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お泊り 2



★捏造設定あり
★オリキャラ注意




「イルカさん!」
土曜日の朝、出張の終わったカカシが朝一番で実家に行くと家の中から「はーい」とイルカの声がして玄関までカカシを出迎えてくれた。
「お帰りなさい、カカシさん。お仕事お疲れ様でした。」
丁寧に言ってカカシの荷物を受け取る。
「ちょうど朝ご飯もできたところですよ。カカシさんのお父さんもお母さんもお待ちになっています。」
「あ、えと、ただいま・・・。」
言いながらカカシはイルカが目が離せなかった。
目が釘付けになってしまう。
その姿に。
「その格好は・・・。」
カカシが指摘するとイルカは、ちょっと照れたように笑った。
「あ、これ、朝ご飯作るお手伝いをするのにカカシさんのお母さんからお借りしたんです。」
イルカはフリルがたくさん付いた白いエプロンをしていた。
頭には揃いの白い三角巾をしており、三角巾にもフリルが付いている。
「そ、そうなの。」
「変ですか?」
イルカが心配そうに訊いてくる。
「いえっ。ぜんぜん、変じゃないです。」
カカシは慌てて言った。
「むしろ似合っているというか、激可愛いというか、可愛すぎるというか、写真に撮っておきたいというか、そのままお持ち帰りしたいというか。」
本心が、つらつらと出てしまった。
「もう〜。朝から何を言っているんですか、カカシさん。」
にっこり笑ったイルカの笑顔は、カカシのハートを直撃した。



朝ご飯を食べ終わり、食後、皆で茶を飲んでいる時、カカシはイルカに心配になっていたことを訊いた。
「イルカさん、昨日は大丈夫だった?」
イルカは今週末、カカシの実家に泊まる際にカカシより一足早く、昨日から来ていたのだ。
「はい、大丈夫です。」
「変なこと・・・。」
カカシは自分の父親を、じろっと睨む。
「されたりしなかった?」
「変なことって?」
イルカは首を傾げる。
「特に何も。昨日はカカシさんの小さい頃のお話をたくさん聞かせていただきました。」
「そ、そう。」
変なことはなかったらしいが、自分の小さい頃の話も少し気に掛かる。
いったい、何を話したのか・・・。
「イルカちゃん。」
カカシの母親がイルカに声を掛けた。
「そろそろ準備しましょうか。」
「あ、はい。」
返事をしたイルカはカカシの母親について行ってしまった。
「ああ、イルカさ〜ん。」
名残惜しげにカカシが、行かないで〜、と手を伸ばす。
だがイルカは部屋から出て、どこかに行ってしまった。
「イルカさん、どこに行ったの?母さんと何するわけ?」
「さあなあ。」
カカシの父親は、にやにやとしている。
「口止めされているから言わない。」
「はあ?」
「ついでに足止めするように言われているから。」
「何、それ!」
いきり立つカカシに、まあまあ、と父親は手でカカシを制した。



「そういえば、昨日の晩、イルカくんが私たちに話してきたことがあったよ。」などと言い出した。
私たちというのはカカシの父親と母親をさすのだろう。
「イルカさんが話?」
イルカがいったい何を話したのだろうか。
見当がつかなくてカカシは眉を潜めた。
「もしかして俺に不満があるとか?」
「違う。」
「大学のこととか?」
「違う。」
「バイトのこと?」
「違う。」
「えー、あとはなんだろ・・・。」
腕組みして考えてみるが答えは出ない。
「うーん、イルカさんが言いそうなことって・・・。」
もしや、とカカシは青くなる。
「もしかしてもしかしてイルカさん、俺と別れたいとか・・・。それを俺に直接言えないから、俺の両親から伝えてほしいとかって。」
因みにカカシとイルカの関係はカカシの両親に伝えてあり認めてもらっている。
現在のカカシの両親は義理の両親であるが。



