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訪問



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次の日の休み。
イルカはカカシに連れられて、本当にカカシの実家に来ていた。
正しく言うと実家の前まで来ていた。
イルカは前の晩、イルカの家に泊まったカカシと、ここまで手を繋いで来たのだが極度の緊張の余り、そのことには気がついていない。
カカシの実家の前でイルカは怖気づいていた。
「や、やややややっぱり、止めましょう!」
緊張しているイルカは微かに震えてもいる。
「だ、だだだだ、駄目です!俺・・・。」
「大丈夫ですから、心配しないで。」
カカシが宥めるがイルカは今にもすごい勢いで走って、どこかに行ってしまいそうだった。
まあ、カカシがイルカの手を、しっかりと握っていたので、その心配はなかったが・・・。
「いいからイルカさん。俺に任せてくださいよ。」
「そ、そそそんなこと言ったって〜。」
尻込みしてイルカが眉を八の字にして泣きそうな顔でカカシを見る。
「俺なんかが行ったら、場違いですよ。怒られます。」
「平気ですって。絶対に、そんなことありませんから」
それに、とカカシはイルカに微笑んだ。
「俺なんかじゃありません。イルカさんは大事な人です。」
「カカシさん・・・。」
見つめあった二人に柔らかな空気が流れたが、その空気から、はっと目覚めたイルカは再び言い出した。
「やっぱ無理です!無理です無理です!」
「もう往生際が悪いですねえ。」
にやっと笑ったカカシは、ぐいっとイルカを引き寄せた。
「抱き上げていった方が早いかな。」
そんなことを言う。



「ええ〜。」
カカシに抱き上げられてカカシの実家に連れられて行ったら、どういうことになるだろう?
考えると薄ら寒いものがある。
しかしカカシは本当に実行してしまいそうだった。
「わ、分かりました。」
イルカはようやく頷いた。
覚悟を決めたように。
・・・覚悟を決めたはずだったのにカカシを見てイルカは声を上げた。
「あっ、カカシさん!」
「今度は何ですか?」
イルカはカカシのYシャツを指差している。
「俺と色違いのお揃いじゃないですか!」
一応、今日はカカシもイルカもYシャツを着てきていた。
かっちりとしたものではなく柄の入った軽めの感じのである。
「今頃、気がついたの?」
カカシが、にこっと笑う。
Yシャツはカカシが用意したものであった。
「お揃いだと俺たち、すっごい仲良さそうに見えるでしょ。」
「仲良さそうだなんて・・・。」
「ま、お揃いの服を着ていなくても十二分に仲はいいですけどね。」
さ、行きましょうとカカシはイルカの手を引っ張って実家のドアチャイムを押したのだった。



ドアチャイムを押すと中から「はーい。」と軽やかな声がして玄関のドアが開いた。
そこには当然、カカシの父と母がいる。
二人とも笑顔でイルカを歓迎しているようだった。
「さあ、どうぞ。」
カカシがイルカを促す。
「どうぞどうぞ。」とカカシの両親たちも口々に言った。
イルカは、ぺこっと頭を下げると、がちがちに緊張したまま「お邪魔します。」と靴を脱ぎ家に上がる。
カカシの手は未だ繋いだままだったのが手を離すということが頭にないようで逆に、ぎゅっとカカシに手を握ってきた。
その手を握り返しながらカカシは不安そうにしているイルカの耳に囁いた。
「何も心配いりませんよ。俺がいるから。」
そう言われてイルカは、ただただ頷いたのであった。



「前にも紹介したけど、こちらは海野イルカさん。」
カカシと並んですわり、対面にはカカシの両親。
カカシに紹介されてイルカは、がちがちに固まった体でぎこちなく言った。
「あ、あの・・・。海野です。は、初めまして、こんにちは。」
正座して膝に置いた手に視線がいってしまい、まともにカカシの両親の顔が見れない。
自分が、どう思われているかと思うと不安で不安で仕方がなかった。
できたら、この場から裸足でいいから逃げ出したかった。
「もう、イルカさんてば緊張しすぎ。」
カカシが場の雰囲気を和ませようとしたのか、軽口を叩きイルカの膝に置かれた手を撫でてくる。
緊張を和らげてくれようとしているようであったが、今のイルカには逆効果であった。
そんなことをされれば、されるほど緊張は高まり喋れなくなる。
すると見かねたのかカカシの父親が口を開いた。
「そうだよ、イルカちゃん。もっとリラックスしていいんだよ。」
「あ、はい。」
イルカが顔を上げるとカカシに面差しの似たカカシの父親の穏やかな顔があった。
目には、あたたかい光がある。
その目に、ほっとしてイルカは肩の力を抜いた。
そしてイルカの顔に笑みが少し浮かんだ。
緊張が和らいだのだ、少しだけ。



