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予兆



紅とアスマが休憩中に話していた。
「昨日は、びっくりしたぜ。まさか、そうだったとはな〜。」
「そうよねえ。私も驚いたわ。」
自動販売機の近くにある椅子に座り二人は缶コーヒーを飲みながら和気藹々としている。
「ホント、あの子とアスマが知り合いだったなんて世間は狭いのね〜。」
「だなあ。でも無事にバイトが見付かっていて、ほっとしたぜ。なんか気になっていたからよ。」
「意外に優しいのね。」
紅は、ふふふと笑い、缶コーヒーを口にした。
そこへ声を掛けてきた者がいる。
「なーに、話してんの?二人で楽しそうに。」
同じく休憩時間のカカシは自動販売機に缶コーヒーを買いに来たのであった。
カカシは、このところ随分と機嫌が良かった。
「あら、カカシ。今日はご機嫌ね。」
紅が、からかうとカカシは肩を竦める。
「まあね〜。」
そう言って買った缶コーヒーのプルタブを開けた。
「で、何、話してたの?」
立ったままコーヒーを飲みながら訊く。
「ああ、昨日ね。会社が終わってからアンコのお店にアスマを連れて行ったのよ。」
「アンコ?」
「前に会社にいたじゃない。でも自分の店を持つとかで辞めたでしょ?」
「そうだったかな・・・。」
自分の興味にないことは覚えていないカカシだった。



「で、それがどうしたの?」
珍しくカカシは話しに乗ってくる。
「そのアンコの店に新しいバイトの子がウェイターとして入ってね・・・。」
「バイト?」
カカシの眉が僅かに潜められた。
「その子がすごく感じがいい子でね、可愛くて癒し系なの。で、昨日、アスマを連れて行ったら・・・。」
横からアスマが口を挟む。
「なんと俺の知っているやつだったって訳だ。」
「へええ。」
「知っていると言っても俺の落とした財布を届けてくれて少し話しただけで、名前も知らなかったんだがな。昨日、会ってびっくりしたんだぜ。まさか、こんなところで会うとはな〜って。」
「相手もびっくりしていたわよね。」
「ああ、ビックリ仰天していたな。」
昨日のことを思い出したのだろう、紅とアスマは楽しそうに笑った。
「あの子、いい子でしょ?」
紅が言うとアスマが頷いた。
「まあ、そうだな。」
満足そうな笑みを浮かべた紅は話の流れのままにカカシに話を振る。
「カカシも行ってみる?アンコのお店に。」
最近、落ち込んでいる様子のカカシを心配してもいたのだ。
「偶にはお酒でも飲んで気分転換とかしたら?」
幸い明日は休みだし今夜にでも行きましょう、と誘われるとカカシは少し迷ってから了承した。



カカシはというとイルカの姿を見たことや電話が掛かってきたこともあり、ほんの少しだけ心が軽くなり、ほんの少しだけ心に余裕も生まれていたのだ。
「いいよ、偶には付き合うよ。」
「じゃあ、決まりね。」
紅は飲み干した缶コーヒーの缶を捨て立ち上がった。
「仕事が終わったら行きましょう。」
「じゃあ、仕事を早めに終わらせないとな。」
アスマも立ち上がる。
そして二人はデスクへと戻っていってしまった。
カカシもコーヒーを飲み干し缶を捨てる。
デスクに戻りながら、なんとなくカカシは、どきどきしていた。
さっきの紅とアスマの話には引っかかる箇所がたくさんある。
イルカを予感させるものがだ。
その新しく入ったバイトの子が、もしかして、もしかするとイルカかも・・・、とカカシは思わずにはいられない。
直ぐにでも確かめたいと気持ちが急くが慎重にいこうとカカシは思った。
期待が大きいと失望も大きいからな・・・。
だけど。
カカシは考えてしまう。
・・・・・・今日の夜もしかして、もしかしたら会えるかも。
イルカさんに!
会えたら会えたら会えたら、会えたらどうしよう。
その先を考えようとすると、そわそわと落ち着かなくなり仕事が手につかないカカシである。
結局、仕事を終わらすのにいつもの倍くらいの時間が掛かってしまったのであった。




幕間〜第四幕〜
確信





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