fever safe! 6
「わっ!カカシさん、何でそこに!」
足元を見たイルカがびっくりしている。
「大丈夫ですか!」
「・・・俺の上から降りてくれると助かるんだけど」
「ごめんなさい」
カカシの上で、どたばたしていたイルカは慌てて飛び降りる。
倒れているカカシの傍に両膝を突いた。
「カカシさん、どこか痛いですか?」
「ん、いや。単なるチャクラ切れなだけだから」
「動けますか?」
「今は無理」
「じゃ、すぐに連絡を・・・」
イルカが連絡用に式を飛ばそうを印を組み始める。
その手をカカシが掴んだ。
動けないといっても手は動くらしい。
「ちょっと待って」
「待つって何をですか、早くしないと」
「いいから、イルカ」
俯いたままでイルカの方に顔を向けるカカシ。
「少し話がしたい」
目をぱちぱちさせたイルカがカカシを見つめる。
カカシの顔に面は被さっていなかった。
首に引っ掛かって落ちそうで。
「イルカ」
カカシは言った。
「ごめんね、俺、酷いこと言って。ごめん・・・」
「カカシさん・・・」
何となく二人は見詰め合った。
とはいえ、カカシは倒れてうつ伏せで転がっている訳なので、そのままにはしてはおけないをイルカは一先ず仰向けにして、カカシを抱き起こす。
「カカシさん、平気?」
「うん、まあね」
「カカシさんて、割と重いね」
「イルカよりも体重あるし、装備もしているしねえ」
そう返事をしつつもカカシは胸中、複雑だ。
体が動けない状態でイルカの胸に抱きかかえれている。
・・・逆ならよかったのに。
「そうだ!」
カカシは思い出した。
「イルカ、指!」
「指?指が痛いんですか?」
「俺じゃなくてイルカの指だよ」
「俺の指・・・」
「見せて!」
カカシの要望に応えて、イルカが手をカカシの顔に翳す。
イルカの指先には、前に見たときよりは減ってはいたが、絆創膏が貼られている。
「・・・これ」
そっとカカシはイルカの指に触れる。
「痛くない?」
「こんなのへっちゃらですよ」
平気な顔してイルカは笑う。
「包丁で切ったんだよね?」
そう聞くとイルカは黙り込んだ。
「ごめん、俺が馬鹿なこと言ったから・・・」
最初のときに意地なんて張らずに、血の出るイルカの指先を治療していたら。
後悔の念がカカシに押し寄せる。
「俺が悪いんだ、俺の所為でイルカがこんな怪我をして」
しなくていい怪我を。
胸が痛む。
それが顔に出たのか、イルカがカカシを慰めるように言った。
「こんな傷、すぐに治ります」
それから、すっとイルカが目を伏せた。
「カカシさんが」
声が小さく掠れていく。
「カカシさんが女の子の話をしたり、女の人を一緒にいるのを見たときの方が」
ぽつり。
「痛かった・・・」
そう言って、イルカは胸の辺りを押さえた。
咄嗟になって言っていいのか、解らなくなって。
カカシは大きく息を吸い込んだ。
「ごめん、イルカ」
何てことをしたのだろう。
改めて、自分がイルカにしたことを思うと謝らずにはいられない。
「ごめんね、ごめんね、ごめんなさい」
体が動くなら、土下座でも何でもしたかった。
動かない自分の体がもどかしい。
「いいんですよ、謝らないでください」
イルカは笑っていたが哀しそうだった。
「それはカカシさんの自由なんですから。俺が口出しすることじゃありません」
何だか、別れの言葉のようだった。
「男性にとっては自然な感情ですよね」
諦めにもにた表情がイルカに浮かんでいる。
「俺は」
ぐっと唇を噛み締めたイルカは。
「俺はカカシさんに相応しくなかった、んですよ」
その言葉を聞いたとき。
カカシは覚醒した。
「そんなことないっ!」
言うなり起き上がった。
起き上がって、イルカの真正面に正座したカカシはイルカの肩を掴む。
掴んで揺さぶった。
「絶対に、そんなことはないから!それに違うし、誤解だし!」
何が違うのか、誤解のなのか。
イルカの言葉から、本能的に別れの危機を悟ったカカシはチャクラ切れで動けない体が動いてしまった。
本当に生命の危機、ではないが危険が差し迫り、生きるか死ぬかの事態に陥ると体のどこか隅っこに温存していた眠っていた体力が起きるらしい。
この場合はイルカと別れるか別れないか、であったが。
「俺にはイルカしかいないから!イルカだけだから!それは信じて!」
「カカシさん、動けないんじゃ・・・」
「今は、そんな些細なことどうでもいいの!」
カカシは矢継ぎ早に息継ぎもせずに、一気に語った。
女の子を褒めたんじゃなくて、女の子の髪を結っていた紐を可愛かったと褒めたこと。
一緒に歩いていた女性は勝手についてきたのだし、彼氏もいる。
カカシにはイルカだけだと。
「俺がデリカシーのない言い方をして、イルカを傷つけた。本当に反省しています、ごめんなさい」
もうしません、とカカシはイルカに頭を下げた。
「イルカが俺に作ってくれた料理も食べもせず、癇癪起こして出て行って」
二度としません。
「カカシさん・・・」
「この指だって」
イルカの手首を掴むと、指先に唇を寄せる。
愛しそうに。
「俺の所為で」
「カカシさんのため、にですよ」
そう言うイルカの顔は照れているのか、赤い。
その顔を見られたくないのか、ふいっと横を向いてしまう。
可愛い仕草にカカシは目を細めた。
ああ、やっぱり・・・。
イルカが好きだ。
出会いは運命で、好きになったのも運命だったのだ。
運命が俺たちを引き合わせた。
異様に自分の中で燃え上がり、ドラマチックな考えに浸るカカシは、やっぱりチャクラ切れなのかもしれない。
「イルカ」
うっとりとイルカの名を呼ぶ。
横を向いていたイルカが目だけ動かして、カカシを見る。
「好きだよ」
囁いたカカシは、そのままイルカの頬にキスをした。
fever safe!5
fever safe!7
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