そこへカカシが割り込んできた。
「ちょっと、あのねえ。」
「なんだ、カカシ?」
「イルカちゃんって何?何、それ、イルカちゃんて!」
「いいじゃないか、可愛いからイルカちゃんでも。」
「そりゃあ、イルカさんは可愛いよ。でも、それとこれとは別だから!」
「ケチだなあ、カカシは。」
「駄目ったら駄目!」
カカシは子供みたいな意地を張り譲らない。
イルカを『イルカちゃん』と呼ばれたのが、とても気に食わないらしい。
「それに!」と何やら昔のことを持ち出してきた。
「俺の本を勝手に捨てたくせに!」とお冠だ。
「本?本て、あのエロ本・・・。」
「わーっわーっ!ここで言うな!」
慌てたようにカカシが大声を上げた。
カカシに父親が、にやりとする。
「なんだ、カカシ。まーだ、趣味の本のことイルカちゃんに話してないのか?」
再びカカシが「わーっ!」と大声を上げる。
「イルカさんには言うな。俺の信頼と信用と品格が損なわれる」
低い声でカカシが父親を睨むと睨まれた父親は、ふっと笑った。
「まあ、そんなことはないと思うが。あの本のことを言わないなんてイルカちゃんに本気なんだなカカシ。」
納得したように頷いている。
「あの〜。」
そこへイルカが不思議そうに訊いてきた。



「絵の本って画集みたいなものですか?」
カカシの大声の妨害によってイルカに全容は伝わってなかったらしい。
「カカシさんて絵を見るのが趣味とか?」
そんなことを訊いてくる。
「そう!そうです!絵の本のことですよ!」
何故か額に冷や汗を浮かばせてカカシは力説した。
「親父が人が大切にしていた本を勝手に捨てやがったから、俺は家を出たんです!」
「そうだったんですか。」
意外なところで意外な真実を知るイルカである。
カカシの父親がイルカに茶を勧めながらカカシに言った。
「父さんは本は家の中にないって言っただけで捨てたとは言ってないぞ。」
「え?」
「本は家の裏の物置に仕舞ってある。」
「・・・え。」
「早とちりしたカカシが人の話を聞かずに、勝手に怒って家を出て行ったんじゃないか。」
「そ、そうなの?」
「そうだよ。まあ、一人暮らしするいい機会だと思って何も言わなかったが。」
カカシの父親は、しれっとしている。
これが所謂、年の功とでもいうものなのか。



「つまりね、イルカちゃん。」
カカシの父親はイルカに優しい目を向けた。
「いい若い者が休みの日は一日中、一人きりで部屋に閉じこもって本を読んでいるのは不健康だと思ってね。」
「はい。」
口調に真摯なものを感じてイルカはカカシに父親の目を見つめる。
「そんなんじゃ死ぬまで一人で生きていくことになる。一人寂しい人生よりも誰かに傍にいてほしいと思ったんだよ、私たちは。」
そう言って隣にいるカカシに母親と目を合わせて微笑み合う。
「その誰かは誰でもいいんだ。特にこだわらない。カカシが好きでカカシを好きでいてくれる人がいたらいいなあと常々、思っていたんだ。」
それからカカシに目を向ける。
「そうすれば、少しはやる気を起こすと思ってね。何しろ、やる気のなさなら世界一と昔は言っていたくらいだから。」
「余計なこと言うなって、親父!」
カカシが睨みつけてもカカシの両親は笑うばかりだった。
「カカシから話は聞いているから、何も心配いらないよ。」
優しい言葉にイルカは胸が詰まる。
すごく嬉しかったのだ。
カカシの実家に来てよかった、と初めて思ったのだった。



どこからか、いい匂いが漂ってきた。
甘い香りである。
その時、カカシに父親の隣に座って微笑みながら話を聞いていたカカシの母親が、すっと立ち上がり「ちょっと待っててね。」と言うと奥の部屋に姿を消してしまった。
「・・・どうしたんですか?」
イルカが心配そうにカカシを見るとカカシが、ウインクしてきた。
「いいことがありますよ、きっと。」
「いいこと?」
「そうそう。」
カカシは嬉しそうなにしている。
「いいことってなんだろう?」
緊張は解れたものの、やっぱりイルカの心臓はどきどきとしている。
するとカカシの父親もウインクしてきた。
「本当にいいことだよ。」
「こら、親父!イルカさんにウインクするな!」
すかさずカカシが突っ込んでくる。
「いいじゃないか。本当にケチだなあ、カカシは。」
「イルカさんは俺のものなの!」
俺のものって・・・。
言われたイルカは目眩がしそうになった。
カカシの両親にイルカを認めてもらえたみたいだが、というより、初めからカカシとの仲を知っていたみたいだが、それでも恋人同士を匂わせるような言葉や仕草は恥ずかしくなってしまう。
そういえば、ここに来た時カカシさんと手を繋いだままだったような気がする・・・。
思い出すと卒倒しそうになるので今は都合の悪いことは忘れようとイルカは記憶を封印した。



