後日
緊張したカカシの家を訪問した後日。
カカシは週末をイルカの家で過ごしていた。
めいっぱい寛いでいる。
「はあ〜、幸せ〜。」
イルカの家で、ぐーっと伸びをして猫のように欠伸をする。
「カカシさん、お疲れなんじゃないですか?」
声を掛けたイルカがコーヒーを二つ、淹れて持ってきた。
どうぞ、とカカシに渡す。
「あ、どうも。」
ありがとう、とカカシはコーヒーに口をつけてから首を振った。
「疲れていたけど、ここに来ると疲れが吹き飛びます。イルカさんの顔を見るのが俺の疲れを取る最良の方法ですからね〜。」
そう言って、にやっと笑う。
「カカシさんってば・・・。」
何と返してよいのやら、イルカが返答に困っていると傍にあったイルカの携帯が、ブルル〜と震えた。
音を消してマナーモードにしてあったのだ。
「あ、メール。」
携帯を手にしたイルカは表示を見て呟いた。
「カカシさんのお父さんからだ。」
「な、なんっ・・・。」
コーヒーを飲みかけていたカカシは激しく咳き込んだ。
「お、親父から?なんで?イルカさんに?」
「あ、えーとですね。」
イルカが、ちょっと照れて、でも嬉しそうに言った。
「この前、カカシさんの家を訪問させていただいた時に、メールのアドレスを交換したんです。」
「い、いつの間に・・・。」
「カカシさんがお手洗いに立った時です。」
お母さんとも交換しました、とイルカは微笑む。
「電話番号も教えてもらって・・・。困ったときは、いつでも掛けてきてねって言われて。」
イルカは携帯の表示を見ながら感動しているような感じだ。
「メールを送るけど返信は時々くれればいいよって言ってくださって。」
それから、少し頬を染めた。
「俺、メールの返信はカカシさんにするので精一杯なので。」
カカシを見て微笑んだ。
「そう、だったんですか。」
突然のことに驚いたものの、イルカがカカシの父親や母親に返信せずにカカシへのメールの返信を優先してくれたことに、ほっとする。
「あ、でも。」とイルカが思い出したように言った。
「お父さんが冗談で『メールの返信の代わりに俺一人でもいいから遊びにおいで』って言っていましたよ。カカシさんは置いてきていいからねって言って。」
おかしそうにイルカは笑うがカカシは確信していた。
その言葉、本気で言っている!
両親が何を考えているが大よその想像はつく。
「イルカさん!」
「なんでしょう?」
カカシは断固として言った。
「絶対に一人で実家には行かないでくださいね。危険ですから!」
「ええ、はい。」
「行く時は必ず俺と一緒ですよ。」
「分かりました。」と素直にイルカは、こくりと頷いて約束してくれた。
よかった、とカカシは胸を撫で下ろす。
多分、両親はイルカを猫可愛がりしただけなのだと思うけれど・・・。
そんで泊まっていけとか何とか言ってイルカを引き止めて、子供のように甘やかしてあげたいのかもしれないが・・・。
それは俺の役目だ!とカカシは心の中で思った。
犬が八匹もいるんだから、そっちを可愛がればいいのに、とも思う。
「そういえば、カカシさんのご両親ですが・・・。」
カカシの両親の話題に便乗してかイルカが控えめに尋ねてきた。
「お父さん・・・とカカシさん、顔が似ていますよね?・・・髪の色も同じですし。」
「ああ、それはね。」
コーヒーを一口飲んで落ち着きを取り戻したカカシは、なるべく明るく言った。
「今の父親は本当の親父の弟なんですよ、だから顔が似ているの。」
「そうだったんですか。」
「髪の色は両親が実は日本人じゃないとかじゃなくて遠い先祖に異国の血を持った人がいたとかで、俺の髪の色は先祖返り、ってことになっています。」
親父も先祖返りしたみたいで二代続けて先祖返りしたんです、とカカシは説明してくれた。
「そうだったんですか。」
カカシの話を聞き終えたイルカは目を伏せる。
「辛いことを思い出させてしまってすみません。」と謝ってきた。
「ごめんなさい。」
「いいから・・・。謝らないでよ、イルカさん。」
カカシはテーブルに置かれたイルカの手を、ぽんぽんと叩いた。
「お互いのことを知るって大事なことだよね。だから俺にはたくさん色んなこと訊いてよ。」
ね?と言うとイルカは、やっと笑顔を見せた。
「はい。・・・じゃあ、カカシさんも俺に訊きたいことがあれば訊いてくださいね。」と言ってくる。
「じゃあ、一つ。」
カカシは無邪気に訊いた。
「俺のこと、どのくらい好き?」
「えっ。」
「どれくらい、俺のことが好き?」
「そ、れは・・・。」
ねえねえねえ、と迫るとイルカは逃げようとする。
そこを、がっちりと手首を掴んで逃げられないようにした。
顔を近づけてイルカに低く甘い声で囁く。
「俺のこと、好き?」
イルカはカカシを見つめて眉尻を下げて、唇を噛み締めている。
困っている様子が一目瞭然で、そんなイルカも可愛く思えてきてカカシの方が困ってしまう。
そんなことを思っていると、ふっとイルカの顔がカカシに近づいてきて。
ふわり、と唇に何かが触れた。
時間にして十秒か一分か・・・。
ひどく長く感じた。
それから、すっと何かが離れていく。
カカシの目の前には真っ赤な頬のイルカがいる。
「こんな・・・、こんなことしちゃうくらいカカシさんのことが好きです!」
「そっか。」
やっぱり、イルカが好きだと改めて思いカカシは・・・。
熱烈なキスをイルカに返して抱きしめたのだった。
訪問
飲酒
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