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一目惚れ、その後



その日、イルカは試食販売のアルバイトが終わると、例の畑カカシの家まで付いていった。
本当は見知らぬ人の家にいくなど、普段はしないイルカであったが畑カカシという人物が、どうにも憎めないような、それでいて頼りなさげな印象を受けて放っておけなくなったのだ。
そしてカカシがイルカのアルバイトが終わるまで、どうしても待っていると言うので気が引けたが、そうしてもらった。
名目はカカシが買い占めたウインナーを食べるのを手伝うとかいうものだったが。



アルバイトが終わったのは夜の七時過ぎで外は日が落ちて真っ暗になっていた。
カカシの荷物を半分持ちながら、イルカはカカシの隣を歩いている。
「畑さんの家って、ここから近いんですか?」
イルカに聞かれたカカシは、なんだか緊張しているようだった。
「あ、ええと、こっからだと歩いて二十分くらいかな。」
「へええ。」
歩いて二十分も掛かるのに、わざわざ、あのスーパーに来ていたんだ。
あのスーパーのリピーターなのかな、とイルカは考えた。
イルカが時々アルバイトをしている、さっきのスーパーは品揃えもよく肉や魚、野菜は新鮮、しかも特売も多く割安商品が多いのでイルカも、よく利用している。



「ここが俺んちです。」
着いたところは所謂、高級と称されるマンションの一室だった。
「すげー、かっこいい。」
イルカは見慣れぬ設備に感嘆の声を上げた。
「すげー、オートロックだ。」
「すげー、エレベーターだ。」
いちいち、感動している。



そんなイルカを見るカカシは楽しそうに微笑んでいる。
カカシの部屋に通されてイルカは更に驚いた。
「すげー、床暖房!」
足元に暖かさに喜んでいる。
「寒いからヒーターもつけるね。」
カカシがヒーターに点火しすると、急激に部屋は暖まる。
「畑さんちってすごいですねー。どこもかしこも暖かくて天国みたいだー。」
ヒーターで部屋が暖まるとイルカは部屋の中を珍しげに見回した。
「暖房もしっかりしているし、部屋の中に風呂もトイレもある。」
「イル・・・海野さんちはないの?」
「俺んち?」
へへへ、とイルかは笑って答えた。



「俺の家の暖房は湯たんぽで、大学の先輩から貰ったお古の石油ストーブがあるけど使ってなくて部屋の隅に置いてあるんですよ。」
灯油代がなくて、とイルカは素直に告白している。
「部屋の四畳半一つで風呂なし、トイレは共同の格安物件借りて住んでいるんです。」
「そうなんだ。」
カカシは、ぽつりと呟いた。



「あ、じゃ、俺、ウインナー、調理しましょうか?結構、得意なんですよ、料理を作るの。」
自炊なんで、と付け足した。
「あ、じゃあ、お願いします。」
カカシはイルカに調味料の在り処を教え冷蔵庫の中の物は何でも使っていいと言った。
イルカは張り切って腕まくりをする。
「お任せあれ!」
そうして手際よく、イルカは料理を開始した。



「できましたー!」
さほど時間を掛けずしてイルカはカカシが買ったウインナーで三品ほど料理を作った。
どれも、ほかほかを湯気が立って美味しそうな匂いがしている。
「どうぞー、めしあがれ!」
「ありがとう、イル・・・海野さん。」
ぱくりと一口食べたカカシの顔は綻ぶ。
「美味しいです!」
「良かった。」
イルカの顔も綻んだ。 「残った分は冷凍してしまえばいいですよ、そしたら、いつでも食べれます。」
「はい、そうします。俺んちの冷凍庫、氷しか入ってないし。」
カカシはイルカにも一緒に食べるように勧めた。
「あ、どうも。でも・・・。」



ちらりと腕時計を見たイルカは首を振った。
「すみませんが、俺、次のバイトの時間なので、これで失礼します。」
「え・・・。そう。」
明らかにカカシは、がっかりして肩を落としている。
余程、誰かと食卓を共にしたかったに違いない。
だから、見知らぬ俺なんかに突然声を掛けてきて、一緒にウインナーを食べてほしいなんて言ったんだなあ。
ちょっと可哀相になったものの、イルカもバイトは必須なので背に腹は変えられない。



ぺこりと頭を下げると玄関に向かった。
それのイルカをカカシは追いかけてきた。
「あのう、イル・・・海野さん。」
「はい?」
靴を履き終えたイルカはカカシを振り返る。
「何のバイトで、どこでしてるの?」



「ああ、これからコンビニでバイトです。今日は深夜までですかね。」
場所は、とイルカが述べるとカカシは頷いた。
「そのコンビニ、行ったことがあるよ。明日もバイトなの?」
「ええ、ほとんどの日は、そこでバイトしてますよ。」
「わかった。」
カカシは何が分かったのか?
不思議に思いながらもイルカはバイトの時間が迫っていたので、慌ててカカシに別れの挨拶をするとカカシの家を飛び出した。



そして、次の日の夜。
コンビニでレジを担当していたイルカの前に、溢れるほど商品が入ったカゴが置かれた。
レジをしようと顔を上げたイルカは、びっくりしてしまう。
「あ、あなたは・・・。」
そこには、にこにこ笑うカカシがいたのだった。



一目惚れ
一目惚れ、その後の二人




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