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拾う神 7



受付所に出勤した俺は、もう一度、給料袋を探してみた
一昨日、給料を受け取った後、歩いた場所や立ち寄ったところも隈なく探してみる
遺失物係の元へも、また行ってみたが俺の給料は、どこを探してもなかった
アカデミーの自分の机の中も探してみたけど、やっぱりない
「どこに行っちゃったのかなあ・・・」
カカシ先生の家でお世話になってっていうか、名目はアルバイトで、そんな生活にも慣れてきたけど
お金って大事だからね、ないと困る
「あーあ」と俺は深い溜め息を吐いた

夕方、任務を終わらせたカカシ先生が報告書を持って受付所を訪れた
「一緒に帰りましょう」
今日も誘われた
うきうきとした雰囲気を受付所に撒き散らしている
その、うきうきからは明らかに幸せの匂いがしていた
「はい、あの・・・終わるまでもう少し時間が掛かるのですが」
うきうきに押されながら俺が答えるとカカシ先生は「終わるまで待っています」と 受付所の備え付けの椅子で大人しく座って待っていてくれた
いつも持ち歩いている本を読んでカカシ先生は俺を待ってくれていたのだが
待ってもらっている間、カカシ先生の視線を、ものすごく感じていた俺だった

仕事が終わった帰り道
買物をしてカカシ先生の家に行く前に俺はカカシ先生に一つ、お願いをした
「すみませんが家に寄ってもいいですか?」
「家って誰の?」
「俺の家です」
自分の家に寄って着替えとか、こまごました物を持って行きたい
いい加減、カカシ先生に甘えて自分の服を洗濯してもらうのも悪い
カカシ先生が、いつ洗濯してくれているのかは謎なのだが・・・
着替えがあれば洗濯くらいは、ちょこっと帰って自分の家で出来るし
「イルカ先生の家にですか!」
「はい、ちょっと持って行きたい物があって・・・」
「いいですよ」
カカシ先生の目は輝いている
きらきら、と
俺の家に行くのが、そんなに嬉しいのだろうか
行っても面白い物なんて何もないのになあ
むしろ家の中が散らかっているはずなので、俺がどうしようだ
とにかく買物した物を持って俺の家に行くことにしたのだった

「うっわー・・・」
二日ぶりに自分の家に帰った俺は、びっくりした
自分の家の惨状ぶりに
すげええ〜
着た服が脱ぎっぱなしで、仕事の参考資料やら書類やらが散乱していた
足の踏み場がないとは正に、このことだ
そういや給料日前、やけに忙しかったんだよなあ
終わらない仕事に追われて、もう嫌になっていたんだけど仕事だからって自分を宥めて
家でも持ち帰った仕事しながら、もうすぐ給料日もうすぐ給料日って呪文を唱えながら仕事をしていた気がする
なのに、その給料はなくなってしまった・・・
がっくり

まあ、考えても仕方がないので俺は「部屋の中が、すごい有様ですけど」と断りを入れてカカシ先生を部屋に招き入れた
男同士だから、多少は散らかっていてもいいよね?
「そんなの気にしませんよ〜」
言いながらカカシ先生は俺の部屋に入ってきた
「お邪魔しま〜す」なんて言いながら
俺は、とりあえずカカシ先生の座る場所を確保した
あと、お茶くらいは出そう
何もない家だけどお茶の葉は、どっかにあるはずだから
薬缶で湯を沸かしている間に部屋の中に散らかっている物を隣の部屋に押し込んだ
押し込んで戸を閉めてしまえば、もう見えない
部屋の中が、瞬時に簡単綺麗になる必殺技だ
それから俺は必要な物を用意して沸いた湯で茶を淹れた

「どうぞ」
お茶をカカシ先生に差し出すとカカシ先生は、それを美味そうに飲んだ
俺の部屋を見て「イルカ先生、ここに住んでいるですねえ」と感慨深く言っている
「はあ、まあ」
普通の家で、なんの変哲もないけれど
たいてい、いつも散らかっているような気がするなあ
カカシ先生こそ、いつ誰が来てもいいように部屋を綺麗にしているなんて、すごいよ
俺がカカシ先生の家に行った時も突然だったのに
突然、行っても綺麗な部屋って憧れる
そのことを言うとカカシ先生は何でか照れた
「えー、そうですか」
頭を、がしがしと掻いている
「それはイルカ先生が、いつ俺の家に来てもいいようにって常日頃、整理整頓を心がけていたんです」
俺が?カカシ先生の家に行く?
カカシ先生の家に行く用事なんてあったかな、と首を傾げているとカカシ先生が衝撃的なことを言った
「お互いの家を行き来しちゃうなんて俺たち、恋人みたいですね!」

恋人!
・・・・・・恋人
恋人って
お互いの家を行き来するもんなのか〜
そういうものなのか〜
実は悲しいことに、これまでの人生、恋人なんて終ぞいなかった俺は・・・
ただ単に、へえーと思っただけであった




拾う神 6
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