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お帰り



「お帰り!イルカさん!」
カカシは両手を広げた。
「ただいま、カカシさん」
イルカは照れくさそうにしながらも嬉しげな顔になった。
両手を広げたカカシに歩み寄るとイルカもカカシに手を差し伸べた。
もう一度、言う。
「カカシさん、ただいま」
ぎゅっとイルカはカカシに抱きついた。
カカシは、しっかりとイルカを抱きとめて強く抱きしめた。
場所はカカシの家の玄関先だ。
一度はカカシの家を出て行ったイルカが、もう一度カカシの家に戻ってきたのだ。
紆余曲折がありながらもイルカは帰ってきた。
カカシの元へと。



抱きしめられながらイルカはカカシに言った。
言っておきたいことがあったから。
「俺、ここで・・・」
躊躇いがちに言葉を発した。
「また暮らしてもいいですか・・・」
言葉の最後が微かに震えている。
「勝手に出て行ってカカシさんに心配も迷惑も、たくさんかけて・・・」
ごめんなさい、と小さな声が聞こえた。
「当たり前でしょ」
カカシはイルカを抱きしめる腕に力を入れてイルカの顔を正面から見る。
とても近い。
二人の視線が絡み合う。
「俺はイルカさんに傍にいてほしい、俺とイルカさんは性格も違うし、俺は社会人でイルカさんは学生で色々と違うところもあるけど」
カカシは大きく息を吸い込んだ。
「だけど傍にいてほしい」
はっきりと言った。
「イルカさんが好きだから」



カカシの言葉は、すんなりとイルカの胸に落ちてきた。
すとん、と胸のつかえが総てなくなった気がした。
「カカシさん」
イルカは一度、目を閉じて嘆息すると目を開けた。
カカシに向かって微笑む。
「ありがとう」
その微笑みは柔らかで明るく、曇りがない。
「ありがとうございます」
イルカは幸せそうな顔であった。
「あ!」
玄関先で抱き合っていた二人だったがイルカが玄関先にあった、ある物に目を止めた。
「あ、これ・・・」
玄関先に設置してある靴箱の上には鍵が合ったのだ。
「この鍵は」
イルカがカカシに貰った合鍵だ。
あの日、もう使わないからと靴箱の上に置いてカカシの家を出て行った。
その時のままだったのだ。
掃除はしてあるようで塵や埃はなかったけれど。
「ああ、それ」
カカシは目を細めて苦笑いを浮かべた。
「イルカさんが最後に触って置いていったものだと思うと動かせなくてさ」
愛しそうにイルカを見やる。
「いつか、イルカさんがこの家に帰ってきてくれると信じていたし」
カカシはイルカが家を出て行って、どのような思いでイルカの置いていった鍵を見ていたのだろう。
玄関先に置いてあるということは毎日、見ていたということになる。



「カカシさん、ごめんなさい」
イルカは項垂れた。
「ごめんなさい、酷いことして悲しい思いをさせてしまって」
「いいんだって」
カカシはイルカの手を引いて家の中に導いた。
「ほら、家の中もイルカさんがいたときのままでしょ」
「ええ、そうですね」
「若干、変わった場所もあるけど。ほぼ、そのままだよ」
「はい」
カカシが自分を待っていてくれたと分かって、イルカはとても嬉しかった。
「それから、これ」
タンスの引き出しを開けてカカシはイルカにあるものを渡してきた。
「返すね、必要ないから」
「え、これって」
イルカがカカシの家から出て行くときに置いていったお金だった。
かなりの額だ。
「イルカさんが帰ってきてくれれば俺は、それでいいし」
「でも・・・」



そもそもイルカがカカシの家を出て行ったのは経済的な負担をカカシに強いているとイルカが思ったからだった。
「お金のことは、すぐにどうこうする問題じゃないから長い目で考えていこうよ」
カカシは建設的なことを提案した。
「社会人と学生なんだから金銭的なことで差があるのは当たり前だと思うし、イルカさんがそれを負担に思うのなら別のことで返してくれればいいと思うし」
「別のことって?」
質問するとカカシは、にやっと笑う。
「俺を抱きしめてくれたり、お帰りなさいのキスしてくれたり、いってらっしゃいのキスしてくれたり、四六時中くっ付いてきたり」
恥ずかしくなるようなことをカカシは並べ立てる。
自然とイルカの顔は赤くなってきた。
「一番はイルカさんが俺のことを好きでいてくれて傍にいてくれることだけどね」
「そ、それはもちろんです」
イルカは慌てて頷いた。
カカシの言ったこと全部は出来なくても努力しようと思う。
「あ、そだ」
カカシが、うきうきとした声を出した。
「あのさ、イルカさん」
「はい」
「家の中で若干、変わった場所見る?」
何やら意味ありげな顔だ。
「え?ええ、はい」
カカシに連れられて行った先は寝室だった。
「じゃーん!」
寝室のドアを開けて中を見せられて、そこには・・・。



「ベッドが!」
イルカがいた時はツインのベッドのはずだったのに。
大きいベッドが一つ、どどーんと部屋を占領していた。
「どう?クイーンサイズのベッドだよ」
カカシは得意そうだ。
「これなら一緒に寝れるでしょ?」と、とても嬉しそうにしている。
「そ、そうですけど」
大きなベッドにイルカは押されている。
ここでカカシさんと一緒に・・・。
夜、寝るのか?
どきどきしてくる心臓を押さえるのに一苦労だ。
寝相が悪くてカカシさんを蹴飛ばしたらどうしよう?
いったい、どうなるんだろう。
カカシの家に戻ってきて始まる新たな生活。
それには、きっと新しい変化も起きるはずだ。
いい意味での新しい変化が。



これから始まる生活にカカシもイルカも認識や思惑に大きな差があるものの、お互いに色々な期待をしていたのだった。




贈り物
おかわり







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