予定
「無理!無理ですよ、そんなの!」
考えた末にイルカがカカシの腕の中で叫ぶように言った。
「え〜、なんで名案じゃない。」
不服そうにカカシが口を尖らせる。
「いつもイルカさんと一緒にいたいんだもん。」
言い方が子どもみたいで可愛らしい。
「か、可愛く言っても無理ですよ。」
頑なにイルカは首を横に振る。
「この部屋、大学に斡旋して借りていますが、その際に一人で住むって申請してありますし。」
「二人で住むって申請し直したらいいじゃない。」
「う・・・、それは・・・。で、でもカカシさんの家は・・・。」
「解約します。」
あっさりと、そんなことを言う。
「カカシさんの家の荷物、俺の家に全部入りませんよ。」
少々、情けない顔をしてイルカは問題点を指摘する。
「俺んち狭いですから。」
「いらない荷物は実家に送るから大丈夫ですよ。」
しかしカカシは、しぶとかった。
「荷物の心配はありません。」
「で、でも。」と頑張ってイルカは言い募る。
「俺の家からじゃカカシさん通勤が不便じゃ・・・。」
「愛の力で乗り越えます。」
自信満々でカカシは宣言した。
「イルカさんといられるなら少しくらいの早起きなんて、へっちゃらですよ〜。」
何を言っても全然引かないカカシに、とうとうイルカは本当のことを言うことにした。
言うのは辛いが事実なのだから仕方がない。
「あの、カカシさん。」
「ん、なんです?」
「俺んちに来たら生活レベルさがりますよ、絶対に。」
イルカの言わんとすることが解らなくてカカシは問い返した。
「生活レベルって?」
「うちは狭いしカカシさんちのようにハイテク設備もないし。」
カカシのマンションのように便利な設備がないことを指しているのだろう。
「カカシさんが快適に住めないんじゃないかと・・・。」
「そんなことないよ。俺はイルカさんといられれば・・・。」
「そう言ってくれるのは嬉しいです。でもですね、生活レベルを上げるのは簡単ですけど生活レベルを下げるのは難しいんです。」
イルカの言葉には妙に説得力があった。
「俺も・・・、カカシさんと一緒にいたい・・・とは思いますけど。」
イルカの声はだんだん小さくなっていく。
「俺に合わせて不便と感じるような生活をしてもらうのが心苦しいんです。」
最後に、ごめんなさい、と言うのが聞こえた。
「俺は全く不便とは思わないけど・・・。」
思わないけどイルカが、そんなことを思って萎縮してしまうのなら・・・。
イルカが辛く思うのなら諦めよう、とりあえずとカカシは引き下がることにした。
押して駄目なら引いてみろっていうしね。
「じゃあ、一緒に住むのは一旦諦めますけど、週末とか泊まりに来てもいい?」
そんなことを訊くとイルカが、ほっとしたように微笑んだ。
「もちろん、いいですよ。」
はにかむように笑う。
「実は、さっき二組布団を買いましたから、いつでもカカシさん来てください。」
「そっか、ありがと。」
腕の中のイルカにカカシはキスをした。
布団は一組でも構わなかったのに、と思ったのは秘密だ。
「その代わり。」とカカシは妥協案を出した。
「次の休みに一緒に実家に行ってください。」
「・・・・・・え。」
「善は急げでイルカさんのこと、両親に紹介しますから。」
「え、だって、そんな急に。」
「ちゃんと心に決めた人だって言いますからね。」
「こ、心の準備が・・・。」
「心の準備は俺に任してください!」
「えええ〜。」
突然、そんなことを言われてカカシの腕の中でイルカは絶句していたのだがカカシはイルカを両親に紹介する場面をシミュレーションして思わず、にやりとしていたのだった。
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