お墓参り 2
★捏造設定あり
目的の駅からバスを乗ること、更に一時間。
バスの外には長閑な風景が広がっている。
カカシとイルカの他は乗客は、殆どおらずバスは空席が目立っていた。
イルカはとは時折、話したりするものの、どこか沈んだ様子だ。
しばらくしてバスは停車し、イルカに促されてカカシはバスを降りた。
「ここは・・・。」
目の前には大きな建物がそびえ立ち、大きな庭があり色とりどりの花が植えられていた。
「ここです、俺の両親の墓があるのは・・・。」
ぽつり、と呟くように言ってイルカは建物の中に入っていく。
その後をカカシは慌てて追いかけた。
「えっと、イルカさん・・・。」
建物の中は白を基調としたデザインで清潔なイメージを思わせた。
「ここは室内霊園なんです。」
イルカが静かな声でカカシに告げた。
「この建物の中に俺の両親の墓があるんです。」
大きな建物の中をイルカは迷わず、歩いて行く。
ある部屋の入ると、ずらりと同じような形の墓石が並んでいる光景に出くわした。
要するに、ここが墓地ということらしい。
イルカは、その部屋の中にある墓の前で足を止めた。
「カカシさん」と振り向いた。
「ここが俺の両親が眠る場所です。」
その墓には海野の文字が彫られていた。
墓は綺麗で、ぴかぴかに磨かれている。
そのことを問うとイルカは「管理されている会社の方でやってくれている」と簡潔に答えてくれた。
イルカは優しい手つきで、そっと墓を撫でた。
小さい声が聞こえた。
「父ちゃん、母ちゃん、久しぶり。」
その声には愛しさや懐かしさが滲んでいる。
「今日はね。」
イルカは秘密でも言うか如く、囁くように言った。
「カカシさんと一緒に来たんだ。」
その顔に、ふっと笑みが浮かぶ。
「俺が好きな人だよ。」
男の人でびっくりした?、なんてイルカは楽しそうに言っている。
「いつも俺のことを一番に考えてくれる人なんだ、カカシさんて。とても優しくて良い人だよ。」
だからね、とイルカは優しい顔になった。
「俺は今、幸せだから心配しないでね。」
そう言った。
「あ、あの、俺。」
カカシは、いつにないイルカの顔に、つい見蕩れてしまっていたが、改めてイルカの両親が眠る墓と向かい合った。
「俺は畑カカシと言いますが。」
墓に向かって言っているのだが少し緊張する。
「イルカさんとお付き合いさせてもらっています。イルカさんのことが好きです。愛してます。だから、あの・・・。」
「カ、カカシさん、ストップ!」
そこまで言ってイルカに口を塞がれた。
「そんなこと口に出したら恥ずかしいじゃないですか。」
見るとイルカは真っ赤になっている。
「あとは手を合わせた時に心の中で言ってください。」
「でも言わなきゃ分からないじゃないですか。」
「いいですから。」
イルカは墓に向かって手を合わせ目を閉じた。
カカシも、それに倣って手を合わせたのだった。
暫くして目を開けるとイルカは、まだ手を合わせて目を閉じていた。
両親に報告することや話すことがたくさんあるのだろう。
イルカは目を開けるとカカシに「遅くなってすみません」と律儀に謝ってきた。
「気にしないでください。」
それより、とカカシは、きょろきょろと辺りを見渡した。
「お線香はあげなくていいの?」
「あ、それは・・・。」
イルカは部屋の出口を指差した。
「別の部屋でします。専用の部屋があるので。」
出口に向かって歩き始める。
「お線香をあげて帰りましょう。」
亡きイルカの両親との短い逢瀬であった。
帰りのバスの中。
イルカは、ぼんやりと窓の外を見ていた。
疲れたのかもしれない。
肉体的よりも精神的に。
カカシの両親の墓は実家の近くで、いつでも行ける距離だがイルカの両親の墓はこんなにも遠いのだ。
「あ、カカシさん、疲れましたか?」
黙っていたカカシに、すみません、とイルカが頭を下げてきた。
「こんな遠いところまでつき合わせてしまって。」
「いいえ、全然疲れていませんよ。」
「そうですか・・・。こんな遠いところにお墓なんて不便ですよね。」
呟くようにイルカは言う。
「・・・でもカカシさんの家のような、お墓って土地やら墓石やら結構高くて。色々探したんですけど、俺が何とか用意できたのは、あの室内霊園で。」
目を伏せてしまったイルカは、それでもカカシに話してくれた。
「あの室内霊園も高校を卒業する年に、やっとバイトしたお金が貯まって買うことが出来たんです・・・。」
カカシには解らないが、あの室内霊園もお金がかなり要ったのではないか。
そんなことを思った。
「室内霊園は綺麗であたたかい雰囲気で、とても気にいってます。それに、ここからなら元住んでいた家に近いですし、父も母も安心するんじゃないかと思って。」
イルカなりに調べて、あの霊園決めたらしい。
「いいところじゃないですか。」
カカシはイルカの手を握った。
強い力で。
「俺は好きですよ、こういうところ。」
「カカシさん。」
「また来ましょうね。」
やっとカカシを見たイルカは泣きそうな顔で笑った。
「ありがとう。」
そう言ってカカシの肩に頭を乗せてきた。
「ここから帰るとき、悲しくて寂しくて胸が張り裂けそうで。でも、今日は・・・。」
カカシさんがいるから平気です、と小さな声が聞こえたのだった。
お墓参り1
お泊り1
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