その傍でカカシと父親は言い合っている。
「イルカちゃんが好きだったら最初から言えばよかったのに。」
「言おうとしたら親父が余計なことを言って水を差したんだろ。」
「後で電話してきてイルカちゃんを連れて行くからと言って、一時間も惚気ていたのは誰だ?」
「それは・・・。好きな人の話は幾らでも出来るんだよ!」
どうやらカカシは今日、訪問前に既にイルカのことを両親に報告していたらしい。
だから心配ないと言っていたのか・・・。
「一生大事にするとか愛しているとか本人には言ったのか?ちゃんと伝えないと駄目だぞ。」
「それは言っているよ、もちろん。」
「言葉にしないと伝わらないものもあるからな。」
「分かってるって!」
言い合いではカカシは父親に適わないらしい。
しかし仲のいい親子だった。
「とにかく!」
肩で息を吐いたカカシは、びしっと父親を指差した。
「イルカさんに俺についての変な事を吹き込むなよ!」
「変なことって子供の頃の事とか?」
「それもあるけど・・・。」
「じゃあ、大学時代の事とか?」
「・・・う。それもだけど。」
カカシは父親に押されている。
その様子を見ていたイルカは、ついにおかしくなってしまって笑いを漏らしてしまった。
「ふふ。」と笑うと途端、カカシと父親に注目される。
「あ、すみません。」
急いで口元を押さえるとカカシが安心したように目を細めた。
「やっとイルカさん、笑った。」
よかった、と息を吐いている。
「笑うと、ますます可愛いね。」
カカシの父親にも言われた。
二人ともイルカを気に掛けていてくれたらしい。



そこへ、姿を消したカカシの母親が姿を現した。
手に何か持っている。
「できましたよ。」
柔らかな声で持ってきたものをテーブルに置いた。
それは白く丸いもので・・・。
「ケーキだ・・・。」
イルカは目を瞠る。
ケーキの上には『誕生日おめでとう!』とイルカの名前が書いてあった。
「お袋、お菓子作りが趣味でね。」
カカシが照れくさそうに言う。
「今日、イルカさんの誕生日でしょ。だから、ケーキを作るようにお願いしておいたんです。」
「・・・そうなんですか。」
イルカは胸の上で自分の両手を、ぎゅっと握り合わせた。
自分の誕生日を忘れていたし、そしてカカシが以前に一度だけ言ったことのある自分の誕生日を覚えていたとは思わなかったのだ。
そして手作りのケーキで祝ってもらえるとも思っていなかった。
イルカは何度も目を瞬かせた。
カカシの母親を見て父親を見て、最後にカカシを見て言った。
「すごく嬉しいです。嬉しくて・・・。」
泣きそうになって慌てて俯く。
「びっくりしました。まさか・・・。」
まさか・・・。
「誕生日を祝ってもらえるなんて思わなくて・・・。」
「愛の力です!」
カカシが宣言する。
「ありがとうございます。」
心からイルカは言った。



「でもなあ。」とカカシが不満そうにケーキを指差した。
「誕生日おめでとうイルカさんの下に、何で『イルカちゃん』と『イルカくん』が入っているの?」
「だって、父さんと母さんもイルカちゃんを祝いたかったからねえ。」
カカシの母親も同意とばかりに頷いた。
『イルカくん』はカカシの母親がイルカを呼ぶ時に使っているようだった。
「それに。」とカカシは、まだ言う。
「『ILOVEYOU』って入れてって言ったのに『WELOVEYOU』になってんの?」
「いいだろ、カカシ。皆でイルカちゃんの誕生日をお祝いしたらいいじゃないか。」
それを聞いたイルカは、とても嬉しそうな顔をしている。
とても幸せそうな・・・。
それを見てカカシは、まあ、いいかと思う。
イルカさんが幸せならいいか。
そして帰ってから改めて二人でお祝いすればいいと思ったのだが・・・。
誕生日でイルカが二十歳になったことを知ったカカシに父にお酒を勧められ、カカシが散々に酔っ払ってしまった。
因みにイルカは一口だけしか飲めなかったので一応、酔っ払ったカカシはイルカに連れられて二人の家には帰れたのだった。



予定
後日





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