連絡
カカシに抱きしめられて久しぶりのカカシの体温に安心してしまっていたイルカであったが、はっと気がついた。
ここは往来、人がいつ来るか分からない場所であることに。
固く自分を抱きしめて離そうとしないカカシをイルカは無理矢理に押しのけた。
「カカシさん、あの、ちょっと・・・。人が来ますから。」
離してください、とイルカが懇願するとカカシは抱きしめているイルカに未練を、たっぷりと残りながら渋々と手を抱きしめていた手を緩めた。
だが、まだイルカから離れようとはしない。
「えー、俺、もっとイルカさんを抱きしめていたいな〜。イルカさんを抱きしめるの好きなんだよねえ」
何だかんだと言い訳するカカシは、少しでもイルカから離れないように時間と稼いでいるらしい。
「久しぶりに会ったんだし、もうちょっと、こう・・・。あー、キ・・・。」
「わーっ!ストップ!」と叫んだイルカはカカシに、その先を言わせなかった。
その先・・・、カカシが何を言おうとしたのか容易に察しがついたのだ。
「イルカさん?」
力の限り、カカシを押し返してイルカは自分から体を離す。
「あー、残念。」
カカシは残念がりながらも手だけは、しっかりとイルカと繋いでいる。
「じゃあ、ま、今日はいいです。次に延期ってことで。」
カカシは勝手に決めるとイルカの手を引いて歩き出した。
「イルカさんは、どこの駅から帰るの?」
「えっと、あっちの駅です。」
イルカの指差す方向にカカシは向かう。
駅には、すぐについた。
「あー、この駅・・・。」
以前、カカシがイルカを見かけた駅であった。
来る時は別のルートで来たので分からなかったのだ。
そのことをイルカに告げると、イルカは驚いたようだった。
「俺のこと、よく分かりましたね。」
たくさんの人が集まる駅のホームでイルカを見つけたカカシに驚いている。
「そりゃあ、まあね。」
カカシは胸を張った。
「イルカさんのことなら世界で一番、俺が知っているし理解しているからね。」
恥ずかしげもなくカカシは言い切って、それを聞いたイルカは僅かに頬を赤くさせた。
「じゃ、じゃあ、俺、こっちのホームなんで。」
イルカはカカシが帰る方向とは反対なので違うホームに行ってしまう。
カカシも、こればっかりは仕方がないので自分が帰る方向の電車の来るホームに向かった。
電車が来ないのでカカシとイルカは線路を挟み向かい合わせになる。
ひらひらっとカカシはイルカに小さく手を振ってみた。
イルカは辺りを、そっと見てから、やはり小さく手を振り替えしてくれる。
ちょうど、その時、電車が滑り込んできてイルカの姿は見なくなった。
電車が去った後のホームにイルカの姿はない。
「またね、イルカさん。」
カカシは呟くとスーツの上着の胸の内ポケットから、いそいそと携帯電話を取り出した。
そして嬉しそうに携帯電話のボタンを押し出したのである。
家に帰りついたイルカはカバンから携帯電話を取り出して、ぎょっとした。
メールの着信が五件もある。
着信履歴にカカシの名前が並んであった。
何か緊急の用事だろうか?
少々、不安になりながらメールを開き、イルカはメールを読み始める。
五件のメールは総て長文で読み終わった時、イルカの顔は真っ赤になっていた。
「・・・カカシさんて。」
ちっとも変わってないなあ。
でも、こういうところが好きかもしれない、やっぱり・・・。
そう思ったイルカの顔は自然、微笑んでいた。
そしてイルカもカカシにメールの返信をした。
五件全部には無理だったが・・・。
今日は会えて嬉しかったです、おやすみなさい、カカシさん、と短いものだったが、それを受け取ったカカシは、とても幸せな気持ちになったのだった。
再会
疑問
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