AIで普通の動画を3D動画に変換する


拾う神 10



「あ、あの・・・」
暫くの間、抱き合って再会した喜びを分かち合っていたのだが、そっとカカシ先生が俺の体を引き離した
逸らした顔が赤い
そして少し言い難そうに言葉を発した
「イ、イルカ先生って・・・」
俺?
「案外、積極的なんですね」
・・・積極的って何だ?
そのまま言葉に出すと、薄っすらと頬をピンクに染めた
「だってイルカ先生から俺に抱きついてきたじゃないですか!」
その行動がカカシ先生は照れくさいながらも嬉しかったみたい
抱きつくって言われてもなあ
「だって俺たち男同士じゃないですか」
男同士で肩を組んだり、抱きしめるじゃないけれど、 良かったなあって感激する場面では無事を確認する意味で軽く抱擁するってのは変わったことじゃないよな?
女性には出来ないけどね

そう言うとカカシ先生は心なしかショックを受けた顔をした
どうしたのかな
カカシ先生は俺に訊いてくる
「イルカ先生、俺以外の人間としょっちゅう、こんなことしたりしているんですか?」
こんなことって抱擁のこと?
少し顔が青褪めている
カカシ先生から妙な真剣さと哀愁が漂ってきているのは気のせいか
俺はカカシ先生を刺激しないように、なるべく穏便に言った
「しょっちゅうって訳じゃありませんよ、時々です、それに、こんなことするのは主に子どもたちが多いんです」
アカデミーで生徒が練習中の難しい術が成功したりすると一緒になって俺も喜んでいたりするので
大人は、そうたくさんはないかなあ
長期任務から帰ってきたやつにはしたことあるけど
久しぶりに無事な姿を見て嬉しかったからね

説明するとカカシ先生は納得してくれたようだった
「なあんだ、ほとんど子ども相手だったんですね」
ひどく安心した様子に俺も一安心
「そうなんですよ」と話を合わせた
そうして話題を、すぐさま変える
「あ、そうだ、お腹、空いていませんか」
夕飯の用意は完了している
「え、夕飯」
ゆる、といった感じでカカシ先生の顔は緩んだ
「イルカ先生が作ってくれたんですか?」
「はい」
「俺のために?」
「ええ、口に合えばいいんですが」
「嬉しいなあ」
カカシ先生の顔は、ゆるゆるに緩んで綻んだ
「頑張って任務して甲斐がありました」
そう言ってもらえて俺も、とても嬉しかった

「うま〜い!」
カカシ先生は俺の作った料理を、それはそれは美味しそうに食べてくれた
もりもり食べて、ご飯のお代わりをしてくれる
「イルカ先生、すっごい美味しいです!」
べた褒めだった
料理は特に凝ったものじゃなくて独身男性が作る平均的な料理だと思う
それでもカカシ先生が、いっぱい食べてくれて俺は嬉しくなる
「良かったです」と柄にもなく照れてしまう
なんてったって空腹に勝る調味料なしって例えもあるくらいだから、 カカシ先生がお腹を空かせて帰って来てくれたのが一番、俺の料理を美味しいと感じる要素なんだろうな
ぱくっと自分の作った物を食べてみる
うん、普通、平凡な味だ
いつも食べている、食べな慣れた味
カカシ先生の作る料理とは、やっぱ違うなあ・・・

三日ぶりに会ったカカシ先生は任務後だというのに随分、元気そうに見えた
「疲れてないんですか?」
ベッドに入って横になった際に訊いてみた
「任務、大変だったんじゃ」
「うん、大変だったよ」
事も無げにカカシ先生は答える
因みに俺とカカシ先生はベッドに入って向かい合って寝ていた
最初は遠慮して隅っこで寝ていたけれど、話すなら離れていちゃあ駄目だよなと考え直したのだ
「大変だったけどね」
カカシ先生は気持ち良さそうに枕に頭を枕に預けた
「イルカ先生が待っていてくれるんだと思うと頑張れました」
すっとカカシ先生の手が伸びてくる
俺の髪にカカシ先生の手が触れた
手が髪を梳くように撫でている

「待っていてくれる人がいると早く里に帰りたくなります」
だんだんとカカシ先生の声は小さくなっていった
俺の髪に触れているカカシ先生の手の動きも鈍くなっていく
「そうすると任務を早く終わらせようと力が沸いてきて・・・」
カカシ先生の目も閉じていく
「イルカ先生のことを思うと俺は」
最後は本当に小さい声で聞き取るのが、やっとだった
その言葉は・・・
いつだって頑張れるんです、と
そう聞こえた
俺の髪を撫でていた手が、ぱたんと落ちる
カカシ先生は眠ってしまった

俺はカカシ先生の体に、きっちりと布団を掛けて穏やかな寝顔を見つめた
疲れているけど幸せそう
安らかに眠っている
・・・カカシ先生、頑張っているんだな
すごい人だ
「おやすみなさい、カカシ先生」
起こさないようにカカシ先生の頬に触れて頭を撫でた
「俺も・・・」
何かを言おうとして言葉が途切れた
俺は何て言おうとしたんだろ
俺も、の後は?
考えたのだけど答えは出ない
俺は、ふうっと息を吐き部屋の明かりを消した
目を閉じてカカシ先生の隣で眠りに就いたのだった





拾う神 9
拾う神 11



text top
top