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初詣の願い



元旦の日。
二人は人ごみ溢れる神社に初詣に訪れていた。
神社に参拝する人々で境内は、ごった返している。
「イルカさん、迷子にならないでね。」
「あ、はい。」
イルカはカカシから逸れないように、とカカシにがっちりとガードされていた。
最初は手を繋いでいたのだが人ごみの中、押されたりしたので、それの手がいつしかイルカの肩に回され、仕舞いには腰に回っていたりする。
小さい子供じゃないから、もしも迷子になっても一人で帰れるのになあ、とイルカは思いつつもカカシさんて、ちょっと大げさで過保護だなあと密かに嬉しく苦笑した。



漸く、賽銭を入れられる場所に来てイルカは財布から五円玉を一枚取り出すと、ぽんと賽銭箱の中に放り投げる。
隣のカカシを見ると五円玉を小銭入れから、じゃらじゃらと取り出して、ざーっと賽銭箱に中に入れていた。
五円玉、あんなにたくさん集めたのか・・・。
カカシさんって、まめだなあ、よっぽど叶えたい願い事でもあるのかなあと頭の隅で思いながら、イルカは鈴を振り手を合わせて目を閉じた。
今年も無事に一年過ごせますように。
願いはそれだけ。
高望みもしなければ特別な願いもなく、普通に暮らせるように、と願った。



目を開けて隣にカカシを見ると手を合わせて、何かを一心に願っている様子だ。
硬く閉じた目に真面目な顔。
カッコいい人だなあとイルカは改めて思い、脇に避けてカカシが願い終わるのを待った。
「お待たせしました!」
願い事を終えたカカシは、すっきりとした顔だ。
「じゃあ、帰りますか?」
イルカが聞くとカカシは首を振る。
「その前に絵馬を書いていきましょう。」
「絵馬?」
「そうそう。」
カカシは、ご機嫌そうだ。



「絵馬に願い事を書くと願いが叶う確立が高くなるって聞きました。」
「へえ、そうなんですか。」
絵馬に願い事を書くなんてイルカは初めてで、ちょっと緊張してしまう。
何を書こうかと迷ったが結局、当たり障りのない事を書いた。
健康で過ごせますように。
それから、あることを思い出して、ちょっぴりだけ付け足した。
「カカシさん、書き終わりましたか?」
「うん。じゃーん!」
カカシは得意げにイルカに自分の書いた絵馬を見せてきた。



そこには『本懐成就!悲願達成!』と大きな文字で書かれている。
隅には田んぼで見かける案山子のイラストが描かれていた。
「本懐って何ですか?」
イルカは不思議そうに言う。
「それに悲願て・・・。肝心な願い事の内容が書かれていないようですけど。」
「いーのいーの。」
カカシは書いた絵馬を神社の絵馬専用の設置されている場所に下げた。
「だって、願い事の内容を書いたら警戒されちゃうから。」
「はあ。」
なんだか、よく解らなかったが深く聞かないほうがいい様な気がした。



「あ、イルカさん、これ何?」
カカシに倣って絵馬を下げたイルカだったがカカシに書いた内容を指摘された。
「この健康で過ごせますように、の後の、ナルトとサスケの受験が成功しますようにって・・・。」
「ああ、これは・・・。」
ナルトとサスケとはイルカの高校の後輩で今年イルカを同じ大学を受験するという。
高校にいた頃は同じ部に所属して部活動をしていて仲が良かったのだ。
そしてナルトとサスケの受験のことを聞いてイルカは時々だが、二人の勉強をみてやっていた。
ナルトとサスケは面白がって『イルカ先輩』ではなく『イルカ先生と』と読んだりしてくれたりもした。
イルカが、そう説明しようとしたのだが、それよりも早くカカシが矢継ぎ早に訊いてきた。
「ナルトとサスケって、どこの誰?この二人と、どういう関係なの?好きなの?どうなの?」
「えっと、ですね。」
カカシの勢いに押されてイルカは上手く喋れない。



「イルカ!どういうこと!」
ちょっとカカシは恐かった。
質問というより詰問で、目が真剣だ。
「ナルトとサスケは高校の後輩で、その・・・。今年大学受験だから。」
だからイルカは、ちょろっと絵馬に、そのことを書いただけなのだ。
二人が大学に合格すればいいなあという軽い気持ちで。



「そうなんだ。」
イルカの説明にカカシは不承不承納得したようだが不満そうだった。
「新年早々、俺以外の他の人間の名前を聞くなんて。」と呟いている。
そして自分の絵馬に書き足した。
『今年中に絶対本懐成就!必ず悲願達成!』
カカシは拳を握り締めて、何故か決意を新たにしたようだ。
「じゃ、帰りましょうか。」
カカシに手を引かれてイルカは歩き出す。
「カカシさん。」
「なんですか。」
「・・・怒ってます?」
「怒ってませんよ。」
「・・・だったら、いいんですけど。」 ぎゅっと握られる手を握り返しながらイルカはカカシが何に不満そうになったのか理由が思い当たらず腑に落ちない。
まあ、怒ってないって言っているからいいか。
気楽に考えることにしたイルカは、それ以上、そのことについて考えなかった。



余談だがイルカはカカシにお年玉を貰った。
「わ!こんなにたくさん!」
ぽち袋を開けてみると一万円札が四枚、千円札が六枚、百円玉が四枚、十円玉が九枚入っていた。
「46490円で今年も『よろしくね!』ってことだ〜よ。」
カカシの説明にイルカは笑った。
「べたなギャグですね。」
そしてカカシにお礼を言ってから有り難くお年玉を頂戴し、お返しにイルカはカカシに抱きついたのだった。




年末の誓い
昔の話






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