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拾う神 12



カカシ先生・・・
抱きついてきたカカシ先生の顔は俺の肩に押し付けられていて見えない
ぎゅーっと抱きしめてくる力は相変わらず強い
でも、なんだろう
俺に抱きついてくるというより、しがみ付いてくるカカシ先生は、とても・・・
とても苦しそうにしているように感じた
苦しそうな、と言葉で言うのは簡単だけど、それだけではないような
多分、と俺は悲しい気持ちになる
今日の任務が辛いものではなかったのではないだろうか

もちろん、忍は心も体も鍛えられている
常日頃、冷静であれ、物事に動じるな、と
でもさ、と俺は思う
そうなんだけど、苦しいことや辛いことを心に仕舞っておくのが大変な時もある
そんな時は誰か、近くにいる人に頼ってもいいんじゃないかな
少しだけ助けてもらってもいいじゃないか
多分、今のカカシ先生が、そんな精神状態なんだろう

俺は抱きしめられる力が僅かに緩んだ隙に自分の手をカカシ先生の背中に回した
背中に回した手に力を入れると俺を抱きしめるカカシ先生の力が徐々に緩んできた
体も緊張していたのか、弛緩してくるが分かる
だんだんとカカシ先生の体の熱も感じてきた
声が出そうだったので試しにカカシ先生の名を呼んでみる
「カカシ先生」
体が、ぴくりと反応した
俺の声は聞こえているらしい
よかった、錯乱はしていないんだな
ちょっと混乱しているだけみたい

「カカシ先生」
落ち着いた声で話しかける
「俺はここにいますから」
ここいるから安心してほしい
俺が傍にいるから
「大丈夫ですよ」
そうして俺はカカシ先生の背中を軽く叩く
あやすように安心してほしいという気持ちが伝わるように
「大丈夫です大丈夫、俺がいますから、ずっと傍にいますから」
呪文のように繰り返す
「俺が・・・」
「イルカ先生」
やっとカカシ先生の声が聞こえた

俺から体を離す
でも俺の頭の両側に手をついて俺を見下ろす形
カカシ先生の顔も見えた
その顔色は暗闇の色と同じだった
カカシ先生は一言だけ言った
「ごめんね」
それだけ言うとベストをベッドの下に脱ぎ捨てて額宛も毟り取って投げ捨てて俺の隣に、 するりと潜り込んできた
布団の中に入り込んで俺を横から、やっぱり抱きしめた
「今夜は、このまま寝かせて」
か細い頼りなげな声だ
その声に俺は胸が痛くなる
俺で良かったら、いくらでも・・・
いくらでもカカシ先生のために出来ることはやりたい
カカシ先生に抱きしめられて、その包まれた体温の温かさ俺は不覚にも心地よい眠りに就いてしまったのだった

ぱちっと目を開けると外は明るかった
あー、もう朝か〜
起きたくねえなあ、でも起きなきゃと思って体を動かそうとしたのだが動かなかった
え、と思って自分の置かれている状況を見てみると横にカカシ先生が寝ていて、 がっちり抱きしめられていた
しかもカカシ先生の腕を腕枕して寝ていたらしい
なんてことだ・・・
カカシ先生の腕、痺れているじゃなかろうか
まだ寝ているのかな、カカシ先生
つと横に寝ているカカシ先生と見ると、すうすうと寝息を立てている
寝顔は安らかで昨日の面影は感じられない
まあ、カカシ先生は上忍だし一時的に混乱しても、すぐに平静になるよな
そういうのは中忍の俺より優れているはずだからなあ

そんな思いでカカシ先生の顔を見つめているとカカシ先生の目が開いた
俺を見とめて子どものような笑みを浮かべる
「おはよう、イルカ先生」
「・・・おはようございます」
なんか知らないけどカカシ先生の笑顔が、やけに眩しく見えた
「昨日はありがとうございました」
丁寧に礼を言われる
「昨日の任務、詳細は話せませんが結構、あれな任務で」
カカシ先生が目を閉じて、ふっと溜め息を吐く
「精神的に参ってしまって」
そうだったのか・・・
「こんなことは滅多にないんですが」
カカシ先生の目が開いて、その瞳の色に今は精神が安定しているのが分かった
「イルカ先生がいてくれて助かりました」と言われる

「そんなこと・・・」
そんなこと言われたら照れるじゃないか!
だって俺、特に何もしていない
結果的にカカシ先生の隣で、ぐうぐう寝ていたし
「そんなことないですよ」
へへ、と誤魔化し笑いをするとカカシ先生は首を横に振る
「いいえ、イルカ先生のお陰です」
そう言ったカカシ先生の顔が近づいてきて、その唇が俺の額に触れた
軽く音がする
あの、これって、あの・・・
「お礼です」とカカシ先生が人の好い顔で、にこーっと笑ったのだけど
額にキスって、しかも男が男にって
それって普通のことなのか?
頭の中に疑問符が、たくさん浮かぶ

カカシ先生にキスされた
額に、だ
それは男同士ではしないことなのかもしれない
だけど俺は、おかしなことに、それがとっても気持ち良くて
もっとしてほしいな、と思ってしまった
もしかして俺って・・・
ふと思う
家族の愛に飢えているのか?
カカシ先生をお母さんとかお父さんとかに置き換えているのかな
どうなんだろう、と回答が得られない設問に俺の方が混乱していたのだった




拾う神 11
拾う神 13



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