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拾う神 6



朝の空気があったかいと幸せな気持ちになる
あたたかな、ふわりとした空気が幸せを運んできてくれる
ああ〜、起きたくない
もっと寝ていたい〜
俺は布団の中で寝返りをうち、布団に潜り込んだ
布団を、ぎゅうと抱きしめた
この幸せな空間から出たくないよ〜
子どもみたいなことを考える
そんな俺の体を布団の上から優しく揺する手があった
「朝ですよ〜」
声も優しい
「もう起きないと駄目ですよ」
うーん、と俺は伸びをして声がした方に手を伸ばした

「・・・起こして〜」
口から、ぼんやりと甘えが混じった声が出てしまった
目は、まだ開かない
だって、すっごく眠いんだ
昨日は早めに寝たはずなのに、この幸せな空気が俺を二度寝に誘う
誰かに起こしてもらわないと絶対に寝てしまうよ
「甘えん坊ですねえ」
苦笑した声の主は片手で差し出した俺の手を取り、もう片方の手が俺の背に回る
抱き上げられた、軽々と
がっしりとした逞しい腕に
ああ、らくちんだ〜
俺は目を瞑ったまま、笑みを浮かべた
冬、父ちゃんも布団から出たがらない俺を抱っこして炬燵まで運んでくれたっけ
ああ、まるで父ちゃんみたいだなあ
・・・・・・・・・待てよ?

父ちゃんは、もういない
ってことは・・・
俺は、ぱちっと目を開けた
斜め上にはカカシ先生の顔がある
腕の中を俺を見ている目が居た堪れないほど愛しげだ
俺はカカシ先生の腕の中にいて、つまり抱き上げられていた
抱っこされていたといってもいい
「あ、あ、あのっ」
めちゃくちゃ焦る
俺は朝から何やってんだ!
「すみません、ごめんなさい」
カカシ先生の腕の中で、じたばたともがく
「寝ぼけちゃって、俺・・・」
見苦しい言い訳をする俺をカカシ先生は、そっと床に下ろしてくれた
何故か、ちょっと残念そうに

カカシ先生は昨日と同じく、既に着替えが終わっていた
つつつ、と視線を横にずらすと朝食の乗ったテーブルが目に入る
この人、いつの間に朝食の準備しているんだ
しかも音を立てずに
寝ている俺が気を抜きすぎているのだろうか?
寝起きで呆然としている俺にカカシ先生が思いついたように訊いてきた
「そういえばイルカ先生って朝、さっきみたいに誰かに起こしてもらったことあるの?」
「え?」
「あんな風に・・・」
抱きしめられて、と拗ねたような声が聞こえる
「あ、はい」
子どもの頃、父ちゃんに
「ふーん、誰に?」
カカシ先生の声に少し棘があるのは気のせいかなあ
目が笑ってないし
「誰にって、ええと」
俺は本当のことを言った、恥ずかしかったけど
「小さい頃、父ちゃんが・・・」
「お父さんが?」
はい、と頷く
「冬、寒くて中々、布団から出ない俺を父ちゃんが抱っこして炬燵まで運んでくれたんです」

こんな思い出、すっかり忘れていた
カカシ先生の家に来てから母ちゃんや父ちゃんのことを思い出すのはカカシ先生に、その要素が多分にあるからなのかな〜
それとも、この幸せな空気に中てられたか
「そうでしたか」
言ったカカシ先生の空気が、一変していた
和やかで穏やかな雰囲気が漂っている
さっきの棘があると思ったのは気のせいだった
「お父さんを思い出していたんですね」
しんみりとした口調になっている
思い出したのを気に病んでいるようだけど俺は、もう大人だし思い出は思い出として割り切っているから平気だ
そう告げるとカカシ先生は、ふんわりと笑って俺の頭を撫でてくれた
撫でてくれた、その手は寂しくないよと言っているみたいで
俺は胸がいっぱいになってしまった

で、またカカシ先生が洗ってくれた服を着て朝ご飯をカカシ先生と食べて出勤した
立派な、お弁当まで持たされて
カカシ先生の家から出勤するところを、同じく出勤途中だった何人かの同僚に目撃されてしまった
皆、ちょっと驚いた顔をしているのが印象的だったけど
そんなに変かな?
今日の俺は朝から受付所でカカシ先生も受付所に行くというので一緒に受付所まで向かう
歩きながらカカシ先生が呟いた
「俺も炬燵、買おうかなあ〜」
「え、炬燵?」
「はい」
カカシ先生は朝から楽しそうにしている
「炬燵があればイルカ先生を毎朝、ベッドから炬燵まで運んで上げられますしねえ」
すっごい笑顔だ
「もちろん抱き上げてですよ」
そう言ったカカシ先生は炬燵を買う気満々だった



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