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拾う神 11



次の日、目が覚めると既にカカシ先生は起きていた
昨日、任務から帰ってきたばかりなのに疲れているはずなのに起きているなんて
俺がベッドの上で、ぼーっとしているとカカシ先生が来て俺の顔を覗き込んだ
「おはようございます、イルカ先生」
まだ、ぼーっとして声が出ない俺は、こくんと頷くに留まった
朝って眠くて眠くて、しょうがない時が偶にある
今日が、その日だった
ぼうっと頭に白く霞が掛かっていて体が思ったとおりに動いてくれない
「起きていますか」
大丈夫?とカカシ先生が俺の額に手を当てる
「熱はないみたいですね」
「あ、はい、平気です」
低い低い声が俺から出た

こんな日はテンションが異様に低い
冷たい水で顔でも洗って、しゃんとしなくては
ベッドから起き上がって下りようとしたところで、ついつい、よろけてしまった
足が縺れしまい、ああ〜転ぶな〜と人事のように思いながら床に激突しそうになったのだが
生憎と床に激突はしなかった
その前にカカシ先生が、はしっと俺を受け止めてくれたのから
「イルカ先生、どうしたの?ほんと大丈夫ですか」
心配そうな顔をしている
「はい、大丈夫です」
テンション低く俺は返事をする
「顔を洗えば覚醒すると思います」
「そう?」
俺はカカシ先生に抱きかかえられたまま、引っ張られるようにして洗面所へと連れて行かれた

「イルカ先生も寝起きが悪いことあるんですね」
朝食の席でカカシ先生が面白そうに言った
「あ、はい、偶に」
ごく偶にだけど
「イルカ先生のイメージって真面目とか几帳面て感じだったので新鮮です」
「そうですか・・・」
俺は、ははは〜と乾いた笑いをしてから急いで飯を口に運んだ
恥ずかしかったので食べることで誤魔化したかった
「昨日から驚くことばかりです」
昨日って、あのカカシ先生が帰って来た時に抱きついたことかな
「でも、まあ」
朝食を食べ終わっていたカカシ先生は、湯飲みから茶を、ごくりと一口飲んだ
「そんなところも含めて惹かれているのでしょうね」
ひかれて・・・、引かれて?退かれて?
この場合は惹かれて、か
いったい、何の話だろう

カカシ先生は・・・
俺は味噌汁を飲みながら昨夜、寝る直前のカカシ先生の言葉を思い出していた
イルカ先生のことを思うと・・・
思い出すと、ちょっと心臓が早くなる
だって結構、強烈な印象の残る言葉だったから
イルカ先生のことを思うといつだって頑張れるんです、と言っていた
思い出して言葉の意味を考えてみた
俺のことを思い出すと任務を頑張れるっていうのは、えーと、つまり
俺ってのは一種の比喩的表現で、総意は木の葉の里ってことじゃなかろうか
木の葉の里のことを思うと、いつだって頑張れる
そういうことじゃないかな
木の葉の忍は里のことを、とても大切に思っているから
うん、きっとそうだ!
結論が出たところで俺は、ちょうど朝飯を食べ終えた

俺が出勤する際に例によって例のごとくカカシ先生は弁当を差し出してきた
「はい、これ、お弁当ですよ」
「ありがとうございます」
丁重に受け取った
昨日、任務から帰ったばかりで昼の弁当を作っちゃうなんて、すごい人だ
でもカカシ先生は今日は家にいるみたいな雰囲気
今日は任務ないのかな?
「カカシ先生は、今日はお休みですか?」
任務が終わった者は、たいてい次の日、休みだ
「いいええ」
カカシ先生は首を振った
「実は今夜から、また単独任務で」
「え、任務?」
また・・・
休む暇もないのか、大変だなあ

疲れた笑いをカカシ先生は浮かべた
「家で一休みしてから任務に行きます」
「そうですか、お気をつけて」
俺には、そんな言葉を言うくらいしかできない
カカシ先生は上忍なんだ
任務が続けて入ってしまうほどの実力の持ち主で
俺には遠い人
「イルカ先生が帰って来たら、もう俺いないかもしれませんから鍵、持っていってね」
「あ、はい」
「明日の夜には帰ってきますから」
「分かりました、あの、カカシ先生・・・」
「ん、なに」と思いも寄らぬ優しい目で見つめられた
「怪我をしないでくださいね、それから無理もしないでください」
早く帰るために任務を急いで怪我なんてしてほしくない
「俺なら、ずっとカカシ先生の帰りを待っていますから」
待っていますから安心してください、と言うとカカシ先生の目が細まる
その視線の先には俺がいた

視線が痛いほど突き刺さって俺は情けないことに、どきまぎしてしまった
な、なんか、あれだな・・・
恋人たちの別れのシーンみたいな
今、おそらく俺の顔は赤くなっている
ああ、柄にもないこと言ったからだ
恥ずかしい〜
「そんなこと言われると俺、困っちゃうな」
次の瞬間ふっと、あったかいものに包まれた
カカシ先生が俺の首に腕を回してきたのだ
「イルカ先生の傍を離れたくないけど」
すっごく間近にカカシ先生の顔がある
今更だが格好良くて、悔しいくらいに男前の顔だった
「イルカ先生が待っててくれるなら任務、頑張って来ます」
耳元で囁くように言われて俺は完全に頭に血が上ってしまっていた
男同士なのに
こんなに、どきどきするなんて
カカシ先生の顔が見れなかった

俺はカカシ先生を押しのけるようにして玄関を飛び出て出勤した
「行って来ます!」
後ろでカカシ先生の声がする
笑いを含んだ声が
「行ってらっしゃい、イルカ先生〜」
その声を背に俺は早足で歩いた
小走りに近い
顔は火照っていて熱かった
カカシ先生は、ありとあらゆる意味ですごい人だとつくづく思う
火照った顔は、いつまで経っても熱いままだった

だが・・・
カカシ先生は任務が終わって帰ってくると言っていた日
夕方になっても夜になっても帰ってこなかった
すごく心配だった
何か、あったんだろうか
任務は臨機応変、変更が、つきものだけど心配でならない
心配しながらも俺は明日も仕事なのでベッドに入って、うとうとしながらカカシ先生の帰りを待っていた
夜中、ふっと目が覚めた
周りは真っ暗だった
その暗闇から視線を感じたのだ
ベッドに上半身を起こして視線の先を見上げると、そこには・・・
カカシ先生が立っていた

暗闇の中、一人で
俺を見下ろすように立っている
表情は見えない
闇がカカシ先生の顔を隠していた
「カカシ先生・・・」
小さく呼びかけてみたが反応はない
「カカシ先生」
もう一度、名を呼んで傍らに立つカカシ先生の手に、そっと触れると急にカカシ先生が俺の体に腕を回してきた
強い力で体を抱きしめられる
骨が折れんばかりに痛いくらいに
抱きしめられる力が強くて、咄嗟に声が出ない
逃げられることを恐れているかのように抱きしめられてカカシ先生の体と俺の体は、ぴったりと密着した
そのまま勢いで、俺はベッドに押し倒されたのだった





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