「・・・ど、どうも。」
コーヒーを飲み干したイルカは「ご馳走様でした。」とカップを流しに置いてから勉強を再開した。
再開したのだが中々、集中できない。
もしも高校生の俺がカカシさんと知り合いになっていたら、どうなっていたんだろうか。
ちら、とカカシを見ればイルカを一心に見詰めている。
その目は優しく顔は穏やかで、見詰められてイルカは体温が上昇するのが自分でも分かった。
勉強勉強、そう自分に言い聞かせながらイルカは、ひたすら勉強を続けたのだった。




初詣の誓い
冬の醍醐味






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