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拾う神 13



でも、と俺は今は亡き父親のことを思い出した
父ちゃんも、よく俺にキスっていうか、ちゅーしてくれていたっけ
イルカの父親は強面で厳しい面もあったが、よく小さい自分を腕に抱っこしては おでこにちゅー、ほっぺにちゅーとかしてくれた
親が子に対する愛情表現の一つとして
外見だけ見る限りでは、とてもそんなことをしなさそう父親だったのだが
だったら別に、と俺は考えた
男同士でも愛情表現の一つとしてだったらカカシ先生が俺の額にキスするのもありなのかなあ、と
切っ掛けはアルバイトだけどカカシ先生とは短期間で随分、親しくなれたし
額にキスは親愛の証と捕えていいのかも

だったら俺からもした方がいいのかな
親愛の表現の一つとして
カカシ先生の額にキスってか、ちゅーを
父ちゃんも俺が、ちゅーを返すとすっごく喜んでいたしなあ
今でも浮かぶ、俺のちゅーで喜ぶ父ちゃんの顔に胸が熱くなる
父ちゃん・・・
なので郷愁に駆られて、ついカカシ先生と父ちゃんを重ねてしまったのかもしれない
それで言ってしまったのだ
「あの、カカシ先生」
「何でしょう、イルカ先生」
カカシ先生は愛しそうに俺を見ているのは気のせいだろうか
「俺も・・・」
「はい?」
「カカシ先生にお返ししましょうか」
「え」
「キ、えっと、ちゅー」
キスという言葉は恥ずかしくて躊躇われたので子どもの頃の言い方で言ってしまった
しまった、こっちの方が恥ずかしいか・・・

軽く後悔しているとカカシ先生が、ばっと飛び起きてベッドの上で正座した
「えええと今・・・、今、ちゅーって言いました?」
「あ、はい」
やはり、ちゅーは不味かったらしい
「ちゅーってキスのことですよね?」
「あ、はい」
そんなに、はっきり言われるとものすごく恥ずかしい
カカシ先生に倣って俺もベッドの上で正座していた
正座してカカシ先生と向かい合っている
この体勢も、何ともはや・・・
お見合いしているみたいだなあ、お見合いしたことないけど

「じゃあじゃあじゃあ」
カカシ先生は勢い込んで俺の肩を掴んで身を乗り出してきた
「イルカ先生が俺にキスしてくれるなら」
ここ、とカカシ先生は自分の右頬を指差す
「額じゃなくて、ここがいいです」
「そ、そうですか」
カカシ先生はキスに乗り気だ
妙に興奮気味だけど昨日の任務の疲れが残っているのかな?
「ここにキスしてください!」
「えっと、はい」
カカシ先生の瞳が、きらきらと輝いている
その瞳を見ながら顔を近づけていくとカカシ先生が囁くように言った
「イルカ先生、キスの時は目を閉じて」
言われた通り目を閉じて・・・
俺はカカシ先生にキスをしたのだった、その頬に

キスとした後のカカシ先生は生き生きとしていた
昨日の任務の疲れなんて、吹っ飛んだかのように
俺は、と言えば・・・
「あ、やばい、時間が!」
カカシ先生に頬にキ、いや、ちゅー、やっぱキスをしてから目を開けて時計と見ると出勤時間になっていた
俺はベッドから飛び降りると急いで着替える
カカシ先生は任務から帰ってきたばかりなんだから、当然、今日は休みだろう
俺はカカシ先生から牛乳を一杯だけ貰うと、それを飲み干して仕事に出かけた
走ってアカデミーに向かう
今日は午前はアカデミー、午後からは受付で、とスケジュールを頭の中で反芻する
アカデミーには、ぎりぎり間に合った
遅刻しないで良かった〜と心から思った俺だった

昼になってから気がついたのだが昼飯、つまり弁当を持ってくるのを忘れてしまっていた
ぐう〜となる腹を押さえつつ、俺は呟く
「まあ、一食くらい抜いてもどってことないし」
水でも飲んで耐え忍ぶか、と思っていたところへカカシ先生が手に何やら持って受付所に現れた
今日は休みじゃなかったのか?
カカシ先生の手には綺麗な柄の布で包んだ包みがある
その布の柄は覚えがあった
俺が、いつもカカシ先生から手渡される弁当を包んでいる布だ
カカシ先生は、にこにこして俺に言った
「イルカ先生、お弁当持って来ましたよ〜」
弁当の言葉に受付所の皆が聞き耳を立てているのが分かる
「ほら、今日は朝、時間がなかったから渡せなくて」
ああ、そういえば今日の朝は忙しくかったような
「俺の手作り弁当です、俺も昼飯、まだなので一緒に食べましょう」
そう誘われた

弁当か、それは大変、魅力的な言葉だ
お腹は鳴っているし食べたいけど
食べたいけど、しかし・・・
「すみません」と俺はカカシ先生に謝った
「仕事中なので抜けられません」
受付の係が自分の番なので代われる者がいない
なのでカカシ先生に謝るしかない
折角、弁当を作って持ってきてもらったけど
すると横から同僚が助け舟を出してくれた
「いいよ、イルカ行って来たら?」
「それは悪いよ」
「いいよ、今の時間帯、人が少ないし、それにイルカは早めに受付に来て仕事していたじゃないか」
確かに決められた自分の番の時間より早めに来ていた
「だから昼飯食べてこいよ」
「いいの?」
「ああ」
「ごめん!」
俺は助け舟を出してくれた同僚に感謝して手を合わせるとカカシ先生に連れられて受付所を後にした




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