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拾う神 9



「あの、さ、イルカ」
カカシ先生が行ってから隣に座っていた同僚が控えめに尋ねてきた
「なんで、はたけ上忍の家の鍵、受け取ったわけ?」
「え?あ、俺、今、カカシ先生の家に住んでいるから」
「住んでいる・・・」
同僚は暫し、絶句して更に尋ねてくる
「な、なんで住んでいるんだ?」
心なしか動揺しているようにも見える
上忍の家に住むのって、とても不思議なものか
「え、なんでって言われても・・・」
住み込みのアルバイトみたいなものかなあ
給料日に給料を落として、そこをカカシ先生に拾ってもらったというか助けてもらったというか

でも、なんでアルバイトしているのかを訊かれたら俺が給料を落としたことまで言わなくてはならない
それは出来れば言いたくない
そんな間抜けなことを言うべきか言わないべきか・・・
悩むまでもないので俺は適当なことを言って茶を濁そうとした
「あー、その、なんだなあ」
適当ないい訳がこんな時に限って出てこない
結局、俺が言えたのは「秘密だ」の一言だった
嘘を言うよりいいだろう、多分
「そうか・・・」
俺の返事に頷いた同僚は勝手に何かを納得したように俺の肩を、ぽんぽんと叩いた
「悩みがあったら何でも相談にのるからな」
相談って何だ?
しかも悩みって
「逆境に負けるなよ!」と励ましてもくれた
・・・これ、絶対に何か勘違いしてるよな
その『何か』が検討つかないけど
でも真実を言って訂正することもできないので
同僚の「秘めた恋ってのは辛いもんだ」と分かったような顔で言っているのを俺は曖昧に笑って聞いているだけであった

とりあえず俺はカカシ先生のいない間に、自分の家の家賃と光熱費を少ない貯金から支払った
それを支払ってしまうと俺の貯金はゼロに等しい
なんで俺、もっと貯金しておかなかったんだろう
ひどく後悔した
後悔先に立たずとは、こんな場面で使うんだなあ〜
身に沁みた
成人して、もう何年にもなるのだから万が一の時のために計画的に貯金くらいしておこう
毎月の給料を当てにする生活ではなくて

そんでカカシ先生の家に帰ると家が、やけに広く感じた
人が一人いないだけでも、こんなに広く感じるものなのか・・・
ちょっと呆然とする
それに寒々としていて炬燵に入っていても、あったかいけれど物足りない
温もりが足りないのだ、カカシ先生の
カカシ先生がいなくて寂しかった
一人が寂しいなんて久しぶりの感情だ
もう、とっくに一人に慣れたと思っていたのに
家主不在の家で俺は一人、ぬくぬくと炬燵に潜り込んで思った
一人だと寂しいなあ
話す相手がいないのが、つまらない
話を聞いてくれる人がいなくて、つまらない
ああ、カカシ先生もこんな気持ちで俺に話し相手になってほしいって頼んできたんだな
カカシ先生の気持ちが、よーく解った
早く帰ってきて、カカシ先生!

で、カカシ先生の家で慣れぬ一人暮らしを三日経験した俺は、その三日後、料理を作っていた
カカシ先生が任務から帰るって言っていた三日後の夕方だ
一人暮らしが長いので俺も一応、それなりに料理は出来る
任務で疲れて帰ってきたら、あったかくて美味しくて栄養のある物を食べたいだろうし
俺が作るから味には自信はないけど愛情は、たっぷり入っている
料理は愛情だ!と意気込んではみたものの、不味かったらあれだなあ・・・
カカシ先生の口に合うといいのだけれど
なんて思いながら料理を作って完成したところでタイミングよく玄関の扉が開いた

「ただいま〜、イルカ先生!」
カカシ先生だった
服は汚れているけど怪我はないようだ
ほっとする
どうしてかカカシ先生が両腕を広げているので、ずっとカカシ先生を待ち焦がれていた俺は自然、 その腕の中に飛び込んでいってしまった
吸い寄せられるように
「カカシ先生、お帰りなさい!」
腕の中に飛び込んできた俺を、ちょっと意外そうな目で見てからカカシ先生は俺の背に手を回してきた
そのまま抱きしめられる
「ただいま帰りました」
カカシ先生の落ち着いた声に安心する
よかった、また会えて
無事に帰って来てくれてよかった
俺は心底、安堵したのだった




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