買物
イルカの買い物に付き合うということに成功したカカシはイルカにくっついて、買い物に来ていた。
イルカの家の近くの店に。
この近くにイルカの家があるのか、と思うとカカシは自然、周辺を観察してしまう。
治安は良いのかとか雰囲気はどうなのか、とか色々だ。
つまりはイルカが日常生活を過ごす上で危険ではないのかということに目がいってしまう。
幸いにもイルカに付いていった先は閑静な住宅街近くで如何わしい店もなく、家族連れが多く見られる落ち着いた雰囲気の場所だった。
「あった、これこれ!」
ホームセンターに買い物に来たイルカは目当ての物があったらしく、少し興奮気味だ。
にこにことしてカカシに言う。
「これ、欲しかったんです、実は。」
そう言って抱えている品物は布団だった。
「布団?」
イルカさん、布団が欲しかったの?
驚くカカシを余所にイルカは敷き布団、掛け布団、枕の三点セットのお買い得品と思える品を手に入れて喜んでいる。
「イルカさん、布団を買うって・・・。今まで、じゃあ、どこで寝ていたの?」
まさか、床にでも寝ていたのかと問うカカシにイルカは首を振った。
「いいえ、山岳部の友人に寝袋借りて、それで寝てました。」
「・・・ほんと?」
「はい。・・・俺、カカシさんの家を出た、その日布団を持ってないのに気が付いて困っていたら、友人が貸してくれたんです。」
イルカは、ちょっと困ったような顔でカカシに説明する。
「・・・そう。」
「それから忙しくて何となく布団を買うの、のびのびになっていて・・・。買わなくきゃいけないよなあ、と思っていたら今日、ここの店でお買い得品があるって聞いて・・・。」
だから、買いに来たらしい。
イルカはお金に困って布団を買わなかったのではないことに多少は安心したものの、カカシの胸中は複雑だ。
・・・だったら俺の家に、ずっといればよかったのに。
今更、思ってもしょうがないが思ってしまう。
イルカが布団の会計を済ませるとカカシはイルカの荷物を半分持った。
「イルカさん、あのさ。」
カカシは思い切って言ってみた。
「俺、イルカさんの家に行ってみたいんだけど駄目?」
もしかして断られるかもと思いながら訊く。
しかし意外なことにイルカは、あっさりと頷いた。
「いいですよ。狭くて散らかってますけど。」
それでよかったらどうぞ、と快く承諾してくれた。
「ぜひとも行きたいです。」
イルカがカカシを拒否しなかったことに嬉しくなる。
それに、とイルカの家でなら二人きりになれる。
ちょうどいい。
この際、イルカが言いたいことを総て訊き出してしまおう、とカカシは心の中で思った。
俺もイルカさんに言いたいことや訊きたいことが、山ほどあるし。
ただし、イルカさんが嫌がらない範囲でだけどね、とカカシは自分に念を押したのだった。
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