「まったく、カカシはすぐにマイナスに考えるんだね。」
カカシの父親は溜め息をついて茶を一口飲んだ。
「カカシの考えていることとは全く違うことをイルカくんは言ってきた。」
静かにカカシの父親は言った。
「社会人のカカシと学生の自分は経済力が違うけど、カカシと一緒に暮らしてもいいか、と。」
「え・・・・・・。」
「イルカくんは学生であるうちは絶対に社会人のカカシに迷惑や負担をかけてしまうから、一緒に住むのはどうかと思うけれどカカシが好きだから一緒にいたいそうだ。」
「イルカさんが・・・。」
「それで、以前に経済力の違いから引け目を感じてイルカくんがカカシの家を出て行ってしまったことまで話してくれたよ。」
それを聞いてカカシは複雑な気持ちになる。
「俺たちの問題なのに。」
自分に言ってくれたらいいのに、という思いが強い。
「そう、私たちも二人の問題だから、と言ったよ。そしたらね、イルカくんが。」
カカシの父親は感慨深そうに言った。
「親は子供を思うものだから、いくつになっても心配なはずですって言ってね。」
イルカは、そんなことを考えていたのか。
カカシは、ぐっと胸が詰まった。
「じゃあ、私たちが反対したらどうするのかと言ったら『考えます、でも好きな気持ちがある限り一緒にいたいんです』と言っていた。」
カカシの父親は微笑んだ。
「それを聞いてね、若いっていいなあ青春だなあと思うと共に、イルカくんは本当にカカシのことが好きなんだなあと思ってねえ。」
イルカくんはいい子だなあ、としみじみした口調で言った。
「愛されているじゃないか、カカシ。」
そう父親は締めくくった。



「あ、カカシと一緒に暮らすということについては異論がないと言っておいたからね。ついでに暮らすなら、ここで暮らしたらとアドバイスしておいた。」
余計はことまで言ったらしい。
「まあ、イルカさんと一緒に暮らしても、実家には戻らないから。」
その点だけは後々のために、はっきりとカカシは宣言しておいた。
一緒に住むなら二人きりがいいに決っている。
「そっかー、残念だなあ。」
心底残念そうにカカシの父親が溜め息をついた時、甘い匂いが漂ってきた。
「お、出来たのかな?」
「何が?」
「まあまあ、見てのお楽しみ。」
そうこうするうちに、例のフリルの付いたエプロンをしたイルカが部屋に戻ってきた。
「カカシさん、出来ましたよ!」
何やら興奮気味だ。
「すっごい、いい出来栄えです!」
とても嬉しそうにしている。
「今、持ってきますから!」
そう言うと再び、部屋を出て行ってしまった。
「あー、イルカさん。行かないで〜。」



「じゃーん!」
手に何かと持ったイルカがカカシの母親と登場した。
それはケーキだったのである。
真っ白な生クリームで飾られたケーキは上に小さいホールが乗って、階段のように二段重ねになっている。
ケーキの真ん中の小さな板チョコには文字が書いてあった。



『カカシさん!ハッピーバースデー!』



「あ、今日・・・。」
今更ながらにカカシは思い出した。
「俺の誕生日だったりする?」
「そうですよ。」
イルカは嬉しそうにしている。
「カカシさんの誕生日です!」
にこにことしたイルカが大きなケーキをカカシの前に置く。
数字の形をした蝋燭が二個、ケーキに立てられている。
蝋燭に火が点された。
カカシがお決まりどおり、ふうと蝋燭の火を消すと、ぱちぱちと拍手が起こった。
「カカシさん、誕生日おめでとうございます!」
「カカシ、誕生日おめでとう!」
「おめでとう!」
皆に祝われた。
祝われて嬉しくないはずがない。
カカシは、ちょっと照れながら「ありがとう」と口にした。
「イルカくん、昨日からケーキの下ごしらえしていたのよ。」
カカシの母親が説明する。
「カカシの誕生日にケーキを作りたいからケーキの作り方を教えてほしいって言うから、いっそのこと泊まりにいらっしゃいって勧めたの。」
それでカカシの実家にお泊りという流れになったのだ。



「そうだったんだ。」
カカシはイルカの方を向くと、ぎゅっと手を握った。
本当は抱きしめたかったが、それは二人きりの時だ。
「イルカさん、ありがとう。」
心を込めて、そう言った。
「素敵な誕生日をありがとう。」
「いえ、そんな・・・。」
イルカはカカシの両親の前でカカシに手を握られて、どきどきしているのか頬を染めている。
そして、さり気なくカカシの手を引き離そうとしていた。
それを逃がさずカカシはイルカの手を強く握る。
「親父から聞いたけど、一緒に暮らすことも考えてくれていたんだね。」
「あ、それは。」
「これから一緒に暮らそうね。」
「ええと、あの。」
はい、とイルカは小さく頷いた。
「嬉しいなあ。」
とってもカカシは幸せだった。
自分もイルカも、きっと幸せになる。
二人でいれば大丈夫。
きっと幸せになる。
カカシは心から、そう思ったのだった。




お泊り1
贈り物







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