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fever safe! 5



「あ、れ?」
任務の帰り、森の中を走っていたイルカは足を止めた。
微かな気配を察知して。
「何だろう?」
慎重に歩を進める。
すると、見知った団体がいるのを発見した。
暗部だ。
暗部が集まって、何事かを深刻そうに話しているようだ。
声は聞こえず、顔も見えなかったが雰囲気が、そんな感じである。
「どうしたのかな?」
首を傾げていると、突如、鋭い殺気がイルカに向けられた。
「誰だ!」
気がついた時は真後ろに暗部がいて。
首にはクナイが突きつけられていた。



「なんだ、イルカか」
「あー、カカシの」
「カカシの、あれか」
イルカのことを知っていた暗部がいたのが幸いした。
「そいつはカカシの知り合いだ。知り合いっても、ただの知り合いじゃなくて特別な知り合いだから」
余計なことまで言う。
「手は出すなよ。傷つけたりなんかしたら、カカシの怒りを買うぞ」
「分かっているって」
カカシが怒ると手が付けられんもんなあ、とぼやいている。
しかし肝心のカカシの姿は、そこにない。
「あの、カカシさんは?」
会いたいような、会いたくないような。
そんな気分で聞いてみた。
でも、やっぱり会いたい。
「カカシは・・・」
イルカのことを知っている暗部は口が重い。
「言えないことならいいんです。聞きません」
任務に関わることには守秘義務が付き物だ。
「いや、そのなあ。言えないこともないんだが」
とっても言い難そうにしている。
どうしようかと迷っている風だ。
「カカシは今」
今、どこにいるというのか。
「はぐれてしまってなあ。これから、皆で探しに行くところなんだ」
「行方不明!」
「それほど大げさなものではない。居る所の目処はついているので、回収しに行くと行った方が正しいか」
「カカシさん、生きているんですか?」
怪我とかしてないんですか?
イルカは立て続けに質問する。
さあっと血の気が引いて顔色が悪くなっていた。
「うん、生きているし怪我はしていないはずだ。多分、チャクラ切れで動けんのだろう」
「大変じゃないですか!」
「まあ、大変だけどな」
慣れているのか、暗部は落ち着いている。
対して、イルカは血相を変えていた。
「カカシさん、早く助けに行かなくちゃ!」
イルカは暗部に訴えている。
「きっとカカシさん、今か今かと助けを待っていますよ!」
「まあ、そうだが」
「もし、邪魔じゃないなら俺もカカシさんを探すの手伝ってもいいですか?駄目なら無理にとは言いませんが・・・」
最後の方のイルカの声は窄んで小さくなっている。
「暗部の皆さんの足手纏いになるくらいなら俺は、このまま帰りますので」
もちろん、中忍のイルカは暗部の実力には及ばない。
そんなことは百も承知であったがカカシのことが心配でならなかった。



「いいんじゃないか」
暗部の誰かが言った。
「敵は一掃してしまったし、探しに行くくらいなら」
「だな、別に構わんだろう」
「俺も、そう思う」
暗部は一同、うんうんと頷いている。
「そうだな」
よし、と暗部は頷いてイルカに言った。
「じゃあ、カカシを探すのを手伝ってもらうとするか」
「ありがとうございます!」
ぱっとイルカの顔が明るくなる。
暗部は、ある一角を指差した。
「おそらく、カカシはあっちにいると思う。イルカは、あっちを探してくれないか」
「解りました!」
「俺たちは念のため、別の場所を探すから」
詳しく場所を説明して、カカシを発見したら式でも飛ばして知らせてくれ、と指示する。
「じゃ、頼んだぞ」
「はい!」
イルカは元気よく返事をすると元気に走って行ってしまった。
それを見送る暗部たち。
イルカの姿が見えなくなると、ふうと息を吐き出す。
ほっとした表情で。
「こんなところでイルカに会うなんてなあ」
「ああ、びっくりだ」
胸を撫で下ろしている。
何故なら・・・。
任務中、ずっと。
ずーっとカカシが愚痴を言っていたからだ。
なんで任務なんかあるんだ、イルカを待っていたのに、イルカに会いたかったのに。
イルカにメロンを渡したかったのに、イルカの指の怪我の治療もしたかったのに。
ああ、イルカが益々怒ってしまったらどうしよう、ああ、イルカの怪我が悪化していたらどうしよう。
その時は責任取ってくれるんだろうね、もしも俺とイルカとの仲に万が一のことがあったら一生恨むからね。
呪詛めいた言葉を何かにつき言っていたので、仲間の暗部たちは頭が痛くなっていた。
終わったと思ったら、また始めから繰り返して言う。
暗証できるくらい、聞き覚えてしまっていた。
「イルカが迎えに行けば、機嫌も良くなるんじゃないか」
「ああ、仲直りもしてくれればいいが」
「危険もないことだし、ゆっくり二人きりで話し合うだろ」
暗部たちは、カカシとイルカの仲直りを願いつつも傍観の構えだった。



「カカシさん、大丈夫かな?」
心臓の鼓動が早くなってくる。
「カカシさん、生きているよね・・・」
額に冷や汗も出てくる。
「もしも」
嫌な想像をしてしまう。
「もしもカカシさんに何かあったら」
ぐっと唇を噛み締める。
「どうしよう」
泣きそうな声だ。
「最後があんなんじゃ絶対に嫌だ」
カカシと碌に話もしないままだなんて。
「俺がつまらないことで腹を立てたりしなければ」
後悔が怒涛のように襲ってくる。
「焼きもちなんて子供じみたことしなければ」
そうしたら、カカシさん・・・。
とは思ってはみたものの、思い出せば怒りが沸いてくる。
「女の子が可愛いなんて当たり前じゃん、男の俺なんて可愛くなんかないっつーの」
走りながら、独り言が止まらない。
「どーせ、俺は可愛くないしさ」
はあ、と吐く溜め息には諦めが入っている。
「カカシさん、モテるからって、この前も美人の人と歩いていたし」
カカシの隣に美人はお似合いだった。
何だか悔しくて悲しくなってしまう。
自分はカカシに相応しくないのか・・・。
どうせ、男だしと。
しかし、今はそんなことと言っている場合ではない。
一刻も早く、カカシを見つけないと。
「とにかく!」
イルカは気持ちを切り替える。
「カカシさんを探さなきゃ!」
大声で叫ぶ。
「カカシさーん!」
その時だ。
ぐにゃ、としたものを踏んづけた。
両足の下には何か地面でないものが・・・。
「え?」と思ってしたを見ると人が、うつ伏せで転がっている。
その上にイルカは乗っかっていたのだ。
呻き声がする。
「重いよ、イルカ・・・」
カカシだった。





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